第6話 縄張り守ったキジトラ猫

 キジトラ猫がケガをしていた。たぶん、猫同士の喧嘩だ。


 昨夜の相手はかなりの強者だったようで、今朝のキジトラ猫はすこぶる元気がない。


 キジトラ猫がこのベンチにいるということは、自分の縄張りを守ったんだ。


 私が次にベンチに行った時、キジトラ猫は茂みの中で寝ていた。


(猫ちゃん、眠っている間に傷は治るよ。ゆっくりお休み……)


 私は足音を忍ばせて、そぉーっとその場から立ち去った。

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