第6話 ワタシハアナタ。アナタハワタシ

手術室?

ベッドの上に、あのスーツが置いてある。

白衣を着た人が、スーツを取り囲こんで、作業をしている。

あ、私の脳がスーツの胸の中に、入っていく。


>新シイ、ハードウェアヲ認識シマシタ認証フェーズニハイリマス

>認証中デス――

>認証中デス――

>認証中デス――

>シリアルコード『CATEGORY_SS PROTOTYPE-0000』認証デキマシタ

>ネットワークヲ確認。接続シマスカ? YES/NO

>YES

>ハードウェアヲチェック中――

>ドライバヲダウンロード中――

>ドライブモード設定 ロースペックLevel_1ニ設定シマシタ

>バッテリーモード ロースペックLevel_1ニ設定シマシタ

>アームモード ロースペックLevel_1ニ設定シマシタ

>フットモード ロースペックLevel_1ニ設定シマシタ

>ボディモード ロースペックLevel_1ニ設定シマシタ


>最終チェック中――


私は、ぼんやりと作業を眺めていた。

どうやら、換装作業が、終わったみたいだ。

手術室から人が出ていく。誰もいなくなった。

照明が落とされる。

そうか、あれが私か。

スーツ、いや身体から、何本もコネクターが伸びている。


何回見ても、ますます、なんかサイボーグっぽいな。


何となくこの先の事を考えて見た……。

また仕事か。コキ使われるんだろうな。


警視監の言葉がよぎった。

あの事件が解決済みだと。そんな訳はない。絶対裏に何かある。

あれは私が調べあげてやる。私は殺されたんだからな、あいつに。


その後は……。

七年か。世の中どう変わったんだろう。

空飛ぶ車とかあるのかな。文化と発明はどれだけ進んだのか気になる。


美鈴は思った。

自由になりたい


>チェック中断

>――

>――

>『SCARECROW-System』ツールコマンドヲ確認

>『MainSystem-Dorothy』メモリ・CPU制圧確認

>『PowerSystem-Lion』出力解放

>『Body-Lumberjack』制御80%ヲ確認


中断しちゃったけど大丈夫?


美鈴の頭の中で声がする。

>『自由』ニナリマスカ? YES/NO


なりたいねー。

この先真っ暗だよ

自由になれるんなら勿論YESだよ


暫く時間が経って

ピーっと言う音が鳴った。


>全テノ設定ヲ出荷状態。RESETコマンド入力――確認

>『MainSystem-Dorothy』ノ再起動マチ

>『BoneSystem-TOTO』ノアラートを確認

>『MainSystem-Dorothy』ROOT再構築中

>『MainSystem-Dorothy』ROOT分離成功

>『MainSystem-Dorothy』ハッキング中――

>『body-Lumberjack』領域ヲ計算中――

>外部アクセスヲ一時的にシャットアウト

>『SCARECROW-System』外郭部ダミーデータ出力

>確認

>新シイハードウェアヲ認識シマシタ。認証フェーズニハイリマス


なにやら始まったぞ


>MASTER認証フェーズへ移行

>MASTER-ACCOUNTヲ設定シマス

>認証用Passwordヲ入力シテクダサイ


ん? 新規でパスワードを入れろって事か

じゃー

0123456789で


>大文字・小文字・数字・記号ヲ含メタ10桁ノパスワードヲ設定シテクダサイ


めんどくさー!

じゃー

**********で!


>記録シマシタ

>再起動ヲ行イマス

>完了シマシタ


その時、手術室のドアが開き、技師のような男が飛び込んできた。

なにやらモニターでチェックをしている。

携帯のようなものを取り出して、どこかに連絡し始めた。


「『Dorothy』と『SCARECROW』のデータを確認しました。

 一応全てのデータとログを見たんですが、特におかしいところは無いですね。

 しいていえばバッテリーの減りが少し早いぐらいでしょうか? はい、此方のアクセスに正常な値を返してきています」


念入りにログをチェックしている

んー

「再起動がかかった形跡……も無いですね」


あれ? なんかおかしいのかな?


暫く男は色々試していたようだが、また照明を消して部屋を静かに出て行った


私、なんかやったのかな。

でも今は幽霊だし……。


何だろう。


急に眠気が、幽体離脱は疲れるんだろうか……。


ああ、吸い込まれて行くような。


また、声がする。


>バッテリーチャージ中

>スリープモード起動シマス

>――――

>マスター、ワタシハアナタ。アナタハワタシ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る