第9話 愛情なんて感じない

智也との結婚の準備を始めてから半年が経ち

私達は無事に挙式の日を迎えた。


白いウエディングドレス、

キラキラしたティアラを頭に身につけて、私は父と共にウェディングロードを歩いている。

誰もが、この瞬間を羨むのだろう。


やがて、私は愛する人の隣に着き、

愛を誓い、唇にそっと口づけをされる。


みんなからの温かい言葉、祝福全てが

私を満たせてくれるはずだった。


でも、何も感じない。

やっぱり全然物足りない。


結婚式が無事に終わり、私達夫婦は新居へと向かっていた。2階建ての一軒家だ。そんなに広くはないけど、将来子供が出来た時ように防音対策がしっかりしている家を智也が買ってくれたのだ。

今日からここが新しいお家だ。


部屋に着くと早々に智也に腕を引っ張られ、

ベットに押し倒される。

右頬に優しく手を添えられて


「亜美、愛してるよ」と目を見て言われる。


「私も智也を愛してるよ」と少しにこりと微笑みながら返すと、智也は少しずつ顔を私に近づけて

唇を奪う。最初は優しく、重ねるだけのキスを。

だんだんと、舌と舌を絡め合う濃厚なものに変わり、時々「んっ、、、」という喘ぎ声が漏れてしまう。お互いの唾液が混ざり合う感覚、智也の手が

私の太腿に触れ、徐々に私の秘部へと手が近づいてくると下着の上から優しく擦られるだけでも

大袈裟なぐらい身体はピクピクと反応してしまう。やがて、下着の中に手が入り、そこに触れられるともうそこは濡れている。キスをされ、胸を触れながら徐々に服を脱がされていく。

やがて、お互いが裸になると私の耳元で「挿れていい...?」と囁かれ、首を縦に振る。足を優しく開かれ、熱くて質量の大きいものが自分の中にゆっくり入ってくる。


「あぁっ...んっ...」


最初は痛いけれど、慣れてくると徐々に感度があがり気持ちよくなる。


「亜美、好きだ、愛してるよ」


私の頭を優しく撫でながらそう何度も愛を伝え、腰を振る彼に私はやっぱり何も感じないのだ。

彼を好きだという感情も

彼を愛しているという感情も

何もない。

その愛は所詮今だけ。

一生なんて存在しないのだ。


そもそも、私は普通になりたかっただけで

あなたを好きだと自分に言い聞かせていだけだ。

誰かに愛を伝えて貰い、自分も愛を伝えることで普通なのだと身体を何度も重ね合わせ、温もりを感じることで安心したかっただけだ。


智也は愛を沢山注がれて生きてきた人間だ。

私とは違う世界にいる。

だからね...知りたいの。

私に教えて...

私のこと好きなら愛してるならきっと

分かってくれるよね...?


彼の背中に手を回しながら私はずっとそんなことを考えていた。

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