魔導士との取引

 ザネマに従って地下室へと戻ってきたラナクは、部屋に入るなり床に描かれた円陣の上に横たえられたままのマージュを目にし、彼女の姿にどこかしら異変はないかと視線を走らせているうちに、先ほどまでの辛そうな荒い呼吸が治まっていることに気がついた。


「なぁ。マージュは大丈夫なのか?」


 ラナクが宙空に浮かぶザネマに訊くと、「あぁん? そーりゃそりゃそりゃそりゃりゃりゃりゃ、どーういういう意味いーみだだだだだ?」と異形の魔導士が訝しげな声を上げた。


「改良は無事に成功したのか? もう命の危険はないのか?」


「おーまえまえまえまえ、まえっまえ! おーれ俺俺、おーれ魔法まーほう法を見縊みーくび縊縊見縊みーくびってんてんのかかかかかッ!」


「いや、そういうわけじゃ……なんて言うか、改良ってわりには見た目に変化がないなって」


「そーりゃそりゃそりゃそりゃそうだ! こーのこのこのむーすめがやーられられられやーられてたのは、身体かーらだらだらだのなーか中中だーったからからな!」


 ラナクは「身体の……中」と呟き、音を立てて唾を飲み込むとマージュを見やった。


「そーれそれそれそれそれじゃあ、おーれ俺俺おーれかーえるえるえるえるえるぜ!」


 そう甲高い声で言って部屋から出ていこうとするザネマを、ラナクが「ちょ、待てよ!」と呼び止め、彼の背中へ向けて「シャンティたちを返してくれ!」と怒鳴った。


 宙空でくるりと方向転換したザネマは「あぁん?」と紫の目を吊り上げ、「そーれそれそれがれがれが、おーまえまえまえの友人ゆーうじん人のいーのちのちのちをすーくってくってって、やーったやったやったったもーのたーいするする態度たーいどいどいどか?」と言い、「こーのこのこの礼儀れーいぎいぎいぎ知ーらずらずらずのガーキがッ!」と続けた。


「あッ!」と声を漏らしたラナクは、ザネマから視線を逸らしつつ「えっと、マージュを救ってくれて、その、ありがとう……」と決まり悪そうに言い、再び魔導士を見上げ「でも、それとこれとじゃ話が別だ! あんたの敷地に無断で入ったことを怒ってるなら代価を払う。だから三人を返してくれ!」ともう一度訴えた。


代価だーいかぁ? 目的もーくてき的のもーの物物は、もーうそのそのそのそのむーすめからからから、いーただいたからからからいーらいらいらいらいらねぇ!」


?」


「ネーキワムカムの血液けーつえき液だ!」


「ネキ? それ、前にもどこかで聞いたような」


「そーれそれそれそれじゃあなッ!」


 そう言ってラナクの周りを一回りし、戸口から出ていこうと宙空を滑空していたザネマを、右手を振り上げたメイナが「ちょいと待ちなぁ」と鷲掴みにして捕らえ「アンタら、さっきからこの家の主人であるあたしを無視して、一体なんの話をしてるんだい?」と嬉しそうな声で問い詰めた。


「メイナさん、実は」


 ラナクが説明を試みようとするのを遮るように、身体を握られて自由を奪われているザネマが「メーイナァ! おーまえにゃ関係かーんけい係ねぇねぇねぇはーなしだだだだだッ! こーのこの手をはーなしなしなしやーがれッ!」と騒ぎ、メイナの手から出ている頭と足先をバタつかせた。


「アンタ、ネキワムカムの血液をいただいた、とか言ってたね?」


「だーったらたらたらたら、なーんだッ!」


「この部屋はあたしの研究室で、スピリテアの一部でもある」


「なーになになに、なーにが言ーいたいたいたい?」


「つまり、ここにあるものはなんであれ、あたしの所有物であって店で扱う商品でもあるってことさ。当然、ネキワムカムの血液もねぇ」


「なッ⁉︎ き、きーたねぇねぇぞッ!」


 メイナは「汚い?」とザネマを握っている右手を顔面に近づけ、「アンタだって同じだろ?」と低い声で脅すように言った後、顔を部屋の奥に向け「ラナク。アンタの連れはコイツんとこかい?」と訊ねた。


