第5話      コンパ

 サークル勧誘も一段落したので、料理サークルに興味があると言ってくれた6人(女子4人と男子1人と田中君)を連れて大学近くのとある一軒家にきた。

 「準備終わったんだろうね?あいつらは」

 姉はそう呟きながらチャイムを鳴らす。


 ピンポーン

 

 「お!6人も連れてきたのか!?すごいな!」

 玄関が開き中から高身長でイケメンで有名な副部長が出てきた。

 「さ、中入っていいよ!」

 副部長に言われるままに、新入生は少し躊躇いながらも中に入っていく。

 「ねぇ、吉野さん。ここどこ?どう見ても一軒家なんだけど?」

 田中君は、家と私を交互に見ながら興味深々に聞いてくる。

 「まさか、吉野さんの、い「副部長の家だよ」

 「ですよねー。まぁ、男出てきた時に察してましたけどー」などと呟きながら家に入る。

 今度家に誘った方がいいのかな?でもそれって家デートだよね!どうしよう!?

 「由利、顔赤くしてないでさっさと中に入ったらどうだ?」

 「分かってるよお姉ちゃん!!」

 とりあえず、家デートについては保留にしておこう。



 『す、すごい!料理が沢山ある!』

 相談したわけでもないのに綺麗にハマる6人。

 確かにこの料理の数を見たらびっくりもするか、唐揚げ・酢豚・ゴーヤチャンプル・イカの唐揚げ・野菜サラダなど沢山の料理がテーブルの上に並んでいる。

 「そんなとこに突っ立ってないで座れよお前たち」

 副部長は笑顔で促した。全員座布団が敷かれている場所に座る。もちろん、私は田中君の隣の場所を選ぶ。

 「んじゃ、まぁサークルについての話とかは後だ!」

 副部長がコップを掲げる。それにならいみんなもコップを持つ。

 「それじゃ、乾杯!」

 『乾杯!!』

 こうして楽しい宴が始まったのだ。

 


 「私は部長の由美。そこにいる男は園田透、副部長だからで、そこにいるのが、、、、」

 サークルメンバーの軽い自己紹介が行われている。

 ちなみに、サークルメンバーは11人いて3年先が5人、2年生が6人である。

 男があまりいないのが問題で、3年の副部長と2年の先輩ただ2人だけなので今回見学に男性2人来たのは結構嬉しいと姉がここに来る途中話していたのを思い出していた。

 「そういえば、こん中に私の妹である由利と付き合っているのがいたなぁ?私に挨拶もしないとはいい度胸だなぁ?ちょっと出てこいよ」

 「え?」

 ちょ、ちょっとお姉ちゃん何言ってるの!?

 ほら、田中君も『え?お姉さんなのあれ?』って青ざめた顔でこっちみてるじゃない!!

 「あ、あの僕ですけど、、、」

おずおずと手をあげる田中君。まるで目の前に熊がいるかのように震えている。

 何故か場の空気が止まったかのように静かになる。

 「ふーん。あんたが由利と付き合ってる田中君ねぇ?へーー」

ニヤニヤ、しながら私の彼氏を見つめる姉。いけない、姉のおちょくり癖が発動してる!

 な、なんとかしなくちゃ!!

 田中君を助けるために口を開こうとした瞬間

 「ま、まぁ由美そこら辺にしとけよ。せっかく由利ちゃんに出来た同年代彼氏なんださ?」

 『あっ

 私の事情を知っているはずの園田先輩からの思いもしなかった失言に、同じく私の事情を知っているサークルメンバーと私は固まってしまうのだった。

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