バイバイバイセクシャル

結城彼方

バイバイバイセクシャル

自分自身がバイセクシャルだと気づいたのはいつからだろう。



私が自覚しだしたのは12歳頃からだった。周りの人に合わせて異性が好きであると公言していたが、私は同性も好きだった。その事をバイセクシャルと言うことを知ったのは17歳くらいの頃だっただろうか。そして世の中には色んな性的指向があることも知った。



大学生くらいになった頃、私は悩んだ。バイセクシャルであることをカミングアウトした方が良いかどうかいろいろ考えた末、バイセクシャルであることをカミングアウトする事はやめた。カミングアウトして得るものよりも失うものの方が多そうに感じたからだ。



それよりも、自分は本当にバイセクシャルなのか確かめたくなった。そのために色んな人と交流し、色んな人と交わった。同性、異性問わず、色んな人と。そして分かったのは、やはり私はバイセクシャルであるという事、加えて、大切なのは異性と付き合うか、同性と付き合うか、ということが大切なのでは無く、「どんな人」と付き合うかの方が大切であるという事だった。




私は今日、バイセクシャルの自分とお別れする。長年交際してきた大切なパートナーと結婚することにしたからだ。そして、その大切は人は異性だった。そのため、今後悩む必要が無くなったのだ。自分がバイセクシャルとしてどう生きていくかということを。別にバイセクシャルが悪い事だとは思わない。自分がバイセクシャルだったおかげで悩んだこともあったが、学んだこともあった。でももう考える必要が無くなったのだ。前にも言ったが、大切なのは「どんな人」と付き合うかという事で、その人が私にとっては、たまたま異性だったという話だ。私は神父の前でタキシードを着て彼女を待つ。





バイバイ。バイセクシャル。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

バイバイバイセクシャル 結城彼方 @yukikanata001

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