幸せになるまでの二人のキスまでの距離

東雲三日月

第1話 幸せになるまでの二人のキスまでの距離

「全く、何でこんなことになってるんだよ!」


丁度昼飯の時だった。


今日は珍しく、出張から帰ってきた父さと一家団欒で、昼食を食べていた。


「おい、瑛斗、お前一昨日から夏期の予備校だったよなぁ。お金振り込んどいてやったけど、今日も予備校へはちゃんと行ってきたのか?」


「予備校には行ってきたよ。勉強もしてる」


「そうか、それ聞いて父さんは安心したよ。瑛斗はゲームが大好きだからな。もう高校三年生、受験生何だから、遊んでばっかりじゃ駄目だぞ。父さんみたく勉強して、大学に行けよ」


「へい 、へい、受験生だってことくらい自覚してますよー! 息抜きでゲームで遊んだりしてるけどね。 あ、母さんご飯お代わり!」


「はーい、お代わりね。お父さん、この子最近自分から勉強してたりするわよ。予備校にもちゃんと行ってるみたいだし、心配しなくても大丈夫よ。」


「そっか、そっか、ゲームばっかして遊んでばっかだった瑛斗が、自分から勉強やってるなら大したもんだな」






自己紹介が遅れた。俺、瑛斗は、予備校へ通う、高校三年生。ゲームが好きだけど、女の子は苦手。苦手な理由は特に無いけど、女の友達はいない。女子になんか話しかける事も無ければ、女子から話しかけられることも無い。






「そうだった、今日は大事な話があるんだった。父さんの兄貴が居ただろ、兄貴夫婦のところが、理由はわからんのだが、随分前に離婚したらしい」


「えー、叔父さんのところ離婚しちゃったのかよ! 年に一度しか会うこと無くて、今年も、去年も、一昨年も会ってないけど、その前会った時は家族三人、あんなに仲良かったじゃないか」


「そうなんだよなぁ。一体どうしたんだろうな。相談もなかったんだ。で、兄貴んとこにいる詩音ちゃん何だけど、お母さんじゃなくて、お父さんと暮らす事を選択したらしく、今お父さんと一緒に暮らしてるんだ」


「詩音はお母さん選ばなかったんだね。何故なんだろう……気になるな」


「其れで何だが、兄貴が海外出張になってまってな。立場上断る事が出来ないって言うんだよ! 一年になるか、二年になるか、下手すると三年生帰ってこれないって嘆いて来たんだ」


「それじゃぁ、詩音ちゃん困るよね。一人で暮らす事になるの?」


「嫌、違うよ。女の子を一人になんかさせたら、何が起きるか分からないからね。今のご時世危険がいっぱいだから、家で預かる事にしたんだ」


「嘘だろ! 俺ん家で暮らすのかよ」


「お母さんもね、最初、お父さんから聞いた時は、とてもびっくりしたのよ。急に言われたんだもの。でもね、女の子が欲しかったから、詩音ちゃんが家に来ること大歓迎よ」


「この家に、余ってる部屋なんか無いじゃんか。一体どーすんだよ」


4LDKの間取りだったけど、1階はリビングと洗濯物部屋。2階は右側が両親の部屋、真ん中が俺で、一番左は荷物部屋になっていた。


「3階の荷物部屋を片付ければ、一部屋空くわよ。其の部屋を詩音ちゃんのお部屋にしましょう。」


「母さんマジか。俺の隣の部屋じゃないか」


「すまんな、そういう訳だから、瑛斗宜しく頼むぞ! 後、急で申し理由無いけど、詩音のお父さんの出張は明日から何だ。ロサンゼルスへ行くと言っていた。其れで、詩音ちゃんも明日引っ越して来るからな」


