第6話

第六回

季節はもうすっかり初夏となっていた。吉澤ひとみの方もすっかりと学校にもなれ彼女は学校の中でアイドル的な存在になっていた。そういう表現より憧れの人マドンナになっていたといった方がよいだろうがそう言う表現をとれば吉澤ひとみに対する印象が誤ったものになる。それは周りの人間の吉澤ひとみに対する扱い方である。女王のように振る舞っているというわけではなかったがいつも吉澤ひとみの周りには華やかさが満ち溢れていた。それに引き換え同時に転校してきた滝沢秀明の方はすっかりとしょぼくれていた。吉澤ひとみの行動すべてに男子生徒がは気をもんでいった。吉澤ひとみの持ち前のかわいさときらめくような魅力ですっかりすべてのS高校の男子の心をとらえていた。吉澤ひとみの行動はいつも学校中で話題のタネとなり、男子たちは彼女の視線に気をもみ女子たちはため息をつきそして焼きもちを焼いた。吉澤ひとみはそんな男子たちのことも眼中にないかのように思うように気ままに行動していた。それは女性というより男性的な面がだいぶあるからかもしれなかった。いまや吉澤ひとみはS高校のクイーンであり、学校中の憧れの的だった。違う高校の生徒たちも通学途中に吉澤ひとみを見るとあれがS高校の吉澤ひとみだよと言って噂した。しかし彼女はまだ特定の恋人もいないようだった。それが男子生徒にとっても女子生徒にとっても悩みのたねだった。そして男子生徒など眼中にない雰囲気で学校中を闊歩していた。形の良い少し男性的な眉、笑うとバラ色に輝きを放つ愛くるしい目、高すぎず低すぎない鼻、少し肉感的な感じのするバラの花びらのような唇、あごから胸にかけてつやつやとしたした滑らかな肌、カモシカのようにすららりと伸びた足、これらは皆男子生徒のあこがれの的だったし女子生徒の悩みのタネだった。そんな吉澤ひとみにいつかと同じようにまた突然松村邦洋は声をかけられてびっくりした。

「今日の放課後少し用事があるんだけど一緒に帰らない。」

「ええ、まあいいけど何で急やな。」

松村邦洋は目をパチクリさせた。S高校のアイドル、吉澤ひとみに声をかけられてまんざらでもないようだった。

「吉澤ひとみさんが。そう言うならいいよ。」

校門のところで松村邦洋は吉澤ひとみがやってくることを不思議な気持ちで待っていると彼女は笑いながらやってきた。黒と赤レンガの色の交差する格子模様のウールのワンピースを着て吉澤ひとみは松村邦洋の前に立っていた。その服は肌にぴったりと纏わり付いていて少しなまめかしい。吉澤ひとみは何を見ているのよと言うようにに少し睨むまねをしていたずらっぽく笑った。

「歩きながら話しましょうよ。」

吉澤ひとみは松村邦洋に言った。松村は彼女の美しい横顔を無言で見つめた。

「あの何から話をしたらいいかしら。私、新聞部に入っているの。知ってる。」

「ええ、本当。初耳や。」

「そう、私、ここの高校の新聞部に入ったのよ。前の高校でも新聞部に入っていたの。それにある理由もあってね。」

「ある理由って何や。」

「それはいいの。それより今記事を探しているところなの。それでこの前変な事件があったというでしょう。古寺が一夜明けたらつぶれちゃっていたという話。松村君はは知っている。あれを取材してみたいの。でもそうは言ってもすこし気味が悪いから松村くんについて来ててほしいの。お願いしていいかしら。」

