第56話「チートキャラが全力で護衛任務についたらこうなった」

 次の日、僕たちは『海竜の聖地』に来ていた。


 メンバーは僕、セシル、リタ、アイネ、ラフィリア。


 イルガファ領主家からはイリスと、護衛の兵士たちが20人。兵士たちは全員、青いプレートメイルを身につけ、槍と弓を装備している。イリスの隣に控えている兵士にだけ、兜に角がついてる。兵士たちのリーダーだって、イリスが教えてくれる。わかりやすいね。


『海竜の聖地』は、半島の先端に大きく突き出た岩場で、まわりにはたくさんの柱が建ってる。


 ダンジョンの入り口は、柱の列の中心にある。


 入り口には鉄製の扉があるけど、中は自然の洞窟って話だ。


 イリスの地図によると、深さは通常のダンジョンの地下2階くらい。選ばれた者しか入れない中枢を含めれば、地下3階ってところだ。


 僕たちの目的は、このダンジョンの中にいる魔物を追い払うか、退治すること。


 そしてその間、地上にいるイリスを守ることだ。


 祭りのたびにイリスが張りなおしてる結界は、少し弱くなってる状態らしい。


 だからダンジョンの中に魔物が入り込んでるし、地上にいても魔物に襲われる可能性がある。


 てなわけで、ダンジョンに潜る組はさっさと魔物を追い払って、地上に戻ったあとイリスを連れてフルメンバーで地下に戻り、結界を張り直してもらわなきゃいけない、ってわけだ。






「それじゃアイネ、ラフィリア、イリスの護衛を頼むね」


「わかったの」

「うけたまわりました、マスター」


 アイネは、買ったばかりの「はがねのモップ」を構えて、ラフィリアは弓を手に、それぞれ僕に向かって頭を下げた。


 僕と一緒にダンジョンに入るのはセシルとリタ。


 あとは、魔剣のレギィ。それと、オプションを連れて行く予定だ。


「こう見えてアイネもラフィリアも、かなりのチートキャラだから、任せて平気だと思う」


 僕はイリスに言った。


 小さな椅子に、ちょこん、と座った彼女が、ちょっと不安そうだったから。


「……『ちいときゃら』ですか?」


「少なくとも、セシルとリタと同じくらい強い」


「……承知いたしました」


 イリスは不思議そうに、アイネとラフィリアを見てる。


 アイネは見た目は普通のメイドさんだし、ラフィリアはほわほわした感じのエルフさん。絶対、強そうには見えないだろうな。


 ただ、この2人を本気で怒らせたら、イリスの護衛を全滅させるくらいできるかもしれない。


「じゃあ、ラフィリア、オプションを出して」


 ダンジョンの入り口で、僕はラフィリアにお願いした。


「はい、マスター」


 ラフィリアは革の鎧の隙間から、小さな布を取り出した。さっきまでハンカチ代わりに使ってた奴だ。それを自分の頭に近づける。彼女の頭には、青い髪留めがついてる。それがふるふる震えて、伸びて、ぱくん、と、ハンカチを飲み込んだ。


「『えるだちゃん』、マスターのために分裂してくださいー」


 ふるふる、ぴくぴく、ぽろん。


 ラフィリアの髪留めから、手のひらサイズのかけらが飛び出した。


 それはハンカチを飲み込みながら大きくなり、座布団くらいのサイズに変わる。


 青い身体。ゼリー状の表面。


 どこからどう見てもスライムだった。


「いい子ですねー『えるだちゃん』」


 ラフィリアがなでると、髪留めはうれしそうに震えた。


 髪留めの正体は、エルダースライムが残していったかけらだった。


 普段は髪留めに擬態ぎたいしていて、ラフィリアの汗や体液がしみこんだ物を与えると、分裂してオプションを吐き出してくれる。オプションの寿命は2時間くらいだけど、その間は使い魔にできるすぐれものだ。


