お別れ

お別れ

あなたを振った。


あなたは私のことが好きじゃなくなってた。私はあなたがまだ好きだけど、私は弱くてあなたに振られるのが怖くて振った。私は本当に薄っぺらで最悪な人間だな。好きな人や物を自分のプライドや精神を保つために捨てたりするなんて。でも、もう1度あなたに好きになってもらえる自身も手札も何も無かったの。空っぽで薄っぺら、情けない私だ。


あなたには私の傷も、優しさも、愛も、全部を見せてしまってたけれど私はあなたのことをよく考えたらあんまり知らなくて。それに気づいた時が1番辛かったな。


あなたと別れてから、付き合っていた時よりあなたのことを考えた。考えないようにと最初の方はあなたとの思い出の物を捨てたり、いつものマニキュアの色や香水を変えたりしたけど自分だけが別人になったみたいで何も変わらなかった。


あなたのことを考えていて、私が思い出したのはあなたは約束を大切にする人だったということ。

私が馬鹿みたいに「いつまでも一緒にいようね」なんて言った時にあなたは「そんなの約束することじゃないよ」って言って笑ってたね。その言葉に私は愛を感じたし、ずっと一緒にいようとか、途方もない夢を語ったりとか軽いことを言わない所が大好きだったんだよ。

そして「守れない約束はしない。約束はできるだけ守りたいからね」って言ってたのを思い出した。真面目すぎて本当にあなたらしい言葉で。その場限りの口だけの約束なんてあなたはしない。そんなあなたが大好きでたまらないけど、少しだけ寂しかったなぁ。


あなたは天気予報の降水確率30%で傘を持っていく人だった。私は心配性すぎだと笑った。雨が降ったらいつもあなたが傘を持っていて入れてくれたから私は天気予報を細かく確認したりしなくて傘を持たずに家を出て今雨に一人で濡れてる。傘に入れてくれていた時私ちゃんとありがとうって言ったかなぁ?



あの日私はあなたに別れようって言った。するとあなたは「うん。分かった。」って寂しそうに言って喫茶店の珈琲飲んでた。あまりにあっさりと私とあなたの関係は終わってしまった。





ー2週間後ー

あなたに借りてたCDを返す為に君と別れ話をした喫茶店で待ち合わせし、20分くらいたわいもない話をした。あぁ、私はこの人のもう恋人じゃないんだなと、強く実感した20分だった。


「俺ユキのこと忘れないと思うな。」

と私が席を立って上着を羽織っている途中に言った。そしてこう続けた。

「ユキと一緒にいたときのことを思い出したとしても、どれもいいのばっかりだからさ、多分ずっと、ずっといい思い出として思い出すよ。」

と別れにふさわしい爽やかさであなたは言った。そして最後に

「俺はユキに感謝してるよ。絶対に忘れないよ。」

と優しい顔で言ってくれた。あなたから言ってくれた初めての途方もない約束。あなたは約束を絶対に守る人だから、この約束だってきっとそうしてくれる。

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お別れ @Hazuki_0818

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