第28話 誕生日のディナーは、ファミレスで
誕生日のディナーは、ファミレスで。
そんな要望を出したのは美月で、そこに遠慮も何もない以上、綾がそれを許容するのは当然のことだった。
昨今のファミリーレストランの料理の質というものは、必然的にかつてと比べ格段と向上している。かつて職人によってのみ成された工程が、こだわりが機械的に代替されるようになり、またその質を落とさぬようにと保存する手法も磨かれてきた。かつて希少であった食材の安定した需要が整って、気軽に使用できるようになった例もある。
けれどもやはり、ファミリーレストランはファミリーレストラン。
値段設定やメニューは普通のレストランと比べてチープであり、また格式ばったマナーなども必要とはしていない。ゆえにその場には、言うなれば雰囲気というものがない。
恋人が愛を語らうような、そっと寄り添い囁き合うような、そういった静かなやりとりには、あまりに向いていない。
ファミレスにしてはやや高級志向な店舗の、比較的喧騒から離れたロフト席を選んだとて、それには変わりなく。
けれどその場所を選んだことは、二人にとって自然なことだった。
なぜならそう、その場所は、二人にとって少しだけ特別な場所だったから。
案内されるままに席につき、とりあえず定番のメニューを注文したふたり。
そろってドリンクバーに行って、普段通りのドリンクを用意する。
綾はメロンソーダ、美月はオレンジジュース。
今となっては、綾の妙に子供っぽいチョイスに笑ったりすることもない。
そうして改めて席について、美月はぷすっと噴き出すように笑った。
「なんか、こうしてると普段通りだね」
「んー。じゃあ、ちょっと変えてみよっか」
「へ?」
ぱちくりと瞬く美月に笑みを返した綾は、すっと立ち上がるとそのまま美月の隣に腰を下ろす。触れ合うほどの近く、というより、むしろ積極的に触れ合うように、綾の腕が美月の肩を抱き寄せる。寄りかかるような密着、顔の反対側に回った手が、手慰むように美月の束ねそこなった長い髪を弄ぶ。
「これで、少しは特別?」
「……そういうの、もう、してくれるんだ?」
綾の腕にもたれかかるように見上げる美月に、綾はそっと笑む。
吐息を交わすほど近づいた唇が、触れ合う。
「いや?」
「ううん。でも、がっつきすぎじゃない?」
「そうかな」
言いながら、綾は弄んでいた髪を放すと、美月の唇をその中指でなぞる。
瑞々しい、唇の感触。
ほんのり唾液に濡れて、てらりと光る。
「美月ちゃんは、足りてるの?」
「ふふ、ぜーんぜん」
ちゅ、と今度は美月から触れる。
自分の上唇を綾の下唇に擦り付けるように口を離し、それから美月はちろりと下唇を舐めた。
「まだ一日分も足りてないかも」
「ほら、やっぱり」
「それだけ待ったもん」
もう一回、そう囁く美月に綾は応える。
それから少しだけ身を離すと、綾は空いた手でおもむろに自分の荷物を探り、中から小箱を取り出した。
「手、出して」
「え、うん」
きょとんとしながら言われるままに差し出された美月の手。
惜しくも上を向いた手の甲に、くすくすとからかうような笑い声とともに小箱が置かれる。
「はい、プレゼント」
「……えっ、あっ、うそ!?ありがと!」
綾の言葉を少し遅れて理解して、美月はぱあと表情を輝かせた。
「開けていい!?」
「もちろん」
「わぁ、なんだろ!」
わくわくと聞こえてくるような様子で、美月は小箱を持ち上げる。
しかしすぐには開こうとせず、まず美月は小箱を色々な方向からまじまじと見つめてみた。
特に小箱の上に洒落た筆記体で記されたフランス語に目が止まるが、どうも美月には翻訳どころか読みあげることすら出来そうもない。
「これ、なんて書いてあるの?」
「ジョワイヨ・ドゥ・ソレイエ、だったかな?」
「な、なんかお高そう……」
「あはは。大丈夫だよ心配しなくて。気軽に着けれるようにって思って買ったやつだし」
「ほ、ほんと……?」
それなら、と美月は恐る恐る小箱を開いてみる。
