善意は強欲に感化する

きに

ある人と少年

ある人は村を訪れた。

静寂の中、少年はいた。


見るからに貧弱でいて、哀れな姿。

涙を流し、食べていた。人を。


ある人は感化され、籠に積んである林檎を1つ

渡してあげた。余裕があるからこその善意。


少年は心底喜んでいる様子であった。

林檎を食べ、涙を流した。


それを見ている人がいた。少数では無い。多数だ。


静寂だった村のそこでは、活気を帯びる。

その活気は決して良いものではなかった。


ある人は悪魔を見たかのように驚き怯える。

その前には大勢の人。助けて欲しいと言わんばかりの人。哀れにも思えない強欲な姿。


赤い果実は籠の中を去り、他の手の温もりを満たす。

そして、少年の手からも去っていく。


そこにもう感謝は無い。あるのは静寂。

そして、ある人と少年。


ある人は見るからに貧弱で、哀れに見られる。

そして、涙をながしながら、


少年を食べた。

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善意は強欲に感化する きに @wairdo_tanuki

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