「レギィ、エルダースライム(子)の操作を頼む」


『了解した主さま。発動「粘液生物操作(スライムブリンガー)LV1」!』


 僕の背中で魔剣レギィがチートスキルを発動。意志を持たないエルダースライム(子)を操り始める。


 うねうね、うねうね。


 青いスライムが僕たちの先にたって、ダンジョンの入り口へと進んでいく


 こいつの感覚はレギィと同期してる。なにかあったら察知してくれるはず。


 これで準備は完了だ。


「隊列の先頭はスライム(レギィ)、次にリタ。最後に僕とセシルだ。いいかな」


「はい、ナギさま。おふたりには何者も近づけさせません!」


「さっさと終わらせましょ。ナギが買ってくれた服、潮風でべとべとにするのはやだもん」


 新しい装備を身につけたセシルとリタは、同時にうなずいた。


 セシルの『見習い魔法使いの衣』は丈の短いワンピース。ぱっと見、ちびっこ魔法少女みたいだ。


 リタの『神聖挌闘家の服』は腰に大きなスリットが入った挌闘服。動きやすくて防御力も高い、胸が強調されるから腰が細く見えるところが気に入ってる──ってのがリタの意見だ。


「それではソウマさま、ダンジョンを開きます」


 イリスが首から提げた鍵を取り出した。


 ダンジョンの入り口は鉄の扉で封印されてる。


 入り口はここと、海竜がやってくる海側の開口部しかない。


 だから、魔物は海側からやってきたんじゃないかっていうのが、イリスたちの推測だ。


「みなさま、どうぞ無理はなさらないように……」


 イリスは鍵を、ダンジョンの扉に差し込んだ。


 ぎぃ、と音を立てて、鉄の扉が開いていく。


 僕は装備を確認する。イリスの地図、よし。魔物のデータは頭の中に。アイネのお弁当、よし。魔物対策リストはセシルとリタに配ったから、よし。緊急時の切り札も、よし。


「それじゃ行ってくる」


 そうして、僕たちはダンジョン攻略を開始したのだった。






 ──そして、ナギたちがダンジョンに潜ったあと──


「あ、ダンジョンの中が光りましたねぇ」


「やっぱり初手は『灯り』なの」


 ほのぼの、しみじみ。


 イリスとアイネ、ラフィリアがいるのは、神殿跡の柱の陰。


 できるだけ潮風が当たらないところに椅子を置き、イリスはそこに座っている。


 目の前にはたき火と、その上につり下げられたヤカン。ぼんやりと火を見つめているイリスに、メイドさんがお茶を勧めてくる。


 一口すすると、市販品のお茶の味。でも、とっても深い、安心する味だった。


 港町であるイルガファには、いろんな種類のお茶が入ってくる。目の前にいるメイドさんは、それを独自にブレンドしているらしい。複数のお茶を混ぜ、その上でそれぞれの味わいを引き出している。


 ……さすがはソウマさまのメイドさん、あなどれない。


 思わず落ち着いてしまったイリスに、エルフの少女が香ばしいにおいがするものを差し出してくる。


 パン生地で作ったお菓子だった。


 これもおいしい。お茶の葉っぱを、生地に練り込んでる。


 目の前のエルフ少女は、ピンク色の髪を揺らしながら「おいしいですかぁ。よかったですぅ」ってほほえんでる。魔物を警戒してるのか、片手には弓を握ってる。


 でも、もう片方の手にはなぜか鉄製のジョウロ。ちゃぷちゃぷ音がするから、中に水が入っているんだろう。なんで水袋じゃなくてジョウロなの? どうしてそこからヤカンに水を注いでるの?


 というか、今、わかしてるヤカンの水は二杯目なんだけど、ジョウロの水が減ってないような気がするのはどうして?


「イリスさま。水の心配はいりませんよぅ。じゃんじゃか飲んじゃってください。ただし一定間隔で」


「一定間隔?」


「マスターがイリスさまにいただいた『水まき』スキルは、そういうものになったのです」


 イリスの頭に特大の「?」マークが浮かぶ。


 だけどメイドさんもエルフさんも、イリスを気遣うように優しい笑みを浮かべてる。


 ソウマさまの奴隷の証である首輪に触れながら、ダンジョンの入り口を見つめてる。


 イリスは素直に、すごいなー、って思ってしまう。彼女たちの謎の能力も、その彼女たちに慕われてるソウマさまも。彼にかかわるすべてが、なにもかも。


 ソウマさまが、イリスのお兄ちゃんならよかったのに。


「ふむ。得体の知れぬ冒険者にしては、礼儀正しいな」


 正規兵の隊長が、メイドさんとエルフさんに向かって言った。


 兜に角をつけた大柄な男性だ。手に持ってるのは、細身の剣。


 見た目は豪快に見えるが繊細な性格で、よく気がつくことから、今回の任務を任されてる。ただ、親子三代イルガファ領主の正規兵をやってるせいで、一般人を見下す癖があるのが困ったところ。昨日、ソウマさまのパーティには礼儀をつくすように言ったんだけど。


