心が触る私と貴方(ミーアンドユー)

キサト

入れ替わりの始まり

私は幼い時にある能力に目覚めてしまった。


「私お母さんみたいになりたい。」


そういう風に思った事誰にでもあるだろう。だが私はそれを思ってはいけなかった。これは4歳の時の話である。


「由理、買い物行くよ。」

「うん。」


私はこの時お母さんと買い物に行くはずだった。しかし車に乗って会話した時事件は起きた。


「由理、大きくなったら何になりたい?。」


お母さんは突然そんなことを私に聞いてきた。


「私ね、お母さんみたいになりたい。」

「私みたいになりたいの。」

「うん。」


どう見ても至って普通の幼い幼女の夢。しかし。突然異変は起きた。


「あれ、突然眠く…。」

「お、お母さん…。」


私とお母さんは車の中で寝てしまった。数分後目が覚めた。


「ん…。由理…あれ?声が…。それに体が?」

「お母さん…。」

「えっ…」

「えー!」


この時私とお母さんは体が入れ替わってしまった。その後家に戻り、色々と考えているうちに2時間が経ちまた眠くなり、そして目が覚めると元に戻っていた。その後仕事から帰ってきた父に起きたことを話した。最初信じてくれなかった父だが同じことをして再度入れ替わると流石に信じてくれた。そしてその日は父、母と何度も入れ替わり色々と試したのだった。


「まだ信じきれないが、どうやら由理、お前はなりたいと思った人物と2時間入れ替われるようだな。その間他と入れ替わることは出来ず、2時間経つと入れ替わった人物と由理が突然寝落ちして起きたら元に戻る。そして入れ替わった間の記憶は入れ替わった奴にしか分からず、相手の体で何をしても相手には分からないという事がわかった訳だ。でも体の痛みは戻った本人に受け継がれる。抓ってわかったんだけどな。」

「この子、危なくないかしら。」

「危ないに決まっているだろ。由理がなりたいと思ったやつが悪いやつだったら悪用されてしまう。自分の体で何されても変わっている間、分からないんだぞ。」

「そうよね。」

「仕方ない、由理。」

「何パパ?」


父からその後こう言われた。


「夢を壊すようで悪いんだが、誰かになりたいと思ってはダメだぞ。例えパパやママでもだ。約束できるなら欲しいものを買ってあげるぞ。」


そして私は当時欲しかった美少女ヒーローの変装グッズを買ってもらい、私は誰かみたいになりたいと思わないように12年間生きてきた。自分でもよくそこまで誰かみたいになりたいと思わずに生きて来れたと思う。だって憧れは誰にだってあるものだから。しかし高校生になって私はついに思ってしまった…それが始まりである。

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