風の日にドローン飛ばして--
ルナ
第1話 風の日にドローン飛ばして--
あれは長男が小学6年生のクリスマスの日。待ちに待った「カメラ付きドローン」のプレゼントに、長男は大喜び。さっそく友だちといっしょに、ドローンを飛ばしに近くのM公園へ行った。
その日は風が強かった。案の定、少し飛ばしただけで、ドローンは高い木の枝に引っかかってしまった。
その木は常緑樹だったので、葉っぱに隠れて、ドローンの姿さえも見えなかった。長男は友だちとあれこれ手を尽くしたが、結局ドローンは見つからなかった。
翌年の7月下旬(長男が中学1年生の夏休み)私は散歩がてら、ドローンが引っかかった木の下に来た。ダメ元で上を見上げてみると--、「あっ、ドローンが見えた! ドローン発見!」
さっそく長男に知らせた。長男はその日、熱があったにもかかわらず、すぐにドローン救出作戦に加わった。
脚立を長く伸ばし、私が押さえて長男が登る。長男は手に虫取り網を持って、ドローンに届け~と懸命に背伸びした。
ついに、ドローンはやわらかい草の上に落下した。「やった~! ドローン救出作戦大成功 !!」長男はもちろん、大喜びした。
家に帰って長男は、ドローンを布でていねいにふいてきれいにした。スイッチを入れると、なんと羽根が回転した。7ヶ月もの間、風雨にさらされていながらも、ドローンは故障していなかった。
次の休みの日、次男(年長)も連れて、改めてドローンを飛ばしにN公園へ行った。その時の、幸せで喜びに満ちた長男の笑顔を、私は今でもはっきりと覚えている。
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