手記/P3
loulios.? 2013
苛酷な環境と監視に、しばらくこのメモも書けなかった。お蔭で正しい日付も不明だ。
やっと〝大地の裂け目〟近辺が片付けられてきた。発見された当初は一人通れる程度だった岩陰の隙間を、よくここまで拡張できたものだ。
なのに名誉も賞賛もない。このまま仕事もさせられるだろう。これから神殿全体を掘り起こすとなると、命がいくつあっても足りない。
それにしても、あの娘はなんなのだろう。大地の裂け目が完全に露出した段階で、どこからか連行されてきた十代中頃の美少女だ。やはりキトンを着せられている。
拘束されているのは彼女も同じだが、我々とは対応が段違いだ。えらく大事にされているようで、会話もできない。もっとも、彼女は我々への対応の改善を訴えてくれているようだが、教団は聞く耳を持たないだろう。
そういえば奴ら、テレビ局さながらの撮影機材も持ち込んでいる。
いったいどういうつもりなんだ。狂信者どもの思考は理解できない。
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