　「あの時、君の側にはマリニール様がいた？　そうだよね？」

　「はい。その通りです」

　マイステリー様がお姉様と一緒にいるように言って、向かって行ったのだから。一緒にいたわ。

　「だったら僕の予想はあっていると思うよ」

　「予想ですか？」

　マイステリー様は頷く。

　「マリニール様は、聖女。聖女は、周りの人の魔力を高めたりする能力があると言われている。ただし魔力はない。だから気づけない事もあるらしい。強い想いにも反応すると言われている」

　「え、じゃ、私の想いが強まったって事？」

　「うーん。君の場合は封印だからね。攻撃より守りみたいなものだから、その想いが魔力の代わりとなり、聖女の力を借りて、池の中の魔力を取り込み封印したって事だと思うよ」

　うそ！！　そんな奇跡のようなことってある？

　しかもお姉様が聖女だったなんて！　それを思いつくマイステリー様も凄いわね。

　「きっと、婚姻の発表と共に聖女だと明かすと思う。聖女は、力を増大させるから知られれば、連れ去られる可能性があるからね」

　「でもなぜ私にも黙っていたのかしら？」

　「学校の先生達も知らない事だと思うから、気がついたリゾール殿下にご両親が口止めされていたんだと思う。って、これはすべて僕の想像だよ。もし本当の事を確かめたかったら本人に聞くのが一番だよ」

　「うん。聞いて教えてくれるかしら？」

　「今の僕の想像を話せば、教えてくれると思うよ。君も凄い力の持ち主だからね。僕の父さんよりも」

　「え！？」

　「えって。払う事しか出来なかったでしょう？」

　そう言えばそうでした。でも本当にそうなのかしら？　全然実感が湧かないわ。

　「って、それをマイステリー様のお父様に教えて差し上げれば、婚約を認めてくれたのではありませんか？」

　「わがままだとわかっているけど、能力だけで決めてほしくなかったんだ。封印の力が無くても君は、認めてもらえたんだよ？」

　そうだけど。相応しくないと言う人は多いと思う。

　「そうですね。でもわかったならなぜ私に言わなかったのですか？　封印の事」

　「だってもう必要ないだろう？　封印は終わったのだから……。魔法も普通ならいいけど、以下でも以上でも大変だからね。それを僕も知っているから」

　そうでした。使えない者から凄い人物になったのでした。

　そう思うと、私とマイステリー様って似た者同士なのかしら？　何となく嬉しいわ。

　「それにしても君って不思議だよね。恋愛成就の池に誰かを守ってという願掛けをするなんて」

　それは、ゲームでは恋愛成就という特定ではなかったからよ。って言ってもわからないわよね。

　そういえば、ゲーム内には聖女は出て来ませんでしたわよね？　お姉様が聖女なら婚約破棄などしないだろうから。やはりこの世界とは、違うのね。似ているけど違う世界。

　初めはゲーム内だと焦って色々変な事をしようとしましたけど、しなくてよかったわ。

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