ダンジョン新生活

第50話 ダンジョン新生活

 仕事を辞め、父親を施設に預け、とうとう24時間ダンジョンと向き合う生活に切り替えてしまった。

 

 理由は2つ。

 1つはポーションの回復(小)を超える、回復(中)とか回復(大)とかの捜索の為。

 もう1つは、1週間の罠の稼ぎで黙っていても敬太の年収を稼ぎだしてしまうからだ。


 この人生のボーナスステージのようなダンジョンに来れたのはススイカを拾ったおかげであって、いつ本当のススイカの持ち主が現れてダンジョンに入れなくなるか分からないので、それまでは出来るだけ稼いだ方がいいんじゃないかと考えて頑張っていた。

 だけど、仕事をして父親の世話をしていると時間が取られてしまうので、このボーナスステージで活動できる間は全力で挑んだ方がいいと思うようになり、そして、その決断が出来るぐらい稼いでいた。ススイカ(改)の中には2千万円強もあるのだ。


 ちょっと失敗しても取り返せるぐらいは、稼いで持っている。

 そこでようやく大きな決断が出来た訳だ。


 これからは、仕事や、父親の世話といった時間的な縛りがなく、好きなように進めるので、出来る範囲で頑張って行こうと思う。




 ダンジョン新生活1日目。


 やる事、やりたい事は山の様にある。


 まずはブレイドラビットの調査だ。ブレイドラビットがみっちりといるあの絨毯部屋、あそこがリポップ場所なのか?罠が通用するのか?これを調査したい。

 その辺を確認出来たらニードルビーの蜂の巣部屋みたいに、絨毯部屋にも罠を仕掛けてしまいた。


これが近々の目標だ。


 次にブレイドラビットの先にいたバッタ、ロウカストの研究。

 前回は、ロウカスト1匹にスキルを4発も5発も使って倒したのだが、それでは危険だし効率も悪い。何か弱点とかいい倒し方が無いか探りたい。


 それから先に進んでいってポーション回復(中)とか回復(大)とかを探していきたい。

 あとは、蜂の巣部屋周辺の探索もやっておきたい。あの先には何があるのか?


 まだまだダンジョンの探索は始まったばかりなのだ。



 やる事が決まったら、次にするのは準備だ。

 最終的には絨毯部屋にも罠を仕掛けたいので、ケーブルを引いて電気を通す必要がある。なので、ネットショップを開き必要な物を見繕っていく。


 配電用ケーブル100m×2、差し込みプラグとプラグ受け、ケーブルステップル、延長コード、電気ボックス、熊用電気柵、コンパネ、角材、キャスター、タイヤストッパー、折り畳み式アルミリアカー、作業灯6個、狩猟用クロスボウ、カーボン完成矢、矢筒、矢じり、アルミ足場板、荷台ゴム紐、一体型LED蛍光灯。


 こんな物だろうか、カートに進み全部買う、確認っと。


『カードをかざして下さい』

「ピピッ」


 いつものやり取りをして物置に品物が届く。

 どんどんと、作業に持って行く荷物が多くなっていくので今回はとうとうリアカーを買ってしまった。リアカーに工具や材料を積んで移動すれば、効率アップは間違いないだろう。

 前回の蜂の巣部屋までは2箇所上り階段があったので敬遠していたが、今回の絨毯部屋までは階段が無いので、導入する事にしたのだ。


 それから狩猟用クロスボウ。40cmぐらいの矢が撃てるライフル銃のような形をしててトリガーで発射するタイプだ。

 どれぐらいの威力があるか分からないけど、飛び道具が欲しかったので買ってみた。思っていたより重かったけどリアカーがあるので持ち運びには問題ないだろう。




 最初に折り畳み式アルミリアカーを畳んだまま扉の外に出してパタンと組み立てる。パタンパタンパタンと3ステップで出来るので簡単だ。

 そうしたらリアカーの上に足場板を置いてゴム紐で固定する。今回はこれが脚立代わりになる。移動して上り下りの作業が楽になるだろう。

 次にリアカーの淵に作業灯を付ける。クリップ式なので脇の板を挟むだけだ。前後左右に6個、ちょっと下を照らすような角度で取り付ける。


 後は荷物を積み込んだら準備完了。

 少しリアカーを持ち上げ引いて見るが、楽ちんだ。これなら作業も捗るだろう。


 オレンジ色のチェーンソー防護服、モトクロスのヘルメット、腰にはコンクリート釘とかが入っている腰袋。ハンマーを腰に差し体中に9個のライトを付けて、背中にはハードシェルバッグを背負いゴルが入る。


 よし、出発だ。


 扉から左手側に作業しながら進んでいく。1m進んだらリアカーを置いて上に置いてある足場板に上り、ケーブルステップルを打ち込んで電気のケーブルを引っ掛ける。

 10m進んだらケーブルステップルに加え、蛍光灯を取り付ける。付属のフックをコンクリート釘で打ち込んで蛍光灯を引っ掛ける。延長コードで伸ばしてきている接続コードを繋げて、また先に伸ばしていく。


 蛍光灯のスイッチを入れれば辺りが明るく照らされて、見えていなかったものまで見えるようになり、安心感が増していく。




 蛍光灯を10本付けた頃には左手側のトンネルにまで来ていた。改札部屋の前の部屋は何気に広いのだ。


 後ろを振り返ると蛍光灯が並び、壁沿いを明るくしている。これだけでも大分違うだろう。面倒で大変な作業だけどもやった甲斐はあった様だ。


 とりあえず食事休憩と蛍光灯補充をしに改札部屋に一旦戻る事にする。

 前に11日間もやった作業なだけに順調に進める事が出来た。

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