四月の君と、僕の嘘。

悠々自適 / 文月 幽

第0話 昨年の話。

突然だけど、僕は鈴木千尋。


今年から高校二年生になる予定だ。


僕は、昨年一年は、勉強をしていることが多かった。


学年一位だって、何度もとった。


ただ、この高校に入ったときの僕のクラスはD組、つまり、最下層のクラスだ。




僕の通う高校、東丘上高校は、毎年四十人が退学になる。この四十人というのは、つまり一クラス分で、ここの高校では、成績順にクラスを決定するため、下位層の四十人が退学となり、南海上高校という、系列の高校に飛ばされる。系列の四校のうち、そこだけは全寮制で、島の上にあるから逃げられないとかなんとか聞いたことがあるが、なにぶん、そこへ行く経緯が経緯なので、南海上高校の情報は出回らない。まあ、今の僕には関係がないので、この話はやめよう。




僕はこの四月から、A組に入る予定だ。まあ、前述のように成績は高校に入ってからはよかったので当たり前のことだが、そもそも、なぜ僕が勉強をきちんとするようになったのか。


決して、南校に行きたくなかったからではない。


気になる人ができたのだ。




その名前は、鈴木千尋、僕と同じ名前の人だ。


昨年はじめの試験で結果が貼り出されたときは驚いたものだ。


自分の名前が端の方にあるように見えたんだから。


まあ、その時、反対側の端の方にあったわけだけど。


彼女は、僕が上に上がっていっても、常に五位以内だったのだ。


つまり、僕は、彼女と接点を得るためだけに、勉強をしたわけだ。






そういうわけで、今年は念願叶って彼女と同じクラスでの高校二年生の生活。是非見ていってほしい。


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