「そ、そうです! あと、ミトシボさんも……でも、どうしてそれを?」


 訝るラナクを無視して手中のザネマを見下ろしたメイナは、「ほぅら、同じじゃないか」と口の片端を吊り上げ、口元に笑みをたたえたまま「それじゃあ取引といこうかねぇ?」と提案し、「血液はアンタにやる。その代わり、ミトシボの旦那たち三人を解放しな」と高圧的に言った。


「なーんなんなんなーんだとッ⁉︎ そーれそれそれそーれじゃあ、釣ーり合い合いが取ーれ」


「ザネマ。あたしがネキワムカムの血液の希少価値を、知らないとでも思っているのかい? 熟練の魔導士一人、古代の魔導人形一体、それから見習い精霊術士の三人の命とでトントンってところだろ」


「くッ!」


 メイナの指摘で言葉を詰まらせたザネマは、逡巡しているのかしばらく唸り声を上げていたが、やがて「よーしよしよしよし、わーかったったったったった。ミートシボと魔導まーどう人形にーんぎょうかーえしてしてしてしてやーるやる」と観念したように言い、「だーがだがだが、だっがだがッ! あーのあのあのシーン……じゃねぇッ! むーすめはダーメダメダメダメダメだッ!」と勢いよく捲し立てた。


「ふん。まぁ、それぐらいは譲歩してやっ」


「駄目ですよッ!」と突然声を張り上げたラナクは、「娘って、シャンティのことですよね⁉︎ なに言ってるんですかッ!」と怒りを滲ませ、「二人しか解放されないのなら、そこはシャンティとミトシボさんでしょ⁉︎」と続けた。


 メイナは「あたしゃ別に誰だって構やしないよ」と興味なさげな調子でラナクに応じ、「それでいいかい?」と己の右手に収まっているザネマに訊いた。


「ダーメダメダメダメダメだッ!」


 ザネマの強固な拒絶の態度に顔を顰めたメイナは、「なんだい、やけにこだわるじゃないか。あの嬢ちゃん、なにかあるのかい?」と、隠し事を探り出そうとするかのように異形の魔導士の瞳を覗き込んだ。


 口を固く閉ざすザネマに代わり、ラナクが「確か、シャンティの血筋がどうとかって」と横から口を挟み、メイナが「血筋? どこか名のある家の子なのかい?」と訊ね返し「そこで寝ている坊やのように」と床に横たわるガルを顎先で示した。


「えっと、シャンティの本当の両親は、その……いなくて。だから、もしかしたら」


「そうかい。なんにせよ、アンタの態度からすると、あの嬢ちゃんは魔導人形よりも価値のある稀有けうな存在ってわけだ。そうだとわかっていて、みすみすアンタの実験材料にさせるわけにゃあいかないねぇ」


「そうだ! こいつ、みんなを実験材料って」


「ネキワムカムの血液だけじゃなく、それに匹敵する希少価値のある嬢ちゃんまでタダ同然でいただいちまおうだなんて。アンタもなかなか味な真似をするじゃあないか、えぇ?」


 すると、それまで大人しくしていたザネマが、「クーッソクソクソ、クッソクソーッ!」と叫びつつ両足をバタつかせ、メイナの手中で身悶えするかのように暴れはじめた。


「図星だね。それじゃあネキワムカムの血液の代価に、嬢ちゃんを含めた三人を無傷で解放するってことで商談成立といこうじゃないか」


 ザネマは「きゃぁぁぁぁ!」とひときわ甲高い叫び声を発し、「メーイナァッ! おーまえまえまえおーまえは、なーぜなぜなぜなーぜなぜ、あーのあのあのあーのガキのかーた肩を持ーちやがやがるるるるるッ!」と憤りを露にした。