「そんな大事な話、俺抜きで決めちゃうなよ!」


「でも、お前に相談したところで、詩音ちゃん他所に行くところ何かないからな。」


「詩音は学校とか、どーすんだよ!」


「詩音は通信の学校らしい。だから、家からたまに通えば良いだけらしいぞ。卒業まで後1年かかるらしい。それからは就職するって言ってたかな」


「瑛斗、お母さん、ご飯食べ終わったら3階の部屋の片付けしようと思ってるの。悪いけど、手伝って貰えるかしら。」


「せっかく午後からは、部屋でのんびりしようと思ってたんだけどな!」


「出掛ける用事が無いなら、片付け手伝うの決まりね。ありがとう」


「あいよ!」


昼飯が終わると、さっそく3階のの荷物置き場を、片しに向った。


ガチャ……


部屋の扉を開けて驚いた。荷物置き場だった筈が、殆ど綺麗に片付けられていたからだ。


後からお母さんが部屋に入ってきた。


「びっくりしたでしょ。お母さんね、お父さんから4日前に、詩音ちゃんが引っ越して来事を知らされたのよ。それから毎日少しずつだけど、一人で片付けしていたのよ。」


「だから、最近お母さん疲れてる感じがしていたのか。仕事も行って、家の片付けもしてじゃ疲れてるよね。俺に言ってくれたら良かったのに」


「ありがとうね。でも瑛斗が最近予備校へ行きだしてから、部屋で勉強してる姿を見ていたからね。応援してるんだから、勉強の邪魔出来ないもの。声を掛けられなかったわ」


まさか、俺がたまたま予備校の宿題をやってる所を目撃されていたとは……殆ど部屋ではゲームであそんでる方が多かったのに……何だが気を使わせて、申し訳ない気持ちになった。


「あ、そうそう、片付け何だけどね。後この部屋にあるのは瑛斗の物だけなのよ。どれが必要なものかよくわかんなくてね。勝手に捨てられなかったのよ。ゴミ袋持ってきたから、要らないものは捨てて貰えると助かるわ」


「あいよー」


部屋には俺の服や玩具、問題集や本等が置かれていた。殆ど要らない物じゃないか……。


覚えの無い大きめの箱が目に入り、最初に開けて確認する。そこには、懐かしいカードゲームが沢山入っていた。こんな遊びもしたんだなーと、自分を振り返って確認する。


殆どがゴミ袋行きだったのに、何故か作業に2時間も掛かってしまったが、何とか終わる事が出来た。当たりを見回すとゴミ袋の山が出来ていた。


父さんが部屋に入ってきた。


「おおー、この部屋綺麗になったじゃないか! こんなに綺麗な部屋を見るのは引っ越していらいだな」


「父さん、俺、この部屋掃除機もかけとくね」


「ありがとうな。父さんと母さんは、これから今沢山出たゴミを捨てに、ゴミ収集所まで行ってくるから。家を空けるね。明日は、詩音ちゃんが引っ越して来るのは14時だったはずだぞ!」


「はいよー!いってらー!」


掃除機がけも終わると、俺は疲れたので、自分の部屋へ移動すし、スマホを手に取り、ベッドに寝転んだ。





予備校仲間のグループにメールを入れる


瑛斗:やっべー事になっちまった。明日、俺

と 同い年の従妹が引っ越して来る事

になっ たんだけど。


幸人:マジかよww 可愛い子なのか?


瑛斗:前に会ったのが二年前だったからな

ぁ!どんな子だったか良く覚えていな

いよ。


瀬名:お前、明日から女の子と暮らすのかよ

よ。従妹だけどずりーぞ!


瑛斗:俺は女の子が苦手何だよ。

別にずるくねーから。


朝日:従妹と暮らすって事は、女の子苦手を

克 服するチャンス到来じゃん。俺に

も紹介しろよな。


瑛斗:女の子苦手克服できるのかな……。

どんな事話せばいいんだよ?