吉澤ひとみは松村邦洋の心の中にまで入り込むように彼の顔をのぞき込んだ。

「ああいいよ。ついて行くだけならね。そこへ連れて行ってあげるよ。場所は知っているんや。」

松村邦洋は照れ隠しのためか無愛想に吉澤ひとみに請け負った。吉澤ひとみはその松村邦洋の調子に合わせるように

「あの事件のことだけどね。私の知ってる限りでは東京の新聞には出ていなかったけど大阪の新聞にはで出ていたの。」

「出ていた。」

「そう出ていた。何社ぐらいに出ていたの。

「さあ、ちっともわからへんわ。うちで取ってる新聞には出とったけどな。」

吉澤ひとみは少し松村邦洋の前を歩いて行き、立ち止まると急に彼の方へ振り向いた。

「あの事件の真相はどうなっているのかしら。もう真相は明らかにされているの。一晩のうちに古寺が一軒つぶれてしまって周りの雑木林の木が次々と幹の途中からへし折られてしまっているなんて考えただけでもおかしな話よね。そもそもそこに住んでいた人はいったいどうしてしまったの。」

「住んでいる人はなかったんや。住む人もない古寺やったからな。」松村邦洋はそこに得体の知れない若い僧が最近住み着いていた事を知らないようだった。「松村君はそのことで家族の人と話したことがある。」

「いやない。」

「じゃあ、そんなに評判にならなかったのね。」

吉澤ひとみは指先を自分の唇にあてて少し不服そうな表情した。

「うん評判にはそれほどならなかったみたいやな。それにあの当時東京のほうで大きな事件があったやろう。その事件のことでもちきりで大阪の新聞もそれに力を入れていたみたいやからなぁ。」

「へぇ、それで真相は全く薮の中というわけなのね。」

「ああ、そうみたいやな。警察もその後何も捜査してへんのやないかなぁ。」

「じゃあ、そのへんに住んでいる人たちもその事件のことを忘れてしまっているということなの。」

「ああ、そうだと思うな。でも何でそんなこと聞くんや。」

すると吉澤ひとみは少しどきまぎした。

「だって記事を書くためにその事件の真相を知ろうと思ったらそこに住んでいる人たちに一人づつ一軒一軒何かの手掛かりつかむためにを取材をして歩かなければならないでしょう。その古寺が壊れたときに何かに気がついた人がいれば一番わかりやすじゃないの。」

「まあそういえばそうだけど。わてが思うにあの事件の真相言うたら大型ダンプかなんかが誤って突っ込んだじゃないと違うか。それしかあらへんで考えつくこと言うたら。」

二人の歩く道は片側はどこまでも続く大きな雑木林、その雑木林の道路に接している境にはその顔の表情も分からなくなった石仏がポツリポツリと立っている。そして道路のもう一方の方は田んぼが浮き草を浮かべた緑色の濁った水をたたえその背後には焼き芋をいくつも並べたような小山が取り囲んでいた。二人は話しながら歩いていくうちにいつしか廃材の山同然となった古寺の前までやってきていた。古寺の両側は大きな防風林が並びその背後は雑木林となっている。あの事件が起こってから少しも手が加えられていないようだった。廃材の山は何度かの風雨にさらされ石灯篭は倒れ、大木が何本も折り取られていた。もともと住む人もいない古寺だったのでつぶれても近所の住民にはあまり関係がないとも言える。古寺の建物の方と言えば壁は行く箇所もつき破られ、柱は折れ、屋根がすっかりと落ちている。古寺の庭に置かれていた庭石も粉々に砕け、墓石のいくつかは倒れ、あるいは砕け散っていた。石灯篭も同様である。まるで巨大なパワーショベルがこの古寺の中を縦横無尽に走り回ったようだった。吉澤ひとみはこの情景を見て

「ああ、すごいことになっているのね。」

とそれほどの感動もなくいった。そして吉澤ひとみはかばんの中からカメラらしい物を取り出すとパチパチとこの現場をいろいろな角度から写し始めた。吉澤ひとみの姿はまるで本当の新聞記者のようだった。松村邦洋はすることもなくあくびをかみ殺しながらその様子を見ていた。そして充分その現場撮影を終えると吉澤ひとみはちゃめっけをだして松村邦洋にせがんだ。