ぱか、と開いたその中に入っていたのは、金と白銀の煌めき。
「き、金!」
ひえぇ、とこぼれる悲鳴に、綾はにっこりと笑みを深める。
その笑みと煌めきを交互に見比べて、それから美月はゴクリと喉を鳴らして小箱の中身を取り出してみた。
金と白銀の煌めきは、花をモチーフにしたイヤーカフ。
蔓這わす金色に咲き誇る白銀。
「きれい……」
ほう、と惚けるように呟く美月にそっと胸の内に溜まっていた心配を吐き出し、それから綾は美月の手から優しくそれを取り上げる。
「着けてあげるね」
「あ、うん」
こくりと頷く美月の耳に、触れる。
ぴくりと肩が弾む。
く、と身体に力の入った美月の耳をすすとさすり、綾はそっとイヤーカフを耳に着けた。
「耳に着けるやつなんだ……」
「イヤーカフって、知らなかった?あ、やっぱり似合う。可愛い」
「えへ……ありがと」
ひや、と感じる耳の感触についつい触れる美月を正面から見て、綾は言う。
はにかみ笑った美月は囁くように礼を告げ、気持ちを伝えるように口付けを交わした。
それから綾は手鏡を取り出して、美月にイヤーカフをした自分の姿を見せてやる。
「うわっ、すごい!かわいいこれ!」
一目見て美月は、すっかりそのイヤーカフが気に入ってしまったらしい。
目を輝かせながら顔を傾けて、色々な角度から見てみようと頑張ってみる。
「なんか、こう、大人!っていう感じする!」
「うん。ちょっぴり大人っぽいかな」
「ええ?ちょっぴりなの?」
「ふふ、それなくなったらもっと大人かな」
「あっ」
やはり普段着けないイヤーカフが気になるらしい、綾に視線を向けた途端ついつい伸びてしまう手を、綾がするりと指を絡めて捕らえた。
「ずっと着けてたらすぐに慣れるよ」
「そうかな?でもデートのときくらいしか怖くて着けれないよ」
「えー、悲しいなあ。ずっと着けてくれるようにって考えてたのに」
「うっ。ごめんね、でもやっぱ金だし……」
そのイヤーカフを心底気に入ってしまったとはいえ、一般的な金銭感覚を有する女子高生な美月に、金を使用したアクセサリーは少々荷が重いらしい。
しばらく落ち込んでみせて、しょんぼりする美月を楽しんだ綾は、さっさと気を取り直して再びバッグの中からものを取り出す。
今度のそれは、片手サイズの袋だった。
「そんな美月ちゃんに、はいこれ」
「えっ、そんな、もうもらったよ?」
「そっちは誕生日で、こっちはクリスマスプレゼントかな?」
「去年は一緒だったのにぃ」
「今年はクリスマスデートもしてないから、その代わりっていうことで」
「……ありがと」
はい、と差し出された紙袋を、美月は観念したように受け取った。
貰いすぎ、という若干の引け目を感じなくもない美月だったが、なんにせよ綾が自分のために考えてくれたプレゼントであれば喜ばしいことに変わりなく。
それになにより、美月がプレゼントを受け取ったことを喜ぶ嬉しそうな綾の笑みを見てしまえば、そんな些事などどこかへ吹き飛んでしまった。
「こっちはなにかなー、え、うそ、ケーキ・イン・ザ・スカイだ!」
「気に入ってくれるといいな」
自分も知っているブランドの名前にわくわくと紙袋を開いた美月は、その中から可愛らしくラッピングされた長方形の箱を取りだした。
やはりその外装を色々な角度から眺めたりしてから、美月は丁寧にラッピングを開く。
出てきたのは、なんとなくお高いお菓子でも入っていそうな見た目の箱。
いつかのこと、綾がお土産と言って美月の家に持ってきた外国の焼き菓子の詰め合わせを思い返しつつ箱を開けば、美月の目に飛び込んできたのは色とりどりな光景。
「シュークリーム?」
「うーん。惜しいような惜しくないような」
「え?あ、シュシュだ!」
仕切りの間に綺麗に並べられたそれは、確かに一見して生地に色がついたシュークリームに見えなくもないようなシュシュだった。
計6つ、カラフルなシュシュが透明な袋に入ってお菓子みたいに並んでいる。
「ぅわあ、かわいい……!」
ぱあと表情を華やがせた美月は、早速そのひとつを手にしてみる。