幸人:ま、続きは予備校で話そうぜ。

俺はこれから合コン行くんだ、またな


瀬名:俺も、友達と遊ぶ約束してるんだっ

た。また明日なー。


朝日:俺は今夜友達とオンラインゲーム一緒

に組んで戦う約束してるんだったわ。

今から寝るからまたな。


「意味ねー。せっかく相談しんだけどな!」


心ん中で思わず叫んでいると、いつの間にか、寝てしまったらしい。


「瑛斗ー。ご飯よー」


リビングから、お母さんの声がして、その声でようやく目が覚めるた。


「あいよー。今行くから!」


珍しく今日は父さんも一緒に夕飯を食べる。


「そうだ、急にで悪いんだけど、夏休み期間中中、たまたま母さん仕事入れてなかったんだわ。お前が受験生だから仕事入れなかったんだけど、たまには母さん借りていいかな」


「別に良いけど、其れは一体どう言う事かな?」


「お父さん、母さんがいない生活で寂しくてな。だから、夏休み期間中母さんにこっちで暮らさないかって話したんだ」


「瑛斗が心配だから、仕事休んでたんだけど、さ。お父さんに誘われちゃってね。お母さん夏休み期間中行ってきても大丈夫かしら?」


「詩音と二人切りにさせちゃうのかよ!」


「あら、でも詩音ちゃんお料理で出来るみたいよ。其れに詩音ちゃんだから心配してないわ。だって家族でしょ」


「母さんさみしがり屋だもんね。分かったよ。行ってきても大丈夫だよ」


「ありがとうね。お土産買ってくるから、詩音ちゃんの引っ越しよろしくね」


「うん、分かった」




「何でこんな事になっちまうのかな!」


次の朝、リビングへ行くと、父さんと母さんはもう出掛けて居なかった。


テーブルの上には、お金の入った封筒と、サンドウィッチが置かれていた。冷蔵庫からオレンジジュースを出し、朝食を食べると、予備校へ向った。


まだお昼にもなっていないのに、外は凄く暑かった。途中コンビニへよりペットボトルの珈琲を買ってから向かう。


教室へ入ると、もう皆は来ていた。


「幸人、瀬名、朝日、おはよー」


皆が振り向き一斉に挨拶する


「おはよー」


幸人「そういえば、今日従妹引っ越して来る

んだったな」


瑛斗「そうなんだよ。ところが、俺の父さん

今出張中で、別に暮らしてるんだど、

夏休み期間、母さんも父さんところに

行くからって、今日行っちゃったんだ」


瀬名「瑛斗ずりーぞ。今日から女の子と2人

で生活すんのかよ」


瑛斗「でも。従妹だからね。母さんには、二

人で暮らす事を、家族だから気になら

ないって言われたけど、俺は女の子苦

手何だよ! ちょっと困ってる」


朝日「でも、二人きりで生活するなら、仲良

くなれるチャンス。優しくしてやれよ」


瑛斗「うん、女の子だから、優しくするけど

さ、仲良くなれるかどうかはまた別の話

じゃね」


どうしたら良いか分からなくて会話してるのに、無惨にもチャイムが鳴り授業が始まる。


珍しく、瑛斗は全く授業に集中出来なかった。先生に当てられても教科書すら開いていなかったから、集中してないと怒られた!


授業が終わると、急いで家に帰る。途中コンビニで昼食用に冷やし中華とペットボトルの珈琲を買った。


家に着くと、さっそくお昼を食べる。例え従妹だとしても、女の子が来るんだから、普通では居られないのだ。何故かソワソワしている。


ピンポーン


突然チャイムが鳴った。


インターフォン越しで会話をする。


「どちら様?」


「詩音です」


「玄関の鍵開いてるから、入ってきて良いよ」


ガチャッ……。


「お邪魔しまーす」


俺の目の前に現れたのは、背が低くて、髪の毛が長く、上品な鼻筋に、控えめな口元。化粧をしているからなのだろうか、とても可愛いくて綺麗な女の子だった。


まさか、詩音が俺の好みの女の子だったとは……。きっと、街を歩けば、誰もが振り向くに違いないと思える程、可愛いくて、綺麗な女の子だった。


二年前の詩音は、良く覚えていないけど、髪が短く、男の子っぽい感じがあったように思う。ところが、二年振りに会った詩音は、とても綺麗になってしまっていた。


「この子と毎日一緒に暮らすのか……仲良く何てなれるのかな?」


「こんにちは。えーっと、今日からお世話になる詩音ですね。瑛斗くんだよね、宜しくね」


「うん、詩音ちゃん宜しくね」


「部屋は2階の左側の部屋使って。掃除しといたから、綺麗だよ」


「わぁーい!ありがとう!」


詩音ちゃん用に、母さんが用意しておいてくれた、ペットボトルの飲みもを冷蔵庫から出して渡す。


「どーぞ!そういえば、夏休み期間中俺の両親いないんだけどさ、大丈夫?」


「ありがとう。うん、両親いなきの聞いてるから知ってるよ。大丈夫!」


「ところで、詩音の家って、家族三人仲良かったよね?」


「えへへー、仲良くなんかないよー!お母さんが浮気していてね、私何て興味無いんだよね。私捨てられちゃった」


「そんな事知らなかったからさ、びっくりしてる! 色々大変だったんだね」


「うん、でも、私は大丈夫!えへへー」


詩音は笑ったけど、無理してるように見えた。少しして、引っ越し業者が家に来て、荷物が運ばれた。


「片付けしてくるね」


荷物はベッドに、衣装ケースに、幾つかのダンボール。詩音は部屋に籠ってしまった。


俺は詩音と夕飯を食べるために、カレーを作った。簡単な物なら、俺にだって作れる!


風呂も何時でも入れるように用意しておいてた。


夜になって、ようやく片付けも終わったらしく、部屋から詩音が出てきた。一緒にカレーを食べる。話しかけられなくて無言だ……。気まづいな!