 メイナは手中で騒ぎ立てるザネマを見下ろすと、溜め息を一つ吐いてから「特に理由なんてありゃあしないよ」と気怠そうに言い、「まぁ、いて言うなら、同郷のよしみってやつかねぇ」と自嘲気味な笑みを浮かべた。




 ザネマが体内に隠していたネキワムカムの血液の入った肉袋を、彼の口から無理やり手を突っ込んで取り出したメイナは、それをラナクの前に掲げ「三人の解放を確認してからヤツに渡すんだ」と言って同行を命じた。


「はぁ、はい……」


「なんだい? さっさと受け取りな」


「いや、でもそれ……なんか濡れてて糸引いてるっていうか、それにビクビク動いててキモイっていうか」


 メイナは「ごちゃごちゃ言ってないで、とっとと行きなッ!」と肉袋をラナクの胸にドンと押しつけた。


「ちょ、うわッ⁉︎ 今ヌルッて」


「ところでザネマ。アンタらどうやってエレムネスまで来たんだい?」


 メイナの手中から解放されたザネマは、「そーのそのそのガーキが持ーってるてるてるてるてーるてる、おーれ使つーかい魔アービチの空間くーうかん転移てーんいだだだだだ!」と彼女から離れた宙空を飛び回りながら喚き散らし、「おーいおいおい、おーいおい! アービチをよーこせせせせせ!」とラナクに向かってがなり立てた。


 ラナクが腰に下げた革袋からアービチを取り出すと、どこからか飛来したザネマがそこへ取り付き、「おーれのれのれのしーま島島行ーきのじーん陣陣を、描ーくからからからからちょーっとっとっと待ーて待て!」と光る煌空石を難儀そうに持ち上げた。


「その、煌空石みたいなゴツゴツした奴が使い魔なのかい?」


「煌空石じゃなくて煌空石そのものですよ。なんか、どこぞの魔導士の血を浴びたら魔力が宿ったとかって」


「へぇ。風の塔から持ち出せる、魔力を帯びた煌空石ねぇ。ずいぶんと便利なものを持ってるじゃあないか。アンタ、あたしにソイツを売る気はないかい?」


 石造りの床に円陣を描いていたザネマは、「ふーざふざふざ……ふざ……ふざけ、ふざけるなッ! 使つーかい、使つーかい……魔を……売ーり売り売り売り飛ばす……ばすばす……魔、魔導士まーどうしが……いーるるるるるる、かかかかかッ! け、契約けーいやくも……あーるある、だろだろがッ!」と息も絶え絶えに叫んだ。


「契約ったって、ソイツァ喋れないんだろ? 主人を選り好みして文句を言いやあしないさ。それに、アンタは翅があって飛べるんだし、譲ってくれてもいいじゃあないか」


「やーな……やなやな……やなやな、やーなこったッ!」


「ふん。相変わらずケチ臭い奴だねぇ」


 ようやく苦労して円陣を描き終えると、ザネマは「おーまえまえまえ……まーえまえ、アービチを……ひ、ひーろってってって、こーの……このこのなーかに……立ーて立て」と、荒い息を吐きながらラナクに向かって力なく言った。


 ラナクは「いちいち拾わなくても」と言いながらザネマのそばへと移動し、床のアービチを拾い上げて「この中に置いちゃ駄目なのか?」と円陣の中へ足を踏み入れた。


「あーのあのあの……あーのなぁ! アービチは……特別とーくべつ別別べっつ別だと……言ーっただ、ろろろろろッ! て、丁重てーいちょう重に……あーつかつかつか、あーつかえッ!」




「ねぇ。さっきから妙に静かじゃない?」


 剥き出しの煌空石に囲まれた、いびつな調度品の数々がてんでバラバラに配置された部屋で、座面の厚い肘掛け椅子に深々と腰を沈めていたシャンティが、突然誰に言うともなく疑念の声を上げた。


 部屋の隅で所在なさげに立っているイブツが「そうですね。ラナクとザネマが話していた声が途絶えてから、かれこれ二時間半ほど経ちます」と応じ、「聴こえた会話の内容からすると、二人はエレムネスへ向かったようですが」と続けた。


