第12話

 そうごんなる会議場がさんらんたる陽光にあきらいている。

 はくいろの王座がばんこくこうをまとってめいめつしている。

 神秘的なる預言者がてきちよくしている。そうごんなる会議場へととうちやくしたわたしはそうなる暗殺を警告していた預言者にいんぎんに感謝をしめした。これからわたしは暗殺されるらしいなと。悲劇の歴史がりかえされるのならばと。わたしは王座に君臨した。げんしゆくなる会議のすうせいおうようと見守っていたわたしは神聖なる礼服をまとった元老院議員らにじようされてしまった。歴史のとおりであった。うつぼつたる野心をていした議員らはえいなるものへんぽんとひらめかせてわたしを暗殺せんとした。歴史はりかえされなかった。神秘的なる預言者をしんぴようしていたわたしはおんみつせんにゆうさせていたたちによって暗殺者らをちんあつした。運命はひようへんした。あんたんたるはんぎやくしたわたしはぜんたるこうていとして悲劇の歴史を断絶できるはずだった。

 けんらんたるすいろーていこくらんじゆくのときをむかえた。

 あんえいが投ぜられた。神秘的なる預言者を開祖とするたんしんこうらんじゆくしたすいろーていこくの全域にまんしはじめていた。独裁的なるわたしのりよくひんしゆくしたれいみんきよおくの全人類の運命をしようあくするという預言者をさんぎようしていった。けんらんたるすいろーていこくほうかいしたわたしはばんこくれいみんそうらんしている預言者をごうしやなるていへとしようかんした。預言者は告白した。うつそうたる森林のざわめきのようなだくせいぜんじよじゆつしはじめた。わたしは悲劇をしつぴつしているだけだと。きよおくの人類の歴史をとうりんの運命をしつぴつしているだけだと。神秘的なる預言者をしんぴようしていたわたしはいんぎんじんもんした。あなたが歴史を悲劇に終わらせるというのかと。きよおくの運命をしようあくするあなたが存在するかぎり二千年のさいげつにおよぶという人類の歴史は悲劇に終わるのかと。預言者は解答した。はくだくしたひとみしようしやなる室内を顧眄しながら真実をせんめいした。きよおくの人類の歴史は悲劇に終わらないと。最愛のおうを殺害したときあなたが悲劇の歴史をするだろうと。わたしは決意した。わたしがおうを殺害せぬためにも全人類の歴史を悲劇の運命から解放するためにも神秘的なる預言者に宣告せざるをえなかった。あなたはこの世界で最大の罪人であると。あなたをすべての罪を生んだ罪でたつけいに処すると。

 あいたいたる暗雲が天空をへいそくしていた。

 神秘的なる預言者がまいしんしてゆく。からくれないの血潮にまみれたじゆうを背負ってそうろうたる足取りのまましよけいじようへときようどうされてゆく。あんたんたるきゆうりようとうはんしていった預言者は神聖なる罪人として悲劇のじゆうはりつけにされる。わたしもとうちやくした。れきろくしつする馬車でしよけいじようへととうちやくしたわたしはゆううつなるがんぼうのままはりつけにされている預言者に問いかけた。あなたはこれからどこへゆくのだ。あなたそのものもまたりんするはずだろうと。預言者は解答した。せいぜつなるがんぼうひようへんしてわたしをにらんだままささやいた。わたしのしようがいは終わった。すべての物語はすでに書いたのだ。『人間の罪名』という物語だ。あなたのかげで人類はきゆうじゆつされた。これで物語は終わりだ。あるいははじまりだと。へきれきとどろいた。めいもうたるえんすいろーていこくの全域をしんしよくしてゆきごうぜんたるひびきがれいみんの悲鳴をしていった。

 れいなるらいこうきよだいなるていこくあきらかせた。

 げきしんちよくげきした。めつの神々がてつついをくだしかたのようにけんらんたるすいろーていこくげきしんもんがひろがっていった。ぼうばくたる大地にはだんがいのようなれつが生じてたるこうほうれきの玩おもちやのようにほうかいをはじめた。すいろーていこくかいめつしはじめた。かくりようたる広場はごうぜんかんぼつしてゆきしようしやなるえんだんらいていもうしゆうによってかいしてしまった。げんしゆくなる会議場は大地のれつへとみこまれゆうすいたるしん殿でんめいもうたるしんえんじようされてけいしやしてしまった。すいろーていこくはいきよとなった。ほうはいたるしんさいまんしんそうとなったせいしやたちが神秘的なる預言者のじゆうのもとへとなんしてきた。わたしは罪人となった。けんらんたるすいろーていこくそうしつしたわたしは神聖なる預言者をぼうとくした罪により裁かれねばならなかった。

 そうなるじゆうぜんきつりつしていた。

 はくいろの陽光がたる暗雲からしこんでいた。

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