「あ、今、気まづいなって思ったでしょ」


「えー、何だよそれ、まぁ、正解だけど」


「あははー、だって待ってたんだけど、何も話しかけてこないならさ」


「俺は女の子が苦手何だよ! 悪かったな」


「今日から一緒に生活するんだから、大丈夫だよ。仲良くなろうね」


正面で食べてた詩音が、わざわざ俺の隣りに来て座ると、くっついてきた。


「分かったから、離れろよ!」


「えへへー、ごめん、でも、こうしてると安心するんだ。御願い!もう少しだけ」


俺は断れなかった。沈黙が続いたけど、気にならなかった。


こうして、二人きりの生活が始まった。詩音は安心するからと言って、俺にたまにくっついてくる。よく分からないな!可愛いから断れない。


俺が予備校へ行ってる間は、詩音が家事をしてくれている。自分からやると言い出して、二人分の洗濯物や、朝食後の食器の片付け(もちろん朝食も詩音が用意してくれる)、部屋の掃除までしてくれる。何だが夫婦みたいだ!





今日も俺は朝食を食べると、予備校へ行く。


「詩音、行ってきマース!」


「いってらっしゃい!」


振り向いた時、 詩音が何だか寂しそうに見えた気がした。最近寂しそうにしている感じがする。どうかしたのかな……。


予備校へ到着して、教室へ行く。


幸人「おはよー!どうだ、女の子との生活は

大分慣れたか?」


瑛斗「おはよー。まぁ慣れてきたかもね」


瀬名「おはよー!お前ずりーかんな!毎日楽

しいだろ!」


瑛斗「おはよー! ずるくなんかないだろ。従

妹何だから家族だよ」


朝日「おっはー! お前ん家遊びに行っても良

いだろ。俺達にも紹介してくれよ。皆

行くだろ」


瑛斗「おはよ! 別に駄目じゃないけど、詩音

は皆に会ってくれるかわかんないよ」


朝日「よーし決まり。飯食ったら三人で行く

からな。良いよな」


幸人「大丈夫だぜ!」


瀬名「行く行く!楽しみだな」


何故か、家にくることが決まった。そのせいでなのか、授業が集中出来なかった。


予備校が終わると、急いで家に帰る。


「ただいまぁー!」


「おかえり。汗だくだけら、シャワー浴びると良いよ! はい、これね」


バスタオルを手渡されたので、シャワーを浴びる。出てきて着替えると、詩音を探す。キッチンでお昼を用意してくれていた。


「詩音! 今日俺の友達が家に来る事になったんだわ、俺が従妹と二人で暮らしてるって話してるから、皆詩音に会いたがってるんだけど、会ってもらっても大丈夫?その後、部屋に籠ってて大丈夫だからさ」