「え? 私たちをほったらかして帰ったってこと?」


「そうではないようです。ザネマはラナクとの会話中、わたくしたちを実験材料と呼んでいたので、おそらく後で解剖さ」


「ちょ、やめてよ! 実験材料⁉︎ どういうこと? だってさっきは客人が来るのは珍しいとかって」


「いんや」と別な肘掛け椅子に踏ん反り返っているミトシボが割って入り、「あぁいつはめっずらしい客人きゃっくじんが来ぃたっつったんだわい」と訂正すると、シャンティが「それって同じことでしょ?」と小首を傾げた。


「ちっげぇ、ちっげぇ。あぁいつにとっちゃほっか人間にぃんげんなぁんてのはよ、たっだの研究けぇんきゅう材料ざぁいりょうに過っぎねぇんだわい。魔導士まっどうし典型てぇんけいっちゅうのはそういうこっとだぁ」


「ちょ、え⁉︎」と言って急に立ち上がったシャンティは、「こんなところでくつろいでる場合じゃ……」と周囲を見回し、「私たちも早く逃げないと!」と離れた場所にいるイブツとミトシボを交互に見やった。


「まぁ、落っち着けぇ。逃ぃげるっつぅってもよ、おぉれ飛空船ひっくうせんこぉっわれちまぁったしよ、ザァネマに代っわりのもん借っりでもしぃっねぇと、どぉうにもなっらねぇわい」


「そんな! ねぇ、魔法でどうにかならないの?」


 巨大な目玉をぎょるぎょると回したミトシボは、「おぉれ魔法まっほうはそぉういうたっぐいのもっんじゃあねっんだぁ」と言ってシャンティから視線を外した。


「イブツ! あんた、鳥みたいに空を飛べたりしないわけ?」


「飛べますよ。ある程度ですが」


 イブツの返答に目を丸くしたシャンティが「飛べるの⁉︎」と驚きの声を上げ、「それなら、私たちを抱えて飛んでく」と言い掛けたところで、彼が「お断りします」と先回りして拒絶した。


「なんでよ!」


「わたくしが著しく消耗するからです。人間で言えば疲れるということです」


「いやなに言ってんの? あんた自動人形でしょ?」


「自動人形だから疲れないというのは、いささか偏った人間本位な考え方ではないですか? 自動人形には自動人形の事情があるんです」


「はぁ⁉︎ あんた魔光石で魔力を補充したばかりじゃない!」


「それはそれ、これはこれです」


「意味わかんない!」


 シャンティが苛立つ一方で、ミトシボは「んまぁ、落っち着けぇ」と再び間延びした声で彼女をなだめ、イブツも「かつて栄華を極めたゴワナル国のアマビマ人たちの言葉にあるじゃないですか。『サドアゲンニーるなら、ンッワッくてもソ』って」とよくわからない格言のようなもので便乗した。


「もうッ! なんで二人ともそんなに落ち着いていられるのよッ!」




 アービチの空間転移魔法でザネマの住処すみかへと移動するなり、ラナクが「なぁ、あんた。さっきはなんであんなにシャンティに拘ってたんだ?」と、眼前に浮かんでいる異形の魔導士の小さな背中へ問い掛けた。


「あーのあのあのむーすめはシーンドウの血筋ちーすじ筋筋だーからななななな」


「それだ! 前も言ってたやつ。それってそんなに珍しい血筋なのか?」


 急に身体を反転させてラナクと向き合ったザネマは、「おーまえまえまえはなーんにもにもにもにも、知ーらねぇねぇねぇんだななななな」と呆れたように言った。


「だって、そのシーンドウ? とかいうやつ、禁忌だろ?」


「だーっただっただった、だーったったったったったったらら、なーんだってんてんてんてんてんだだだだだ? 知ーり知り知り知り知り知ーりたきゃ調しーらべりゃべりゃべりゃべりゃいーいいいいいいーいだろろろろ」


 ラナクは「え、でも禁」と言いかけて言葉を止め、禁忌とは『何者かの理想の世界を守るためにある』というメイナの仮説を思い出し、ザネマから視線を逸らして「誰かの都合か」と囁くような声で独り言ちた。


