第2話 幸せになる準備

プロポーズを受けてから3ヶ月が経ち、彼のご両親、そして、私の両親に挨拶を済ませ式の準備も着々と進んでいた。


22歳の時に大学を卒業してから約5年間借りていたこの六帖一間のアパートともあと少しでお別れだ。


月日は早いものだと実感する。

高校卒業したての頃は、大人になるのなんて

まだまだ先だと思っていた。

ましてや、自分が社会に出て働くことなんて

想像すら出来ていない子供だった。

大学も何かを学びたいから行ったのではなく、

なんとなく周りが大学に進学するから

まだ遊びたいからという軽率な理由で通っていた。


でも、そこで学んだプログラミングが

凄く面白くて、私はプログラマーになった。


その就職した会社で会ったのが、今の私の婚約者

、智也だ。


男だらけの中で、会社にうまく馴染むことが出来ず、困っていた私を助けてくれたのだ。


1つ上の彼は、先輩として優しく仕事を教えてくれ、いつも私を見てくれていた。


この業界では、比較的、コミニケーション能力が

低い人も多い中で、智也は違った。


どんな人にも優しくて、頼り甲斐があったし、

皆んなからも慕われていた。


そんな人と私はこれから夫婦になれるのだ。

大丈夫、きっと幸せになれる...。


そんなことを考えながら段ボールに荷物を詰めていると、一冊のノートを見つけた。


私が高校の時、描き続けていた日記だ。

パラパラとノートをめくるとそこ書いてあった

内容に唾を飲み込まずにはいられなかった...。


ダメだ...。

絶対に...。

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