「うん、瑛斗のお願いなら良いよー」


「ありがとう。」


二人で詩音が用意してくれたソーメン

を食べてると、家のチャイムご鳴る。もう三人が家にやってきた。


「お前ら早すぎるだろ!」


「嫌、早く会いたくなっちゃって!」


「食べ終わったから入っても良いよ!三人を中に入れてやる」


リビングには詩音がいた。


「えへへー、初めまして、詩音です。今引っ越して一緒に暮らしてます。宜しくね」


「初めまして、幸人です。彼女募集中宜しくね」


「こんにちは、俺は瀬名です。俺も彼女募集中。宜しくね」


「朝日です。こんにちは。二人よりかはマシだからね。同じく彼女募集中」


募集中って何だよ!すげー突っ込みたかったけど辞めといた。


幸人「あ、お前ん家人生ゲームあったじゃ

ん。一緒に皆でやろうぜ! 詩音ちゃん

も一緒にやらない?」


詩音「ありがとうね。私も参加するわ!」


瑛斗「ほれ、持ってきたよ。人生ゲーム」


瀬名「わー、久しぶりだなぁ!お前ら勝つん

だろ!また勝つならずりーぞ」


朝日「嫌、ずりーぞって! これ運ゲーだし

な。よーし準備開始」


準備が終わるとジャンケンをする。勝ったったのは詩音だったから、詩音から時計回りにサイコロを振ることになる。詩音、幸人、瀬名、朝日、瑛斗の順番だ。


最初に詩音がサイコロを振ると6になり、進んでいくと、アイドルになった。


「えへへー! 嬉しいなぁー」


皆も順番にサイコロを振り、就職していく中、俺だけ無職のままだった。詩音がそれを見てクスクス笑っている。


そのうち、皆結婚して、子供が生まれ、お祝い金をわたす頃には、俺は借金してお祝いしないと行けなくなっていた。


「何なんだよー借金ばっかりかよ!」


詩音を見るとまた、クスクス笑っていた。


皆が先にゴールしていく中、俺だけ無職のままだったが、ラッキーチャンスが訪れて、宝くじが大当たりしてしまった。おかげで俺が一番になった。


「よっしゃー!」俺が喜んでいると、クスクス笑い声が聞こえる。目を向けると、詩音が笑っている。


「詩音の奴元気になったみたいだな!」


瀬名「やっぱり、負けたじゃんか」


幸人「今日は楽しかったぜ!また遊ぼうな。

俺達あんまり遅くまでいたら悪いから

帰るわ」


瀬名「次は勝つからな。詩音ちゃん一緒に遊

んでくれてありがとう。またな」


朝日「今日は楽しかったよ。ありがとう」


瑛斗「又なー!」


皆が帰ると、何時も通り詩音と2人きりになった。最近笑っている詩音を見ていなかったから、今日は笑っている詩音が見れて嬉しかった。


「今日はありがとうね。詩音も一緒に遊んでくれて楽しかったよ。」


「うん、 また誘ってね。」


詩音はそう言うと、部屋に籠ってしまった。


スマホを見ると、帰った皆からメールが届いていた。


幸人:お前ら従妹なのに、顔似てないな !

本当は従妹じゃないだろ?


瀬名:確かに似てなかったな。そういえば

ば、詩音ちゃん、笑っていたけど、

無理してる感じしたよ。大丈夫?


朝日:似てなかったかも。詩音ちゃん遊ん

でる時、寂しそうにしてたよ。何か悩

んでるのかな? お前の事ばっかり見

てたけどさ。


瑛斗:そう何だよ! 従妹何だけど血の繋が

りはないんだ。詩音の母さんが浮気

して、出来た子らしい。寂しそうに

してたの分かんなかったな。今日遊

んでる時、久しぶりに笑っていたか

らなぁー。


幸人:血の繋がりなかったんだな。良く分

かんないけどさ、もっと彼女の事大

事にしてやれよ。笑っていたけど

さ、無理してる感じしたわ。


瀬名:ずりーぞって言ってばっかりでごめ

ん。お前が支えてやれよ。


朝日:笑ってたけどさ、悩ん出る事あるか

もしれないから、気にしてあげな。


瑛斗:分かった! 皆ありがとう。


俺は、最近、詩音が寂しそうに見えた気がしたけど、今日笑っていたから、元気になったんだと勘違いしていた……。アホだな!





夜になり、詩音が部屋から出てきた。


ところが様子がおかしい。目に涙を溜めている感じがした。一体どうしたんだろう?


「詩音!」


声をかけたが返事が無いので、もう一度声をかける……が、スルーされてしまった。


今度は 近くへ行き、詩音の目の前で声をかける。


「どうしたの? 俺に何でも話してよ!」


詩音は自分手にしているスマホから、俺にメールを送ってきた。


詩音:ごめんね、色々あって今声出なくなっ

ちゃったんだ。


瑛斗:辛い事があったんだね! 大丈夫! 俺

が守ってあげるから。どうしたの?


詩音:さっきお父さんから連絡あったんだ。

一年で帰宅するから、帰ってきたら結

婚しようって。


瑛斗:何それ、お父さんは、詩音がお母さ

んの浮気相との子だって事、知ってる

んだね。


詩音:そうだよ。全部知ってる。お母さんに

捨てられてから、 行く所もなくお父

さんと暮らしてたけど、それから、

お父さんと関係があるの。


瑛斗:何だよそれ!絶対許せないな!


詩音:もう辛の。私死にたい。


詩音はスマホをテーブルに置くと、俺の胸ん中で泣きまくった。優しく、頭を撫でてやる。


「詩音 、俺達将来結婚しよう。俺がお前を幸せにしてあげる。詩音が楽しいと、俺は楽しかったし、詩音が悲しいと、俺も悲しいんだ」


詩音はゆっくり頭を縦に振ると、俺の唇に優しくキスをした。


「あ、何か声出せるみたい!」


突然詩音が小さな声で喋った。


「ありがとうね。 これからは、私だけの瑛斗になってくれるのね!信じていいのかな」


「そうだよ。俺は詩音だけの瑛斗だよ」




瑛斗


俺は、今日聞いた話を両親に連絡して伝えた。両親は、お父さんさんとは一緒に生活させない。渡さないと約束してくれた。結婚の話をしたら、それは俺が大学卒業して就職してからだって笑われたけど、それで良いって言われた。




詩音


この世界はいっぱいの幸せでできてるんだね。

こんな私を大切に思ってくれる人に出会う事が出来た。幸せにしてくれるって言ってくれた。信じて大丈夫だよね。うん、私信じてみる。






二人は抱き合い、唇を重ねると長く優しくキスをした……。




























































































































































































































































































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