『Strawberry & Milk』と印字された袋を破き、その中の銘の通り瑞々しい赤と柔らかな白のコントラストが可愛らしいシュシュを掲げるようにためつすがめつする。
「えー、どうしよこれかわいい!つけてつけて!」
「もちろん」
「わっ」
抱きつくように腕を回す。押し付けられるからだに美月は驚き、落ち着かない様子で視線をさまよわせた。
しゅる、と美月のポニーテールの根元に着けられたミント色のシュシュを取る。
運動してきたからだろう、ゴムで結えられた髪は、それに合わせてふらりと揺れた。
ひとまずそのシュシュに腕を通して、代わりにいちごミルクなシュシュを指で広げる。まとめられた髪を手に取って引き入れると、そのままシュシュに通す。二重に結わえ、少し角度を調整すれば出来上がり。
「はい、できた」
「あ、ありが、と」
押しつけられる胸の感触、人の体温、柔軟剤の香り。
どきどきと弾む心臓を抑えながら、美月ははにかんでシュシュを見せつける。
落ち着かないように、手がイヤーカフをさすった。
「どう、かな」
「うん。思った以上。とっても可愛いよ、美月」
「えへへ。うれしい」
「これなら普段使いしやすいよね」
「うんっ。ありがと」
言葉を弾ませ、感謝を口付けで伝える。
これまでの抑圧のせいだろうか、すっかり癖になってしまっているようだった。
「毎日使うねっ」
「そうしてくれると嬉しいな」
にこにこと微笑み合い、どちらからとなく唇を重ねる。
それから少し身を離して、のんびりと語らう。
していると、程なくしてそこに料理が運ばれてきた。
料理の名前を口早に告げながら給仕しそそくさと去ってゆく店員に、ふたりは顔を見合わせる。
「……さすがに、まずいかな」
「今更かなあ」
店員どころか、周囲には他の客もいる訳で。
仕切りもありほかの様子は伺えにくいといっても、そういう公共の場であることに変わりはなかった。
「自重しよっか」
「さんせー」
くすくすと笑い合い、ふたりは食事を始める。
ポテトにピザにハンバーグにパスタ、コーンクリームスープ。
それを分け合いながら食べるふたりの姿に、自重のようなものは特に感じられなかった。
■
18歳。
成人と認められ、色々なことを自己責任で選択できるようになる年齢。
子供から大人へ、移り変わるためのひとつの基準のようなもの。
記念すべきその日に、美月は大人になろうとしていた。
綾にエスコートされるままに連れられる、高級そうなホテル。
予約してあった部屋の鍵を受け取り、やってきた部屋は清潔なシーツの匂いがする。
どくどくと、熱く、熱く沸き立つ血液が全身を巡るのを美月は感じていた。
身体中が火照って、つぅと伝う汗にウィンドブレーカー緩める。
じじ、と鳴るジッパーの音に綾は振り返り、そっと微笑むと美月の手を取りそのままウィンドブレーカーを脱がせる。
それがまるで自分から誘ってしまったようで、美月はきゅっと心臓を縮ませた。
金縛りにあったように動けない美月の腕を取り、綾は袖を通す。するりと抵抗もなく脱がされてしまったウィンドブレーカーの下に、美月はユニフォームを着ている。
わずかにシワがよったユニフォームの内側は、この部屋に来てから、やけに蒸れた。
「寒く、ない?」
体勢を低くし、額を合わせながら綾は問う。
黒く、澄んだ湖のように揺れる瞳が美月を見ている。
そこに映る自分の目が、とてもそうとは思えないほどに熱に浮かされていることを美月は知った。
するりと、綾の手がウィンドブレーカーの腰に滑り込む。
「あつ、い」
「そう」
すぅ、と細められる目。
するすると、ウィンドブレーカーが脱がされてゆくのをただ受け入れる。
ああ自分は今日、この人に全部を奪われてしまうのだと。
そんな確信に、自然、口角が吊り上がる。
鼓動となってうるさく響く興奮に視界がかすみ、けれど綾の姿だけが、くっきりと、映える。
すぐ近くにある愛しい人の頬に、触れる。
唇を重ねる。
ただ近く、もっと深く触れたいと、熱を絡める。