「あぁん? なーんかんかんかんか言ーったったったかかかかか?」


「いや。それで、三人はどこにいるんだ?」


「あーいついついつあーいつらは、おーく奥奥おっく奥にいーるいる。いーま連ーれてれてれてくーるからからからからからっから、こーここここここここここーこで待ーっていろろろろ」


「俺も一緒に行く。シャンティの血筋がそんなに珍しいんじゃ、あんたが勝手に血を抜くかもしれないからな」


 思惑を見抜かれたザネマは「こーのこのこのこのこの、猪口才ちょーこざい才なガーキがががががッ!」と、金切り声を上げながらせわしなく部屋中を飛び回り、一頻ひとしきり騒いでから急にラナクの顔面の前で動きを止めるや「なーぁなぁなぁななななな! とーりとりとりとり取引とーりひき引しーねぇねぇかかかかか?」と提案した。


「おまえ、やっぱりシャンティの血を」


「だーからからからからっから! 取引とーりひき引だってって言ーってるてるてるてるだろろろろ!」


「なにをどう取引するんだよ? あんたが三人を解放したら、この」とラナクは右手に持ったままの肉袋を目の高さに掲げ、わずかに顔を背けながら「なんちゃらって血を渡して終わりだろ? 俺は欲しいものなんてないし」と関心のない様子で言った。


「まーぁまぁまぁまぁまぁ、聴ーけ聴けッ! アービチを割ーってってそーのそのそのその欠片かーけらけらけらをおーまえにやーるやる!」


「はぁ⁉︎ 割るって……さっきは丁重に扱えとかなんとか言ってたくせに」


「あーれあれあれあーれあれは、メーイナに取ーられられねぇねぇねぇたーめための建前たーてまえ前だ! そーれそれそれそーれでも、アービチが特別とーくべつ別別なのは本当ほーんとうだだだだだ!」


「だとしても、やっぱり駄目だ。他人の身体でそんな取引はできない。なにかやるなら俺で試せばいいだろ」


 ザネマは「わーかってかってねぇねぇななななな! おーまえまえじゃ意味いーみが」とまで言って唐突に言葉を止め、一呼吸置いて「いや……」と何事かを訝るような声を漏らすと、「いーやいやいやいやいやいやいや、いーや待てよ⁉︎ そーうそうそうそーうでもねぇねぇねぇかかかかか!」と大声を張り上げた。


「今度はなんだよ? なに急に元気になってんだよ」


 ザネマはラナクの周りを何度もぐるぐると飛び回りながら、「そーうそうそうそう! おーまえまえからからは、まーだまだまだまだ、あーのあのあのあのむーすめ改良かーいりょう良良しーてしてしてしてやーったったった、代価だーいかをもーらっちゃっちゃいーねぇねぇかーらからからななななな!」と嬉々として叫んだ。


「え、だって、この血が代価じゃ」


「そーれそれそれそれそれは、あーのあのあのあのむーすめすめすめのいーのちのちのちをすーくった代価だーいかいかいかで、おーまえまえの依頼いーらい頼でいーのりの塔まーでまで出向でーむいたいたいたいたたたた代価だーいかじゃねぇねぇねぇ!」


「ちょ、はぁ⁉︎ 改良と移動とで別々の代価を要求する気かよ!」


「おーいおいおいおいおい、おーいおい! そーれそれそれそーれが、おーまえまえの友人ゆーうじん人のいーのちのちの恩人おーんじん人にたーいするする態度たーいどかかかかか?」


「いや、その……」


「あーいつらつらは無傷むーきず傷でかーえしてしてしてしてやーるやる。ちーっとちとちとちとちと、ちーっとばかし惜ーしいしいがななななな」


 それを聴いたラナクが「え? ああ……なんだよ。脅かすなよな」と安堵した声を上げると、ザネマが「そーのそのそのその代わり、おーまえまえに実験体じーっけんたい体になーってってってなーってもーらうらうぜぜぜぜぜッ!」と空中で小躍りした。

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