出逢ったかな、と思ったら、フラグブレイカー先輩でした。

にぽっくめいきんぐ

スカートフラグ:ブレイク=見えない

 朝、妹に起こされた。


「お姉ちゃん、起きてよ!」

「むにゃむにゃ。あと5分寝かせてよぉ、史絵しえ


 

「ぎゃあ! 遅刻する!」

 女子にあるまじき奇声を発して、ベッドから跳ね起きた。


「行ってきます!」

 転校初日から遅刻はまずいので、パンをかじりながら家をでた。全速力。最愛の妹、史絵を愛でる時間もなかった。パンはフランスパンだ。跳ねあがるスカートを気にしてはいられない。


 走りながら、ブレザーの左ポケットから出した携帯時計をチラ見すると、始業まで、あと20分しかない! おっと、携帯落としそうになった。あぶない。


(私立校は、時間に厳しいかな……。ゆるいと助かるんだけど)

 息を切らせて、全力で角を曲がる。


 どがあああん!


 何かとぶつかった。もの凄い衝撃。

 私は後ろに飛ばされ、尻もちをつく。


「いたたた」

 激痛状態の、腰のあたりをさすっていると、


「すまなかったね、君」


(!!)

 低音のイケボが、私の耳を刺激した。


(!!!)

 見ると、ほっそり長身で、髪サラサラの男の人が目の前に居た。

 白シャツの胸元があいていた。そして、シャープな横顔。


「あ、あの……」


「怪我はないかい?」

 そう聞く、目の前の男の人は。

 まだ、横を向いたままだった。


(!?)

 私は気づいた。

 転んだ拍子に、私のスカートの中が、男の人から丸見えになっていることを。


「あわわわわ」と直す。


 目の前の男の人の横顔は、それが終わるのを待っていたかのように、小さくコクンと縦に動いて、そして彼の、薄い口唇が開いた。



「フラグブレイク」

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