第80話 DIY2

 さて次の作業だ。

 門の扉の大きさに厚さ28mmのコンパネ(正確に言えば構造用合板)を切りだし、そこに鉄板を付けていく。

 本当は1枚の大きな鉄板が欲しかったのだが、これもネットショップには売っていなかったので、妥協策として小さな鉄板をコンパネに張り付ける方法にした。


 300mm×300mm厚さ6mmの鉄板の際に、電動ドライバーのドリルで穴を開けて、それをビスでコンパネに止めていく。


 この鉄板は1枚当たり約1kgあり、BBQに使う鉄板ぐらいの厚みがあるので、穴を開けるのも一苦労だ。

 鉄板を1枚取り付け終わると、ゴーさんがシュタっと敬礼ポーズをして敬太の前に出てきので、試しに電動ドライバーをゴーさんに渡すと、敬太がやった様に鉄板に穴を開け始めたので、ここはゴーさんに任せる事にした。


 覚えが早くてありがたい。


 鉄板に穴を開けるのに電動ドライバーだとチカラ不足を感じたので、ちゃんとしたドリルをネットショップで買ってくると、穴開けをするゴーレムとビス止めをするゴーレムに分かれて、分担作業をし始めた。

 ちなみにゴーレム達が道具を持つ時は、丸い手に道具を埋め込むようにして固定し使っていた。手が丸く指が無いので握って持つ事は出来ないのだが、中々器用に扱っている。


 さて次は、扉作りに入る。

 扉は、コンパネ、木の柱、コンパネ、木の柱、コンパネ、のサンドイッチ型にしようかと思う。これも分厚い木の板がネットショップでは売られていなかったので苦肉の策として思い付いた方法だ。


 早速、並べた木の柱にコンパネを打ち付ける形で作り始めたが、途中で木の柱と木の柱をくっつけるのにビスでは長さ的に無理なのに気が付き、ボルトとナット、それから電動ドライバーとドリルの刃先を買い足して来た。


 新しく買って来た木工用のドリルの刃先を使い木の柱に穴を開け、そこにボルトを通し、ナットで締める。これで15cm角の柱どうしでも固定する事が出来る。


 コンパネと木の柱をサンドイッチ状に重ねて固定して行き、最後に鉄板を一面に張り付けたコンパネを取り付ければ扉の完成だ。


 地面に寝かせた状態の完成した扉を見ると、厚みが40cmぐらいになっており、中々頑丈そうな面構えになっていた。

 これなら、ちょっとやそっとの攻撃じゃびくともしないだろう。



 それから、同じ様な作業をもう一度やって、ようやく2枚の扉を作り終える事が出来た。


「ちょっと休憩・・・」


 一段落ついたので、少し休憩しようと地面に腰を下ろす。

 外を見ると、とっくに日が落ち暗くなっていて、スマホの時計を確認すると晩飯の時間になってしまっていた。

 思っていたよりも時間が経ってしまっていたので、休憩がてらモーブ達の元に戻ってみる事にする。



 改札部屋の前まで戻ってみると、子供達が元気にゴルと遊んでいた。


「あーゴルベのおっちゃんだ」

「おっちゃんだ~」

「ご飯は食べましたか?」

「うむ。そろそろ食べようかと思っていたところじゃ」


 モーブも出迎えて来てくれ、敬太が戻るまで待っていてくれた感じがあったので、そのままみんなで晩飯にする事にした。


 敬太はモーブ達に晩飯のリクエストを聞いてみたが、返って来た答えは「なんでもいい」との事だったので、独断と偏見により牛丼にする事にした。

 生卵にお新香、それに豚汁を付ける豪華セットだ。デリバリーを使い人数分を注文する。


 ゴルの器も外に持ってきて、牛丼を並べ、みんなにはスプーンを配り、リンゴジュースとオレンジジュースをテーブルに置く。

 準備が整ったのでいざ食べ始めようとすると、思った通りモーブ達が手を付けようとしないので、昼と同じように敬太から食べ始める。すると、モーブ達も見よう見真似で牛丼に手を付け始めた。


「お代わりもあるから、ゆっくり食べてね」


 敬太の言葉を聞いてるのか聞いてないのか、お米だろうと何だろうと気にした様子は無く、がっつく様に食べ、綺麗に全てをたいらげていく。


「美味しかった~」

「お腹が苦しい・・・」

「ミャー」


 子供達は毎度の様にお腹を一杯にして転がっている。幸せそうでなによりだ。

 敬太とモーブは食後のお茶を飲み、食休憩をしながら子供達の様子を眺めていた。


「モンスターとか大丈夫でしたか?」

「うむ。ダンジョンだと身構えていたのじゃが、1匹も見かけなかったわい。まったく不思議なダンジョンじゃな」


 敬太が罠を仕掛けているので、改札部屋付近にモンスターが漏れ出してくる事は無いと思うのだが、一応確認の為モーブに尋ねてみると、答えは予想通りだった。


「もう一息で完成するんで、それまでは一応警戒をしておいて下さい」

「うむ。こっちは大丈夫じゃ」


 ダンジョンの入口に門を作る事は最優先だ。それが出来ない限り眠れない日々が続いてしまう。



 

 ダンジョンの入口に戻り、門作りの作業を続ける。

 枠と扉は出来ているので、後は組み立てれば完成だ。


 時間が経ち、すっかり固まったモルタルの基礎からアンカーボルトの簡易枠を外し、そこに土台になる木の柱を嵌め込む。アンカーボルトをしっかり締め、木の柱を立ち上げて、門の枠を作り上げていく。


 さて、これで後は扉を取り付ければ完成なのだが、門の強度を出す為に、立ち上げた枠の柱をセメントレンガで挟み込み動かないようにしたい。要するに通路の側面をセメントレンガの壁にして、柱を埋め込む形にしたいのだ。


 ここでもゴーさん達にやり方を教え手伝ってもらう。

 セメントレンガを置いて、水平をとって、モルタルを置く。単調な作業の繰り返しだ。難しい事は無い。


 時間をかけて門の枠の前後3mをセメントレンガの壁にして、セメントレンガの壁の中に木の柱が埋め込まれるような感じにした。

 木の柱とセメントレンガの間にもモルタルを詰め込み、壁と門が一体になるようにする。


 それから、枠の木の柱に蝶番を付けて、そこに作っておいた扉を嵌め込めばいいのだが、扉の重さがかなりあるので、ゴーレム達の手を借りて、扉を取り付ける事になった。


「もうちょい右~。いいよ、そのままゆっくりね~。はいはいOK!」


 敬太は口だけを出し、集まったゴーレム達に全てを任せ、無事に扉を取り付けた。


 最後にかんぬきのフックを取り付けて、見張りに出していたゴーレム達をダンジョンの中に戻し、内からかんぬきをかければ作業終了だ。


「あー疲れた!」


 ゆうに30時間以上動き続けていたので、改札部屋に戻り、モーブに終わった事を告げると、すぐにベッドにダイブした。

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