荒い息遣いと、やかましいほどに響く水音。
すとん、と、ウィンドブレーカーが滑り落ちた。
そっと、唇を離す。
つぅと通じた光の架け橋を、ちゅると吸い、分かつ。
「シャワー、浴びたい?」
「……このまま」
その気持ちが歪んでいるものなのか、美月には分からなかった。
ユニフォームの裏で、ブラの中で蒸れる不快感。
部活の後だって、きちんと拭き取ったけれど。
それでもきっと、肌に染みている汗。
すっかり履きなれて、足に馴染むバスケットシューズ。
部活という、自分を構成する大きなひとつ。
その結果も、全てを、受け入れて欲しいと。
そんな風に願う自分はもしかして、普通じゃないのかもしれないと、思う。
しかしそんなことも、どうでもいい。
「うん。分かった」
当然に、綾はそれを受け入れる。
やっぱり、と。
美月は胸の奥から湧き上がる歓喜のまま、綾の唇を、噛み付くような勢いで貪る。
腰に手が触れ、抱きとめるように誘われる。
ふわりと、ベッドに倒れ込んだ。
いつの間にか、美月は下にいて。
―――今日、わたしは全部を奪われる。
そして、そして明日からの自分はきっと、もう、子供なんかじゃいられない。
それがどこまでも、幸福で。
見下ろす綾に、美月はその両腕を差し出した。
「好きだよ、あや姉」
■
傍らで眠る美月の頭をなでる。
指先が頭皮を撫でるのがこそばゆいのか、美月はにゃむにゃむ身じろぎした。
「好きだよ、美月」
そんな仕草も愛おしくついつい頬や首筋をくすぐってしまうと、美月はすりすりじゃれついてくる。ゆるりと伸びた手が綾の手を取り、引き寄せるように胸に抱いた。
むにゃあ、と満足げな表情になった美月は、心地よい体勢を探すように身じろぎをすると、それからまた寝息を立てる。
果てしなく無防備な、美月の姿。
それを眺め、愛で、囁くことは、今この時、綾にだけ許された特権だった。
そばにいる気配も、触れている心地も、揺れる声音も、その全てが睡眠を阻害しない、自然なものとして捉えられている。
そうなるように、そばにいた。
静かに眠りについた美月のそばにそっと寄り添った。深い眠りの中で少しずつ触れる感触をしみ込ませた。口の端から漏れる夢に愛の言葉で返した。
そうして綾の傍らは、今や美月にとって安らぎの場所となった。
おかげで綾自身は一睡もしていなかったが、時として綾は三大欲求を愛で満たす。
と、不意に。
ぴぴぴぴ、と目覚ましの音が鳴る。
「ふぁっ」
「ありゃ」
目覚ましの音に反応し、美月ががばと顔を上げる。
それから左右に視線を巡らした美月は、すぐそばで自分を見下ろす綾を見た。ぱちくりとまたたき、胸に抱いた腕を伝うようにして綾に顔を近づける。
そっと手が伸びて、美月のほおをふにっとつまんだ。
むにむにと弄ぶように引っ張って、それから美月は首を傾げる。
「ゆめ……?」
「うーん。私のほっぺじゃ分からないんじゃないかな」
夢うつつにぼんやりと見つめてくる美月に柔らかく微笑みを返し、綾は美月のほおをむにっとつまんだ。
美月はまた一つまたたき、それから嬉しそうに笑みを浮かべると、綾と唇を合わせた。
「おはよ、あや姉」
「おはよう、美月」
「……あはは」
「ふふふ」
朝起きて、口づけを交わし、朝を確かめる。
そんな何気ないやりとりがくすぐったく、美月は噴き出すように笑うと頬に触れる手に甘えるようにじゃれついた。
心地よい眠気から抜け出すまで、ふたりはしばし戯れる。
その身を絡ませ合い、くすぐり合うようにして興じるふたり。
きゃっきゃと、姦しい嬌声がベッドを乱す。
そうして、ただ愛があるだけの至福のひとときが過ぎて。
笑い疲れて綾の胸の中に沈んだ美月が、うかがうように綾を見上げる。
「ねね、あや姉」
「なあに?」
「うんと、ね」
そっと頬を染め、はにかみながら微笑みを浮かべる美月。
なんとも言いにくそうなようすでうにうにと言葉を噛んだ美月は、それから顔を逸らして、けれど視線はちらりと綾に向けながら言葉を続ける。
