俺の親友は超ハイスペックでイケメンなのでやはりモテる。
榊原 計
Episode 001
この世には超絶モテるアイドルや王子様のようなイケメンというのは存在するものだ。
俺の通っている
名前は
成績優秀、スポーツ万能、超がつくほどのイケメンであり、更に細身で割と長身という完璧イケメン。
それはもう超絶モテる。
曲輪田高校が誇る美少女たち(ここ数年女子のレベルが高い)ももちろん怜に惹かれている。
どこぞのラブコメ主人公のように訳もなくモテているわけでもないので我ら男子も仕方ないと嫉妬すら起きない。
だって、あんなのに勝てるわけないのだから。
そんな怜にはなぜか冴えない親友(?)がいる。
そう、俺こと
顔面偏差値50(自称)で、これといってプロフィールに書けるような特徴もない冴えない男子高校生だ。
それとこの女の子みたいな名前はコンプレックスなのであまり触れないで欲しい。
ではなぜそんな冴えない俺が怜と親友と呼べるような関係にあるのかというと、単に付き合いが長いからだ。(まぁ、それだけじゃないけど)
所謂、幼馴染というやつで小学校から高校までずっと同じクラスという気持ち悪いほどの腐れ縁だ。
そのおかげでお互いの好き嫌いも認識しているので、周りからどう思われようと気楽な関係ではある。
今日の昼休みもまた、2人屋上で昼食をとっていた。
2人とも直に座っている。
一応、掃除されているので抵抗はない。
ついでに2人とも購買でパンを買ってきた。
「未亜、僕は一体どうすればいいと思う?」
「また呼び出しか?いつものことなんだからそんなに悩まんでも」
怜は未だに告白されることに慣れていない。
中学、いや小学生の頃からされ続けているのにだ。
「未亜には分からないだろうけど、断るときのあの罪悪感は中々くるものがあるよ」
「モテないのでそりゃ分かりませんよ。悪うございやした」
「そんなつもりでいったわけじゃないけど、まぁ事実だよね」
このイケメンは俺に対してだけ、さりげなく毒を吐いてくるのだ。
「よし、歯をくいしばれ」
「久々にやるかい?」
「やめとく。痛いのはゴメンだからな」
「3年前のあれは引き分けだったし、そろそろ決着つけてもいいんじゃないかな?」
「お前って、そんなに喧嘩好きだったの?」
「冗談だよ。特に理由もなしには人を殴れない」
「そりゃそうだ」
焼きそばパンを食らって、缶の野菜ジュースを流し込む。
「突然だけど怜、お前彼女作らないの?」
「本当に突然だね。今は作る気はないかな」
「どうしてだ?あんなに言い寄られてるのに」
それこそ数人のトップクラス美少女にだって好意を持たられている。
「う〜〜ん、やっぱり好きな人と付き合いたいかな」
やっぱり、そう思った。
怜はモテるがその実、彼女がいたことはない。
思春期なのだし、少しぐらい興味本位で付き合ってみたりしないのだろうか?
相手には悪いかもしれないけど、付き合ってから好きになるパターンだってあるのだ。
……でも本当の理由を俺は知っている。
「乙女チックだな。なら好きな人はいないのか?少しでも気になる人ぐらいいるだろ?」
「未亜と恋バナって変な感じだ」
「それは俺だって感じてるが、怜がモテるくせにあまりにも色恋沙汰がないもんだからもしかして男色家なんじゃないかとか疑ってるわけよ」
「僕は少なくとも男色家ではないよ」
強めの口調で言われた。
流石に男色家とは思われたくないのか。
やはりこの手の話はあまりするものではないな。
男色家を知らない人は検索エンジンにかけよう。
「でもそうだなぁ、いつか運命の人的なのに出会いたいとは思うね。そのときは未亜、君にお節介を焼いてもらうよ」
「そうか。それを聞いて安心したよ。なんだか俺も『四大天使』みたいな彼女が欲しいなぁとか思っちゃったよ」
「『四大天使』って、あの?たしかに可愛いよね」
『四大天使』、それは曲輪田高校が誇る他の追随を許さない4人の美少女たちのことだ。
1人目と2人目は俺や怜と同じく2年生だ。
1人目は
THE・淑女の王道清純系で、上品な美しさはオーラとして周りを和やかにしてしまうほどの美少女。
少しウェーブのかかった黒髪ロングがまたお淑やかさを際立たせている。
2人目は
彼女を言葉で表すとしたら天真爛漫。
誰にでも明るく話しかけ、その笑顔は眩しいほど可愛い友達多い系美少女。
サイドテールを結んでいる緑色のリボンがトレードマーク。
3人目は1年生の
とても愛想が良く、理想の後輩像を体現したような若干小悪魔系の少し幼い顔立ちの美少女。
アニメキャラでいそうな内まきのショートカットがまた男心をくすぐるとかなんとか。
4人目は3年生の
他を寄せ付けないミステリアスな雰囲気のクールビューティーで、一言話しただけでも勇者となれるほど孤高の美少女。
その大人っぽい雰囲気は美少女というよりは美女に近い。
そしてクォーターのためか、煌びやかな金髪で瞳が青い。
これがまた人を寄せ付けない雰囲気の一因ともなっている。
これら4人が『四大天使』、怜も認める美少女たちだ。
「未亜ならいけそうだけど」
「バカ言え、無理だ無理」
なにせ4人とも怜に好意を持ってるからな。
流石はイケメン、なぜ芸能人じゃないんだ?
『四大天使』もそうだが。
「どうしてだい?僕からすれば未亜は充分魅力あると思うんだけど」
「うげ、いくら怜でも男から言われると気持ち悪いな」
「そういうところは君の長所でもあるけど、決定的な短所でもあると思う」
少し強めの口調で言われてしまった。
「なるほど」
なんとなく納得してしまった自分がいた。
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