「ねぇ、私の姿も撮ってくれない。この現場と一緒に。」

そう言って吉澤ひとみはそのカメラを松村邦洋に渡したそのカメラを渡すとき吉澤ひとみの指先は松村邦洋の指先に触れ少し恥ずかしそうに吉澤ひとみははにかんだ。彼女は両手で鞄を自分の膝の間に持ち修学旅行生が華厳の滝の物見台で記念写真をとるようなポーズで松村邦洋の構えたカメラの中に収まった。

「今度は私の番よ。私もあなたのことを取ってあげる。」

吉澤ひとみはそう言って松村邦洋の姿もカメラの中に納めた。松村邦洋の顔は少しこわばっているようなった。

「ねぇ、近くの家の人にこの事件のあったときの様子を聞いてみましょうよ。」

吉澤ひとみは松村邦洋の腕をとるようなふりをして斜めからから彼のことを見た。それは森に放された二匹の子鹿がかくれんぼをしているようにも見えた。吉澤ひとみは学校にいるあいだはつんとして近寄りがたい雰囲気を漂わせている。それはまるで。人の入り込めない庭に咲く赤いバラのような気品と神々しさを備えていた。しかし二人なるといやになれなれしくなった。松村邦洋は彼女は他の男に対してもこうなのだろうか。吉澤ひとみが他の新聞部員と二人きりになっている姿を想像してみた。しかし他の男子生徒とこういう状態にいる姿を想像するまでにはいかなかった。

「この事件が起こったとき誰かが気づいていなかったか聞いてみない。」

この古寺の周辺にある家といってもそう多くの家があるわけではない。見渡すと道の向こうの方に二軒ぐらい建売り住宅らしい家がある。この古寺の周りは松林で囲まれている。たとえこの古寺をクレーンで壊したとしてもそれらの家の住民にその時の音が聞こえるかどうかは疑わしかった。しかしこの近くにある家と言えばその二軒の家しかない。その家に目星をつけてその怪事の起こった当夜のあらましを聞きただすしかなかった。一軒目の家へいくと若い主婦が玄関に出てきてその後ろでは幼児がを指をくわえて二人を見ていた。その若い主婦は子供の頭をなでながらその晩は夜中であり自分の家には幼い子供がいるので寝る時間が早くそのときの様子は分からないと言った。もう一件の家も似たようなものだった。吉澤ひとみはそれらの無駄な情報をノートに書き留めていた。

「何か気がついたことがあったら私のところに電話をして頂けますか。」

吉澤ひとみはそう言ってS高校の新聞部直通の電話番号を書いた紙を手渡した。二軒の家の住人はこんなに若くてきれいな女がなぜこんな刑事もどきのことをしているのか不審に思ったようだったが吉澤ひとみがS高校の新聞部の部員だと聞くと納得したようだった。

