閑話 城内にて

「こ、これは……」

 とある王城の一室で一人の老人が目を見開き驚きの声を上げた。

「どうしましたか? 賢者様」

 老人、賢者と呼ばれた男の側近と思われる青年が声をかけた。

「これは、前代未聞の出来事が起こるやもしれぬ」

「前代未聞……ですか?」

「うむ。詳しいことはわからぬが、一年以内に異能を持った子供がライトア領で生まれるだろう。それが吉兆なのか凶兆なのか……」

「なっ……。異能を持った……子供ですか?」


 この予言をしたのは稀代の賢者と呼ばれる男、モート・エンライト。予言から半年後、ライトア領領主家と領内の猟師の家に全くの同時刻に子供が生まれた。この二人がモートの予言に当てはまるのだった。

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