第4話 小学二年生 オメガ(多分)とアルファ(多分)の友達ができた 萌える 下


 さて、えーっと何の話をしていたのだったか。婆さん飯はまだかのう…

 

 おお、思い出したぞ。お花ちゃんがオメガ(多分)かと思った理由を説明する為に、アルファ(多分)と思しき聖也せいやくんの紹介をしようとしていたんだったな。


 ふッ、ちゃんとまだ昨日の晩御飯も思い出せる脳年齢三十路女なのである。身体年齢七歳のぴっちぴちの若さ舐めるなよッ


 それにしても何故こうも脱線ばかりするのか…。流石にここからは大人しく説明しよう。


 あ、じゃなかった、説明しよぉう! はいすんません調子乗りました付けあがる私めが悪いですすんません


 げふんっ。まぁ聖也くんなのだが、彼、何というか王子様みたいなのである。もう隠せてない零れ出るアルファ感というか…。


 まず髪色が日に当たると透ける様な柔らかな自然な色合いの金髪だし。小学二年生にして既になんか高身長というか、スマート感出てるし。手足細いし長いし。顔面がお目目ぱっちりで普通の黒寄りの茶色い目なのに何か綺麗だし。まつ毛長いし。


 それに普段お花ちゃんに付きっきりだけど話してみたら物腰自体は柔らかで丁寧めだし。小学二年生らしいなんか子供っぽさがなくて既に頭の良さが滲み出てるし。生徒会長とかしてそう感分かる? 伝わる? 運動神経もこれでいいとかさ……、お前は一体どこの二次原産だ???


 あと、普段は言い触らしてないそうだけど、それなりに仲良くなった時に偶々お花ちゃんがぽろっと零した話の流れで両親がアルファとオメガだというのを知った。


 アルファといえど優劣は勿論あるので、親がアルファだと粋がって吹聴するあまり優秀でないアルファ(多分)も存在するらしいなか、小学二年生にして既に王子様の仮面という処世術を身に付けている子供が只のベータの訳がない。というか凡庸なアルファな訳がない。


 うん、普通に将来有望なアルファ(ほぼ確信)ですね。おめでとうございます。


 個人的には初めて会ったアルファ(多分)がこんな優秀そうなアルファでいいのか悪いのかである。我がボーダーというか、基準が爆上がりしそうだ。


 まぁ中々他のアルファと会うなど滅多にないだろうが。母数も少ないしな。


 あと、社会的地位が高いアルファが断然多いので、今更だがこんな公立の小学校でなく私立のエスカレーター式の学園に入ったり家庭教師で英才教育など受けるパターンが多いし。それにこんな一般モブなどは中々お近付きの機会のきの字すらないだろうし


 という訳で、聖也くん自体がやっぱ人目を集めるというか人気なのである。親の格差社会を間近に見ているからか、やはりアルファとお近付きになれればと七歳の頭脳でも無意識に感じる子も多いらしい。


 まぁ単純に何でも出来てカッコいいしとかもあるんだろうと想像は出来るが。それにお近付きと言っても「わたしとあそぼー!」の延長で可愛らしいものであるが。

 

 ただ賢い聖也くんには分かるのであろう。何事でもお花ちゃんを優先する聖也くんなので、遊べなかった子達からの不満がやはりお花ちゃんへと向くのである。まぁこれもまた「わたしも遊びたいのにー」とお花ちゃんに目の前で文句を言う程度なのでまだ可愛いものではあるのだが


 というわけでこれが最初らへんに説明したお花ちゃんを護ろうと警戒心剥き出しだった理由であるな。警戒心剥き出しといえど、柔らかい、もとい笑顔の王子様仮面で、表面上は普通に聞こえるけどよくよく賢い子が聞いたら全会話の意訳が「お前等と遊ぶ訳ねぇだろ今すぐ目の前から消えやがれ」と気付いた時の私の戦慄な。

 

 私も精神年齢三十路として、やはり小さな不満が積もり積もってのいじめなどに発展はいかんと思うので今の内の健全なる消火活動を心掛けている。


 ほら、「代わりに一緒に鬼ごっこしよ」と提案してそれとなく代役を名乗り出て手助けしたり、みんなで一緒にゆっくりのお花ちゃんでも遊べる系の遊びでお花ちゃんも聖也くんも巻き込んで一緒に遊ぶなどだな。


 聖也くんは正直お花ちゃんと二人で遊びたそうだが、お花ちゃんが一番楽しそうにしているので、何だかんだと絆されて最近ではサボテンがハリネズミくらいの可愛らしさになっている。


 え?分かりづらい?