「なあ、これで記事、かけるやろうか。」

「うん、わからない。あまり目撃者はいないみたいね。」

「そうやな。じゃあ、ぼちぼち帰ろうか。送って行くよ。帰り道は一緒やろう。」

松村邦洋は吉澤ひとみといつまでもう一緒にいたい様子だった。何の関係もない第三者が二人の姿を見たら二人は恋人同士なのではないかと思ったに違いない。

「うん、でも少し用事があるから先に帰って。私、寄るところがあるから。」

「でもだいぶ暗くなっていることやし。」

「うん、心配してくれてありがとう。でも大丈夫よ。今日は手伝って貰えてとてもうれしかったわ。」

吉澤ひとみは松村邦洋の申し出をやんわりと断った。

「そうかそんなに言うんやったら。」

吉澤ひとみはサバサバした表情で松村邦洋を見つめてた。しかしその目には優しい光があふれていた。吉澤ひとみは松村邦洋とは反対方向に歩いていく。吉澤ひとみの姿がだいぶ小さな点になってから松村邦洋は彼女のことが心配になった。と同時に吉澤ひとみがどこに行くつもりなのかと興味がわいてきた。だれでもある好奇心その上に二人だけの今日の出来事が重なった。松村邦洋は気づかれないように吉澤ひとみのあとをついて行くことにした。吉澤ひとみは小走りで闇夜の小道を歩いていく。松村邦洋の姿には全く気がつかないようだった。しばらく歩いて行くと坂を下り飲食店街を横に見ながら私電の駅の前に出た。そこで吉澤ひとみは切符を買って駅のホームに出た。吉澤ひとみはさらに郊外の方へ向かう電車に乗り込んだ。吉澤ひとみの美し横顔を見ると松村邦洋は心臓にナイフを当てられたようにどきどきした。それは尾行という秘密の行動によってもたらされている甘美な夢の中の恋人のささやきのようだったからだ。松村邦洋もその電車の中乗り込んだ。松村邦洋は吉澤ひとみに見つからないようにそして彼女を見失わないようにたえず監視していた。吉澤ひとみは電車の中で席に座ると目をつぶり眠っているようだった。電車の窓ガラスには吉澤ひとみのつやつやとした黒髪と電車の天井についている照明が二重に映っていた。二つか三つの駅を過ぎ、上り電車と下り電車のホームが共通になっている駅に着くと吉澤ひとみはそのホームに降り立った。ドアの閉まるギリギリに吉澤ひとみは降り立ったので松村邦洋は彼女を見失うところだった。しかし松村邦洋もなんとかその駅のホームに降り立った。間一髪のところだった。あたりはもうすっかりと暗くなっていた。それがかえって幸いしたのかもしれない。昼間なら吉澤ひとみは松村邦洋の姿を認めたに違いなかった。吉澤ひとみは今度は上り列車のくるホームに立っていた。しばらくすると上がりの電車がやってきて吉澤ひとみはその電車に乗り込んだ。松村邦洋もあわててその電車に乗り込んだ。三十分くらい電車は二人を乗せて走っていたが大阪駅につき電車の中の乗客は一斉にホームに吐き出された。その人の波の中に松村邦洋も吉澤ひとみも入っていた。これらの多くの乗客の中で松村邦洋は吉澤ひとみの姿を見失いそうになりながらも吉澤ひとみの容貌が人混みの中に混じれば混じるほど輝きを放つため何とか見失わずにすんだ。それはまるで深海で光る発行体のようだった。吉澤ひとみは改札口で切符を手渡して大阪駅を出た。松村邦洋はなおも彼女の後を追いかけていった。吉澤ひとみは夜の大阪の街に出た。あたりはもうすっかりと暗くなり、赤や黄色、青色のネオンがチカチカと大阪の夜空に輝いていた。赤ちょうちんにも明かりが入っている。ネクタイを緩めたサラリーマン風の二人づれがそぞろ夜の街を歩いている。あたりはすっかりと暗くなり吉澤ひとみをを追いかけていくにはかえって都合がよかった。相変わらず吉澤ひとみは小走りで歩いていく。ショーウィンドーにも明かりが入り吉澤ひとみの姿がガラスに映ると何か幻想的な雰囲気になった。おもちゃ屋のショーウインドーの中ではモーターで動く熊のぬいぐるみがカチャカチャとタンバリンをたたいていた。吉澤ひとみは大きな看板のかかった建物の前で立ち止まった。どうやら映画館に入るようだった。彼女は映画館の中へ入っていった。映画館の入り口にはエッフェル塔を背景にして男女の俳優の顔が描かれている看板が立っている。吉澤ひとみは入場券を入り口のところで買うと映画館の中へ入っていった。松村邦洋も吉澤ひとみの後を追って映画化の中へ入ることにした。松村邦洋はポケットの中を探して財布を取り出すと入場券売り場で千五百円を払った。映画館の中は思いのほかがらんとしてる。映画館の中に入ると最初、暗やみの中でなかなか目が慣れなかったがしばらくすると目が慣れてきた。放射状に座席は並んでいた。その中に吉澤ひとみの姿を松村邦洋は探した。映画館の中は思いのほか空いていて松村邦洋は助かったと思った。あまり多くの人がいたらとても吉澤ひとみの姿を見つけることはできないだろうと思った。見慣れた髪型、なだからかな肩の線、吉澤ひとみは前の方の席に座っていた。彼女は画面の方に見入っていた。吉澤ひとみの姿を見つけて安心した松村邦洋は後ろの方の席に座った。スクリーンの中では外国の男女がパリの街並みを歩いていた。松村邦洋がなぜそれがパリの街並みであるか分かったかというと背景にパリの凱旋門が立っていたからだった。スクリーンの上では男女がなにやら語らいながら歩いている。男の方も女の思うベージュ色のコートきてる。男の方は黒髪で女の方は金髪だった。男と女は石畳にひかれた歩道の上を歩いている。朝方の時間らしい。画面にはなんとなく朝靄を降ったような雰囲気が漂っていた。古色そう然たる街路灯のところまで二人が歩いてくると急に二人は立ち止まった。そのとき凱旋門の前の広場でえさをついばんでいたハトが一斉に飛び立った。わけのわからないフランス語が松村邦洋の耳を抜けていった。吉澤ひとみはまだ画面の方に見入っていた。音楽は静かに流れ、映画館の後ろの方のドアが開いてレインコートを着た男が入ってきた。頭には帽子をかぶりサングラスをかけている。その男は吉澤ひとみの座っている座席の方へ近づいていき吉澤ひとみの隣の席に座った。その男はコートの内ポケットから何かを取り出すと吉澤ひとみに渡したようだった。松村邦洋はその取りだしたものを直接に見たわけではなかったが彼らの後ろから見るとそのように見えた。十分ぐらいの間その男は吉澤ひとみの隣に座っていたがそのうちすっくと立ち上がって映画館を出ていった。吉澤ひとみはなおもスクリーンに見入っていたがその男が出ていってからしばらくして彼女は席を離れて映画館の前の扉から出た。松村邦洋も吉澤ひとみを追って外に出た。吉澤ひとみはにぎやかな歓楽街を歩いて行ったがそのうち横路に入り路地裏を歩き始めた。松村邦洋もそのあとをつけて行った。クラブやバーのある裏通りを通り抜けた。そこにはポリバケツが裏口に置かれ、その中にはごみがたまっていた。そういう小道をいくつも通り抜け吉澤ひとみを追跡しているうちにいつしか松村邦洋は自分が港に来ていることを知った。かまぼこ型をした倉庫がいくつも黒い夜景を背景にして並んでいる。その倉庫街から大阪港が見える。海に面して建てられているいくつものかまぼほこの形した倉庫の前に吉澤ひとみは立っていた。それらの倉庫のうちのひとつに吉澤ひとみは立つとポケットの中から大きな倉庫の鍵のようなものを取り出した。松村邦洋は映画館で入って来た男が吉澤ひとみに渡したものは鍵だったのかもしれないと思った。吉澤ひとみは倉庫の入り口を細目に開けると周りを見渡した。吉澤ひとみは回りに誰もいないこと見定めるとその倉庫の中に煙が吸い込まれるようにすっと入って行った。そしてまた扉は閉められて鍵がかけられた。松村邦洋はその倉庫の前まで行くと鍵穴から中をのぞき込んだ。ぼんやりと明かりが見える。何か木の箱が見えた。その木の箱が邪魔で内部の方はよく見えない。松村邦洋はまどろっこしい気持ちになった。かすかな光をたよりにその倉庫の中をのぞき込んでいると不意に誰かに肩をたたかれた。振り返ると警官が立っていた。

「おいおい、君は何をしてるんだ。」

「はい、少しここ散歩していたんです。」

「見たところまだ高校生のようだがこんな時間にこんなところで一体なにをしてるんだ。ちょっと交番まで来て貰おうか。」

仕方なく松村邦洋は近くの交番まで引っ張っていかれた。松村邦洋は吉澤ひとみのことは何も話さなかった。住所氏名を名乗ってから学生証を見せるとも警官も放してくれたので松村邦洋は仕方なく家に戻ることにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る