「ただし、イリスさまをお守りするのは我々だけで十分だ。自分たちが我々より役に立つなどと思い上がらぬように。分を守って、でしゃばらぬようにな」


「わかってるの」


 完全無欠の無表情で、メイドさんが答える。


 その態度が気に入らなかったのか、隊長が胸を張って何か言おうとしたけれど──


「隊長! ハーピーの群れです!」


 見張りの声に、イリスも彼も同時に海の方を見た。


 海の上を飛ぶ、人面の鳥が見えた。上半身は女性で、両手が翼になっている。


 ハーピーたちはまっすぐこっちに向かってきてる。やはり、結界が弱くなってるんだ。


「全員、弓構え! 合図とともにう──」




 びぃん


 ピーィー! ピギー! ピィーギァー!!


 ぽとん、ぽとぽとん




 翼を射抜かれたハーピーたちが、海に落下した。


「……え」


 呆然としたイリスが振り返ると、エルフの少女がこっそり弓をしまうところだった。


「よいしょ」


「あの、ラフィリア=グレイスさま?」


「え? あ、はい。なんでもないです。なんでもないですよー」


 エルフ少女は、あわてたみたいに手を振った。


 おかしい。


 この距離で当てるのは、弓術スキルが一定レベルあれば可能だけど、弓の弦が鳴る音は一回しか聞こえなかった。ハーピーは5匹もいたのに? それを一回で? おかしい。ソウマさまのパーティはおかしいと思ってたけど、このエルフ少女もかなりおかしい。


「いやー、さすがイルガファ領主家の正規兵さんですぅ。あたしたちが気づかないうちに、魔物をみーんな撃ち落とすなんて。すごいですー。マスターもびっくりなのですー」


「え、あ……ああ」


「それとも気合い? 気合いですかぁ? いやー、イルガファ領主家の正規兵ともなると、ハーピーを眼光だけで撃ち落としちゃうんですね。すごいですー」


「……ぬ。う、ぬぬぬ……も、もちろんだとも!」


 エルフ少女の言葉に、隊長が胸を張る。


(え、そこで乗っかるの?)


 思わず漏れたイリスの本音は声にならずに、隊長は弓を構えて決めポーズ。


「我が部下には優秀な者が揃っている! ハーピーを撃ち落とすなど簡単なことだ!」


「……そうですか」


 イリスは静かにため息をついた。


 隊長のことはどうでもいい。気になるのはエルフ少女の方だ。


 ほわほわしているけれど、底知れない。


 彼女は一体どれだけの力を秘めているのだろう?






 イリスは知らない。


 以前、彼女が報酬としてナギに渡したスキルクリスタル、『水まきLV1』が『弓術LV1』と『再構築』されて、新たなチートスキルを生み出したことを。




弓術きゅうじゅつLV1』


『弓矢』で『与えるダメージ』を『増やす(10%+LVx10%)』スキル




『水まきLV1』


『ジョウロ』で『水』を『まき散らす』スキル




 このふたつを再構築して生まれたスキルは──




豪雨ごうう弓術LV1』(レア


『弓矢』で『与えるダメージ』を『まき散らす』スキル


 一回の射撃で、複数の矢を打ち出すことができる。


 発射可能な本数は『弓術』レベル(豪雨弓術も含む)の合計とプラス1本。


 現在の同時発射可能本数は、5本。




『浄水増加LV1』(R)


