解説:二番目の男

カクヨムコンテスト作品、

テーマ「二番目」。



こんなテーマ、アホかって言いたいわけです。歴史で遊ぶ身としてはいくらでもそう言う人物に巡り合います。司馬昭しばしょうにとっての陳泰ちんたい恵帝けいていにとっての賈南風かなんぷう(?)、劉淵りゅうえんにとっての陳元達ちんげんたつ劉曜りゅうようにとっての游子遠ゆうしえん、……きりがないのでやめますが。このテーマは大好物であり、まー語り出したら止まらない。えっ四千字マックス? 無理じゃね?


という事で、マイナーな方に行きました。そしたらマイナーすぎてやべえ。自分自身あんま掘り下げ切れていない領域であったため、頑張って勉強して補強しました。



時代は晋末宋初しんまつそうしょ。このアカウントでメインと言っている(けれども、最近煮詰まってる)作品「劉裕りゅうゆう」の時代です。そして、主人公吉翰きつかんの主君は、本編にも書いた通り、劉裕の弟、劉道憐りゅうどうれん



一応ここでは、「劉裕」をお読みくださっている、という前提での話をさせて頂きます。拙作「劉裕」に、劉道憐は登場していません。なぜって、普通に語ると、劉姓の人間が多すぎる。混乱必至です。なので、大幅に刈り込んでるんです。そして参謀の劉穆之りゅうぼくしが同姓なのをいいことに弟という事にしています。


バカみたいに人物が多い作品ですけど、あれでも刈り込んでるんですよ? 正直もうちょい刈りこみに本腰入れなきゃだめだなーとは思っていますが、まぁ余談。


そんな劉道憐ですが、本編にも書いた通り、無能にして強欲とか言うどうしようもない評価を「宋書」が下しています。つまり公式本のコメントです。いっぽうで、更にその弟の隆道規りゅうどうきについてはべた褒めです。となると、たぶん劉道憐って……ガチの無能、だったんでしょう。


けど、史書を追うと、なんだかんだで功績を立てている。むしろ「輝かしい」とすら言っていいレベルでした。なので、そこがずっと疑問だったのです。「これ、ぜってー有能なナンバーツーがいただろ」って。そうして宋書について追ってみたら、めっちゃ目立たないところにいらっしゃったのが、この吉翰さん。あと劉道産りゅうどうさん。あ、ちなみに劉道産も、やっぱり劉裕と血縁はないです。やめろよこの劉祭。


無能のはずの劉道憐が功績を立てていた。そして、その部下にわざわざ立伝していた。これって、それくらい劉道憐の部下のお仕事が偉大だったんじゃないか。そう言うふうに考えて妄想を連ねたのが、この作品です。


正直妄想の幅があんまりにもデカすぎて、ストーリーの自由度が高すぎたよね! こう言う「何でもできる」お話を、もっとソリッドに刈り込めて行けたら面白そうだよなー、と思うのでした。



参考資料


宋書

巻五十一 劉道憐伝

https://zh.wikisource.org/wiki/%E5%AE%8B%E6%9B%B8/%E5%8D%B751

巻六十五 吉翰伝、劉道產伝

https://zh.wikisource.org/wiki/%E5%AE%8B%E6%9B%B8/%E5%8D%B765

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