年の差10歳の恋~この子と幸せになる~
いのかなで
第1話 初めての彼女とお泊りと
雅美ちゃんと付き合うにあたって、私は心に決意したことがある。きちんと稼いでちゃんと雅美ちゃんを幸せにすること。
あの子はわからないかもしれないけれど年齢差というものは私にとってとても大きい。好きだと言ってくれたことはビックリしたけどとても嬉しかった。好きだと気付いたのは、清水さんの家に雅美ちゃんが泊まった事実を聞いてからだった。
この上なく嫉妬していた自分に気付いてはっとした。正直、戸惑ってどうしたらいいのかわからなかったから。私は男性が好きだと思っていたからということが大きい。しばらくたっても返事をしなかったことは、やはり戸惑いが大きすぎて、年齢差もあり、彼女の将来の事も考えてしまったからだった。そこへ、清水さんの「彼女のこと僕が貰ってもいいですか?」という言葉で踏ん切りがついた。ちゃんと雅美ちゃんに自分の気持ちを伝えないとと思った。
清水さんは、雅美ちゃんのことが好きだった。私を好きだと雅美ちゃんには言っていたらしい。雅美ちゃんは私のことが好きだと清水さんに言われていたから、それで嫉妬してくれていて、私と清水さんを二人にはしたくないみたいだった。けど、私は清水さんの本当の気持ちを知っていた。だから、雅美ちゃんの気持ちがわかっていたけれど、清水さんと二人で会うことにした。清水さんに確かめたかったから。清水さんが雅美ちゃんを好きだとわかっていたけど、それは直接聞いた話ではなかったから。
「幸子さん?」
「うん。幸せだなぁって思って」
「ど、どうしたんですか突然」
そう言って、恥ずかしそうに顔を赤くする雅美ちゃんを抱きしめる。この子を私は好きだ。だから、私は絶対この子を幸せにするんだ。
私の心の中を読んでくれたらどんなに私があなたのことを好きなのか分かるのに・・・。雅美ちゃんはたまに不安そうに私に言う。「本当に私でいいんですか?」と。信用がないというより、実感がわかないのかもしれない。ひしひしと伝わる雅美ちゃんに愛されているという実感は私に十分に幸せだと思えるほど伝わってくるのに。私の愛し方が足りないのかな。
「雅美ちゃん好きよ。大好き」
「ちょ、幸子さん何ですか今日は」
「だって、可愛いから。」
「もう・・・幸子さんの馬鹿」
だから、言葉で伝えようと努力している。というか、口から出てしまうのは仕方のないこと。本当に好きなんだって自分でも驚くから。初めは女の子にキスとか、付き合ったら当たり前のことできるのかな?って思ってた。でも、付き合った初日からできちゃったもの。普通に恋愛できるんだって思った。まだ雅美ちゃんとは身体の関係は持っていない。でも、時に任せてもそういう風に自然にできてしまいそうな気がする。
会社を辞めてから、私は一応フリーランスと言う形をとっていた。いいわゆる個人事業主である。起業するため、会社作りの作業に奔走している。まだまだ成功までの道筋は見えてこないけれど、いずれは雅美ちゃんも呼んで一緒に会社をできればと思っている。幸い会社の起業資金というのは結婚破棄の時に優斗の家から頂いていた。せめてもの罪滅ぼし的に頂いたお金に使い道があるとは思わなかったけれど。まぁあの時は辛かったけれど、今となってはそのことさえよかったかなと思える。だって、あの会社に入って新人担当の雅美ちゃんに会えたのはある意味優斗のおかげでもあるのだから。
あ、そう言えば雅美ちゃんを誘おうとしていた優斗を止めたことあったっけと思いだした。相変わらず女癖が悪いのに腹が立って、雅美ちゃんを引っ張ってロッカールームに行ったっけ。あの時からもしかすると嫉妬していたのかもしれないな。雅美ちゃんとられたくなかったのよね。
「何考えてます幸子さん?何か私の顔ついてます?笑ってるから」
「いや、ついてないよ?今ね、前のこと考えてただけよ」
にやけていたらしい。今日は雅美ちゃんが家に来ていて食事した後、ソファーで二人でくつろいでいるところだった。雅美ちゃんは今日はお泊りセットを持ってきている。つまり、付き合ってから初めてのお泊りだ。パジャマ姿の雅美ちゃん。なんでこんなに可愛いのだろう。妹と同じ歳の10歳年下の女の子で彼女は若い。正直、私でいいの?とこちらが聞きたいところなんだけど。つやつやの肌を見ても年齢差を感じてしまうし、私アラサーだし、20代の若さなんてもうないのに。雅美ちゃんといると若くいないとと執拗に迫られたように容姿とか女子力が問われるような気がする。でも、それでも彼女と一緒にいたいと思っているからできるだけ努力はしたい。フェイスマスクなんか週一でやってる。隣にいるおばさんなんて思われ無いようにしないと。
「もう寝ます?」
「ん?そうね。」
「じゃあ布団敷きます?私やりますよ?」
「一緒に寝よう?」
「え、えっと・・・」
「ん?」
「今日はあの、生理なんです」
「あ、ごめん」
別にそういうつもりで誘ったつもりではなかったのだけれど、彼女はそう受け取ったらしい。恥ずかしそうに申し訳なさそうにする雅美ちゃん。こっちが何だか恥ずかしくなってしまった。違うと言うと恥ずかしがるだろうから、一応謝った。
「一緒に寝るだけでいいよ」
「あ、はい!」
私の言葉に雅美ちゃんは嬉しそうに返事をしてから私達はシングルのベッドに仲良く入った。可愛くて仕方がないこの気持ちを前面に表すと引かれてしまいそうだけど、雅美ちゃんの優しさに甘えてしまおう。今日は初めてのお泊りだしね。
「雅美ちゃん?」
「はい」
「ちゅーしてくれる?」
「は!?えっと・・・」
「ダメ?」
「い、いいですよ?」
そう言って恐る恐るキスしてくれた。その仕草が可愛すぎて私は我慢できずにキスをし返す。ちょっと大人のキスを雅美ちゃんに。可愛くて愛しくて仕方なくて、止まりそうになくなって、彼女がさっき言ったことを思い出す。あ、ダメね。そう思って私は雅美ちゃんから離れた。少し名残惜しそうにする雅美ちゃんの顔は蒸気してて、やばいそんな顔されたらこっちだって我慢できなくなっちゃうから。だから、ちょっとトイレ行ってくるねと一息つきにベッドを抜け出した。こんなに彼女にはまってしまってる自分に気付く。男性からされる時には受け身に徹していた。
自分がまさかこうも積極的になるなんて。初めての感情に驚く。私、本当に雅美ちゃんのこと好きなのね・・・。一息ついてベッドに戻った。雅美ちゃんは寝息を立てていた。起こさないようにそっとベッドに入ってサラサラの髪に触れ、キスをする。
「大好き。雅美ちゃんお休み」
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