『ジョウロ』で『水』を『増やす』スキル


 ジョウロに貯めた水を、一定間隔で増やすことができるスキル。


 増加率はレベルx10%+10%。現在の増加率20%。


 使用可能回数は、1時間に1回。上限はジョウロに入る容量まで。





 ──ハーピーの出現から、しばらく経ったころ、


「隊長! 海上に大コウモリが現れました!」


「むむ。全員再び弓を構え! イリスさまをおまも──」




 びぃん


 とすとすとすっ


 ぽとぽとぽとっ


 矢に射貫かれた大コウモリたちが、海へ落ちた。




 大コウモリのむれをやっつけた。




「わーすごいですぅ。さすがイルガファ領主家の正規兵ですぅ (ぱちぱちぱちぱち)」


「……お、おぅ」


 弓に矢をつがえた隊長の額に冷や汗が伝うのを、イリスは見逃さなかった。


 イリスだってさっきから驚かされっぱなしだ。


 すごいのはエルフ少女の弓の腕前だけじゃない。


 メイドさんとのコンビネーションだってそうだ。


 エルフ少女の弓弦ゆづるが鳴る瞬間、巧みにメイドさんがみんなの気をそらしている。お茶を入れたり、お菓子を配ったり、イリスを潮風から守る楯になったり。そのたびに、上空から接近する魔物たちが気づかないうちに射抜かれて、海へと落ちていく。ハーピー、大コウモリ、ブルーアルバトロスが墜ちたあとは、空の魔物は現れない。


 うん。魔物だって、こんなわけのわからない落とされ方するの嫌ですよね。


 気がついたらエルフ少女の弓が鳴って、数匹まとめて墜ちていくんだから。


「……魔物にも、学習能力はあるものね」


 イリスは気を取り直して、ダンジョンの入り口を見た。


 ソウマさまたちが入ってから、1時間半くらい経っただろうか。


 大丈夫かな。イリスのお友達だもの、大丈夫ですよね。


 ダンジョンの中にも魔物はいる。


 そして海辺に現れるのは空の魔物だけじゃない。陸上生物の方がやっかいなのだけど……。


「現れました隊長! アクアリザードです!」


「全員壁となれ! イリスさまを守れ!」


 一斉に、兵士たちがイリスの前で列をなす。


 岩場からあがってきたのは、身体を海水でぬらした大トカゲだった。体長は、人間の大人より大きい。表面は堅い鱗で覆われていて、用意に刃を通さない。同時に複数を相手にするのは、高レベルの冒険者でも難しいと言われているほどだ。


「ぬぬぬ、やっかいな相手だが、ここで退くわけにはいかぬ! 全員、槍構え! たいまつを持っている者は火をつけて投げつけろ! こいつは乾燥に弱いはずだ!」


 乾燥って。


 こんな場合なのに、イリスは思わず肩をすくめる。


 海辺で敵を乾燥させるって、どうやって?


 まわりには大きな水たまりだってあるのに。


 やはり魔法使いを雇うべきだったろうか。


 冒険者ギルドが機能していれば、それもできたのに。


 兵士が槍を構えて突撃する。ねらいはアクアリザードの開いた口。運よく飛び込んだ槍が、大トカゲの体液を吹き出させる。その隙に、まわりの兵士たちがつっこむ。ひとりが尻尾で殴られて倒れる。


 だが、正規兵たちは退かない。アクアリザードを取り囲み、四方八方から槍を突き出す。


 やがて複数の槍がアクアリザードの腹部をつらぬく。青白い体液を噴出させた魔物が、動かなくなる。


 兵士たちの勝利だ。


「助かりました。ありがとうございます。隊長」


「はっはっはっ。礼には及びませぬよ、イリスさま。これも任務ですからな」


 隊長は胸を張り、転んだときに曲がった兜の角を元に戻した。


「どうだ冒険者どもよ。これがイルガファ領主家の正規兵の実力だ。ちょっと小技が使えたとしても、正面きっての闘いにおいては、技術・力ともおまえたちなど及ぶまいよ!」


「うん。まったくその通りなの」


「すごいですー。さすがイルガファ領主家の人たちですぅ」


 メイドさんとエルフ少女が拍手する。





 彼女たちの背後には、アクアリザードの死体が3つ、転がっていた。





「……………………うそ」


 イリスの手から、木製のコップが落ちた。


 大きなトカゲたちは、全員腹を上にして死んでいる。


 皮膚は干からびて、鱗ははげ落ちて、まるで身体の水分を一気に奪われたように。


 でも、そんなことはありえない。だって、アクアリザードたちは大きな水たまりの上で死んでいる。どうして水たまりの上で干からびてるの? それにあの水たまり。あんなに大きかったっけ?


