最後の音

囲会多マッキー

第1話 夢物語

これが夢物語だということは分かっている。しかし、信じることしか出来なかった。何故なら、彼の生き様を見てしまったから。昔から一緒だった彼が再び私の前に現れてくれたのだから……。


彼と出会ったのは10年以上前のことだ。記憶が無いほど幼い頃から一緒である。知り合った理由も知らない。でも、怜音れおは幼い私の人生を変えた。私が挫折しそうになった時も、私が楽しくて先走りそうになった時もずっと居てくれた。私が今、ここに立っているのは間違いなく怜音のおかげである。


―――彼と最後の演奏が今始まる。

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