 って、ちょ、お前等無限バリアとかなしだろ!!! 健太裏切りやがってマジ許さん!!!


 ふッ、まあこの社会の荒波を身一つで泳いでいた私にとってこの程度造作もないこと。一つのことに熱中させればみな人参を目の前にぶらさげた馬の如き操りやすさよ…!!

 

 いや、ちょ、流石の天使の私でも「りこちゃんじゃなくて聖也くんと遊びたいのー」と言われると傷付くんで。ゆ、許して頂ければ……


 げふん。言動も力も加減のない子供達ほど恐ろしきものはない…


 まぁそんなこんなで、何だかんだ聖也くんとは戦友みたいな感じの良い感じの仲を保っている。彼もお花ちゃんが大事過ぎてなんかハリネズミみたいになってるけど、もう少し成長したらヘイトの上手いあしらい方を覚えるだろう。なんせ優秀そうなアルファ(多分)だし

 

 おっと、長々と話してしまったが、諸君大事なことを忘れているな。

 そう、お花ちゃんは何でオメガ(多分)だと思うの? である。


 まぁここまでの間で長くなり過ぎたので、今回はざっくりと説明しようと思う。


 簡単に言うと、聖也くんの過保護具合というか、明らかにお花ちゃんだけ特別待遇というかお花ちゃんに盲目過ぎる点が、お花ちゃんって聖也くんの運命のつがいじゃね?っていう閃きにつながったのである。


 優秀なアルファであれば第二次性徴前でも運命の番を見付けるというか、無意識に心惹かれるというか執着するというか特別待遇で大事にすると何処かで読んだ記憶があるので………



 ふうーーーーー!!!! 萌えるーーーーーー!!!

 この設定はご飯五杯はいけるーーーー!!!


 もうこの可能性を閃いた夜は全く寝付けなかった。翌朝親に叩き起こされて泣いた。 

 全世界の代わりに全私が泣いた。

 ふええーーーん、何故両親の怒り顔はこんなにも怖いのだッッッ



 ふう、すまない取り乱した。

 まあお花ちゃんのご両親はどちらもベータだそうなのであくまでも可能性の一つという点に過ぎないし、お花ちゃんもどちらかというとぽっちゃりで可愛らしくはあるけれどアルファ程隔絶した美しさかと言われるとやはり首を振らざるを得ないしな。


 え?お前が言うな?


 おい、客観的な事実さえ私は述べてはならないのか…。最近世間は冷た過ぎやしないか?

 

 一応オメガも優劣がやはりあるというか、正直オメガの魅力値って顔もそりゃ良ければ最高だろうがフェロモンの強さに重きを置くので、顔が微妙というかベータよりも微妙な顔のオメガもごまんと居るっちゃ居るのである。

 

 まぁ話し出すと長くなるのでここらでそろそろお暇しよう


「りこちゃんまたぼんやりしてるね~」

「何かこの顔の時の利根田さんってあまり関わりたくないんだよね」


 むう? 失礼な、私は清く正しくをモットーの敬虔なるオメガバース布教の使徒であるのに


「ほら、花、花びらついてる」

「聖也くんありがと~」



 

 萌えるーーーーー!!!!








 

  







後書き

 次話『小学三年生 アルファ(多分)の転校生がきた。やさぐれ過ぎだろこいつ』

 あー、やっとヒーロー出せるわっふーーい!(いきなり教壇蹴り飛ばすレベルでやさぐれているが

 え?健太? 健太には実はりこちゃん限定効果の切り札があるんだよなぁ。おっとっと、とりま健太くんは好きな子をいじめちゃうタイプです☆かわいいね!!

 





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