「今日って、その、いつまで、いいの?」
どきどきと伝わる、美月の鼓動。
不安と期待からくる緊張に、その身は少し強張っている。
それを解きほぐすように、綾は美月のほおに触れる。
親指で美月の頬骨を撫で、人差し指と中指で耳を弄ぶ。
ゆるりと触れる感触に美月はその身をゆだね、近づいてくる綾の顔をまっすぐと見つめた。
ちろり、と。
無意識のうちに美月は自分の唇を舐めた。
けれど綾の顔は美月の正面を通り越し、その耳元に吐息がふれる。
ぴくりと震えた美月が、ぎゅうと綾を抱きしめる。
その頭をゆるりと撫でながら、綾はそっとささやいた。
「美月ちゃんが、満足するまで」
「……そっか」
綾の応えに、美月はどこか寂し気に呟いた。
それを分かっていて、それでも綾は、そう告げるしかなかった。
ずっとそばにいるのだと、そんなことすら口にできない自分が、酷く不誠実で。
いっそこのまま、彼女に永遠を誓ってしまおうかと。
仄暗い感情が、鎌首をもたげる。
指先に残る純潔を破る感触が、記憶の奥からそれを引き上げてきた。
トラウマと、そう呼んで差し支えのない記憶だ。
けれど確かに、その記憶は幸福だけに満ちていた。
六人の恋人という歪な今にあってなお他の誰かを愛する尽きせぬ愛欲の全てを、たった一人に向けること。
たったひとりを愛すること。
自分の全てを余すところなく、相手に捧げること。
相手の全てを余すところなく、自分が貪り喰らうこと。
それは間違いなく綾にとって、ひとつの幸福の形だった。
「だめだよ、あや姉」
それを引き留めたのは、優しく語り掛ける美月の声。
ささやきは、互いの耳元にある。
「どうして?」
「わたしはね、きっと、だめなの」
「……」
「ごめんなさい」
「ううん」
ゆっくりと身体を離して、見つめ合う。
「とりあえず、シャワー、浴びよっか」
「あー、うん、さんせー」
湿っぽくなった空気を洗い流すように、ふたりはそれからシャワーを浴びた。
美月が満ち足りるまでには、それから半日もかからなかった。
■
《登場人物》
『
・恋人が六人いて、その全部を本気だと本心から思っているし、それはゆるぎない事実として存在している。けれど彼女は最初からそうであった訳ではなくて、つまりそうなる以前、誰か一人にそれらが向いている瞬間があったらしいですよ。プレゼントに関しては、筆者にセンスがなさすぎるせいで綾までセンスない人に見えてたら申し訳ないなあとか思ってます。そのモチーフはさておき完全に趣味によるイヤーカフと、気軽に普段使いできる気がするシュシュ。もちろん、どちらも架空のブランドです。そのはず。仮に同じ名前のがあってもそれは筆者の意図するところではないです。
『
・こいつも綾の恋人なんだもんなあ(遠い目)。綾との遭遇があまりにも早かったものだから、ね、ほら。献身とかそういうんではなくて、被虐趣味でももちろんなくて、もう取り返しがつかないところまで行けてしまえるのがいいのかもしれない。
―――
〜tipsのようなもの〜
『Joyau du soleil (ジョワイヨ・ドゥ・ソレイエ)』…「太陽の宝石」という意味のジュエリーショップ。ジュエリーショップだけど宝石を使用したものはほとんどなく、貴金属をメインにしたスタイリッシュな装飾品を売りにしている。イヤーカフなのは流行りとかイチオシとかでなく筆者の好み。
『Cake in the sky (ケーキインザスカイ)』…英語版「絵に描いた餅(pie in the sky)」から、pieよりcakeの方がスイーツっぽくねと改変してこの店名に。思わず食べたくなってしまうけれど食べられない、スイーツ的な見た目のアクセサリーを販売している。英語版より日本語そのものの方が意味合いとしては正しそうな気もするけれど、細かいことは気にするな。これに限らず、やっぱり筆者はネーミングセンスないと思う今日この頃。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます