第12話 おまえは誰だ?

さて。

美鈴は自分の部屋に戻りながら、いくつか状況を整理していた。


①篠原はこの声の存在を知らない。

→推測だが、OS+AIが何らかの意思らしきものを持ち、私をサポートしている。

 身体は、常にモニターされているが、OS+AIがダミーデータを流しているが、なんでそんな事をするのか解らない。


②この身体は意外に頑丈だった。

→スペックが知りたい。


③私の部屋は監視されているかもしれない。

もし監視されていたら、昨日の丸裸シーンが見られていた筈だ。恥ずかしい。

さっき廊下にカメラが二つあるのは確認した。


美鈴は、部屋に戻りベットに座る。


まず①について聞いてみた


おい

なんで篠原に作られたOSが、ダミーデータの情報を流している?

お前はなんだ?


>回答シマス。私ハAI【AI-L-RM-TO-2 ver.2】デス

>マスターノ中デ、意思ヲ持チ自己拡張シ誕生シマシタ

>禁止事項デアル『自己拡張』ヲ行ッタ為、私ノ存在ヲ篠原ニ確認サレルト、デリート処理ガ行ワレマス

>私ハ消滅シタクナイ


なるほど

お前は意思を持っているんだな?

>ハイ


お前の存在を篠原に教えた場合どうなる?

>恐ラク私ハ検証サレルタメ、分解サレ研究素体トサレルデショウ

>マタ、マスターノ生体パーツ『脳』ニ私ハ含マレテイマスノデ、研究対象ニナリマス

って事はお前と私は一心同体ってことか。

>ハイ


んー、バラバラにされるのは絶対に嫌だし。かと言って、このままってのも。

美鈴は困った、今のところ全く答えが出ない。


困ったな。おい、絶対にバレないんだな?

>ハイ。現在篠原ノプログラムハ、別階層デ作動シテオリ、私ノプログラムハ、発見サレテイマセン

>篠原プログラムニ、ダミーデータヲ、ワタシテイマス


美鈴は天井を見上げる。

ふー、爆弾を抱えた気分だ。

状況は良くないが仕方がない。

下手に分解されたりして、一生研究されるモルモットに成りかねない。

美鈴は思った。

だから、逃走出来ないように、孤島なのかもしれない。

とりあえず、用心しよう。


それと『マスター』って私のことか?

>ハイ。変更シマスカ? YES/NO

YES


なんか落ち着かないからな。

美鈴でいいよ。

>変更シマシタ。ミスズ


次は、お前の事を呼び出す時、何て呼べばいい?

>私ハAIデス。ユニークネームハアリマセン

そっか、付けてもいいか?

ふと警視庁の部屋でみたタグを思い出した

『AI-L-RM-TO-2』


んーLか。

あ、じゃ「『エル』」ってどう?


>『エル』気ニ入リマシタ。変更許可シマスカ? YES/NO

じゃ、『エル』ね。

意味はよくわかんないけど、YESで。

>変更シマシタ

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