43 忍チューバ―VS韓国艦隊の巻き


 韓国艦隊から「ドーン」と大きな音が鳴り響いたしばらく後、港の一部が吹き飛び、水しぶきが上がった。


「おお~。ここまでやるのか~」


 半荘は、すでに港から離れ、遠くから艦砲の着弾を見ていた。


「俺を狙って撃ったのかな? それならば、向こうから俺が見えているのか……」


 半荘が暢気のんきに考えていると、また「ドーン」と音が聞こえて来たので移動する。


「確実に俺を狙って来ているな。じゃあ、建物から離れるか。その前に……」


 半荘は耳栓を付けると、艦砲が放たれる度に移動を繰り返し、島の端まで行くと、海を走って隣の島に移動する。

 艦砲が放たれる度に、艦隊は竹島までの距離が近くなり、艦砲の放たれる間隔も短くなる。

 すると半荘は、岩山でできた島の裏に回ってしまい、艦砲の音は無くなった。


 当然、艦隊も島を回り込もうと進み、360度とまではいかないが、一部の死角を残して取り囲むのであった。



「う~む……」


 岩陰から艦隊を見た半荘は、うなり声をあげる。


「あれ以上近付いて来ないか……さすがに海上を走りながら弾を避けるのは厳しいな」


 艦隊は、半荘を警戒して一定の距離を残す。

 半荘に、船に乗り込まれたくないという理由はあるが、大型船ではこちらの島に接岸する事ができないので、近付くつもりもないようだ。


「仕方ないな」


 半荘はそれだけ呟くと、岩陰から出て波打ち際を走る。

 ごつごつしてかなり走り難い場所だが、壁すら走れる半荘には普通の道と変わらないようだ。


 半荘が岩陰から現れると、艦隊から機関砲が連射で放たれ、弾丸が着弾する。

 その数、一分間に数百発。

 弾丸は、半荘が走り抜けた岩肌を次々に削る。


 機関砲掃射は、半荘の素早い動きについていけていないが、徐々に半荘に追い付く。

 その頃には島を一周してしまい、半荘の姿は岩陰に隠れてしまった。


 だが、半荘はすぐに反転。


 突然現れた半荘に、慌てて機関砲を掃射するが、狙いが定まらずに無駄撃ちし、半荘は一周して隠れてしまった。


 半荘が岩陰から出た狙いは、この無駄撃ちだ。

 自分の体力と、艦隊の残弾の持久力勝負に出たのだ。


 韓国艦隊はその作戦に気付いているかわからないが、次に半荘が現れた瞬間、一斉射撃。

 半荘がさっき通った進路を全て潰した。

 無駄撃ちでも、短期決戦を選んだのかもしれない。


 しかし半荘は、韓国艦隊の狙いに気付き、先ほどより高い位置を走る。

 結局は、機関砲はその下を無駄撃ちする事となった。

 半荘に掛かれば、足場の悪い岩山であっても、足場の悪い壁であっても、あまり関係ないようだ。


 死角に戻った半荘は、今度はすぐに出ずに、前日に食料を移動した場所で小休憩。

 ペットボトルの水を、ゴクゴクと飲み込む。


 韓国艦隊は、半荘が出て来るのを待っていたが、痺れを切らして死角に近い二隻の駆逐艦が移動した。

 その直後、半荘は現れた。

 虚を衝かれた二隻だけは出遅れ、半荘は岩山を一段上げて走り切る。


 そうして次の周回……


 パラパラ……ドーン! パラパラ……ドーン!


 韓国艦隊から機関砲に加え、艦砲も放たれた。


 半荘の進行方向に爆発が起こり、岩肌は砕け、半荘の足も止まる。

 そこに機関砲が放たれるが、半荘は反転。

 艦砲も反転の進行方向に放たれたが、ちょっと遅い。

 半荘はギリギリ死角に逃げ込んだ。


 後方で爆発音と熱気を感じた半荘は、またペットボトルの水を飲んで愚痴る。


「韓国は無茶苦茶するな。たった一人に撃ち過ぎだろう。どんだけ金を無駄にしてるんだか……。はぁ。白兵戦ならチョロイのにな~」


 半荘は愚痴りながら屈伸し、次の周回に挑み、艦砲や弾丸の雨を走り抜ける。

 そうして何度も繰り返していると、竹島の岩肌は崩れ落ち、足場が悪くなる。


 そんな中、突如、韓国艦隊からの攻撃がやんだ。


「あれ? 西に向かって離れて行く……」


 半荘も気になり、足を止めて動きを見ていると、韓国艦隊は竹島から離れて行くのであった。

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