 さっき見たときより、汚水の量・・・・がずいぶん多くなってるような?


「あ、あのメイドさん。いえ、アイネ=クルネットさま。これは?」


「さー?」


「さー? じゃないですよね!?」


「全員、病気のアクアリザードだったみたいなの」


 メイドさんは『はがねのモップ』を手に、告げた。


「命の最後の火がつきるまえに、イリスさんを襲おうとしたの。でも、果たせなかったの」


「あたしも見ましたー。よろよろと海辺からあがってきて、ころん、ですぅ」




(そんなわけありますかーっ!!)




 椅子から立ち上がってつっこみたくなるのを、イリスは必死に押さえた。


 ソウマさまからは、彼らのパーティの能力を隠すようにってお願いされてる。イリスがその約束を破るわけにはいかない。


 だけど、落ち着かない。


 飛び出して問いつめたくなるのを、膝を押さえてこらえる。


 いつもそう。


 ソウマさまたちと一緒にいると、イリスは巫女であることも、イルガファ領主の娘であることも忘れそうになる。普通の、10代前半の女の子になってしまう。なんだろう、この落ち着かない気持ち。


「大丈夫なの。なぁくん……じゃなくて、ご主人様は、もうすぐ戻ってくるの」


「ですから落ち着いてくださいぃ。心配することなんかなにもないですよー」


 落ち着かないのはあなたがたのせいでしょう!?


 あなたたち、ソウマさまの奴隷ですよね? 首輪つけてますよね!?


 なのに、なんでそんなに満たされた顔してるんですか?


 お仕事、楽しいですか?


 イリスは……どんな顔してますか?


 イルガファ領主の娘なのに、つまらなそうな顔してませんか?





「伝令! 伝令ーっ!」


 突然、町の方から、馬に乗った兵士が走ってきた。


 イリスを囲んでいた正規兵たちがざわつく。


 伝令の兵士は馬を下り、イリスの前にひざまずき、告げる。


「イリスさまに、兄君ノイエル=ハフェウメアさまから伝言です!」


 うわー。さいあくだー。


 イリスは思わず、椅子の上でのけぞった。


「愛しい妹が心配なので様子を見に行く。全員、出迎えの準備をするように、とのことです」







──────────────────




今回使用したスキル。


豪雨ごうう弓術LV1』

同時に複数の矢を発射することができるスキル。

多数の相手をいっぺんに狙えるため、集団戦では非常に役に立つ。

このスキルを発動すると脳内にターゲットスコープが浮かび、「ぴきーん」という音とともに敵をロックオンするという噂があるが、それはスキルの持ち主にしかわからない。

もちろん、矢は撃った分だけ消費するので、調子にのって撃ちまくってるとあっというまにピンチになる。貧乏にもなる。


『浄水増加LV1』

ジョウロに入れた水を増やすことができるスキル。

発動回数は1時間に1回程度。

周囲の水分を吸収するのは『汚水浄化』と同じだが、このスキルは水の最大値がジョウロの容量分なので攻撃には使いづらい。

ただし、完全な蒸留水を作り出すので、このスキルの持ち主が水不足に悩むことは滅多にない。弱点は常にジョウロを持ち歩かなきゃいけないのでかさばることと、調子に乗って飲みまくると増やすのに時間がかかること(ジョウロの入っている水の2割しか増やせないので)。



用語解説


『エルダースライム(子)』

ラフィリアがつけている青い髪留め。別名「えるだちゃん」

その正体は、エルダースライムが残していった欠片かけら

自我や意識はなく、ラフィリアの髪に寄生している。

彼女の汗や体液を摂取することで分裂する。分裂したものは『魔剣レギィ』の『粘液生物支配スライムブリンガー』で操作することができる。便利なオプションだけれど、分裂した者の寿命は1から2時間程度。その後は消滅する。

いろいろ便利なので、魔剣のレギィが私用に使いたいって駄々をこねてるけど、今のところナギが禁止しています。

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