第29話

 ルミージュ嬢の事もマイステリー様の事もなんとかなったのよね? でもマイステリー様に特段変化はないのよね。


 次の日、学校に行くとルミージュ嬢は来ていなかったけど、皆の態度が普通に戻っていて驚いたわ。彼女らにも何かしらの魔法を掛けていたのかもしれない。


 ルミージュ嬢の事は解決したけど、このままだと池が暴発してしまう。

 こうなったらカーリア様に聞くしかないわよね。詳しく聞いて、皆で考えよう。


 「あの、マイステリー様。あのお話が……」

 「僕も放課後いいかな?」

 「はい」


 そう言う訳で、放課後が待ち遠しい。


 そういえば、魔法の補修授業あやふやになっちゃったわね。自業自得ですけど。魔法が扱えれば、本当にマイステリー様と結婚できるかもしれないのに。


 魔力がある可能性はあるのよね。

 おじい様はかなりの魔法の使い手だったけど、おじい様の娘――つまりお母様は魔法が扱えなかった。そして、お父様もそれなりの使い手。なのに、私もお姉様も魔法が使えない。

 おじい様もお父様もがっかりしたようです。


 あれ? ちょっとまってよ? お姉様は、リゾール殿下と結婚。家を継げない。と言う事は、私が継ぐって事!?

 え? じゃ、マイステリー様が継ぐことになったら、魔法云々の前に私達結婚できないじゃない!


 変な話、ヒールの使い手なら申し分なく婿に来てもらえるのになぁ……。継ぐ気はないって言っていたって事は、それもありなのですよね?

 これは池の事もそうだけど、継いでもらえるようにカーリア様にお願いしないといけないわ!



 「ごめん。僕、至急家に帰らないといけなくなった。話は、明日でいい?」

 「うん、大丈夫よ」

 「……絶対、君を婚約者と認めさせるからね!」

 「え……」


 ちょっとまだ周りに人がいるのですけど……。

 でも、こくんと私は頷いた。

 大人しそうだけど、結構ぐいぐいくるタイプだったのね。


 あぁ、夢の様だわ。一時期は諦めていたのに、婚約者になれるなんて。まあ予定だけど。

 この世界は、ゲームと似て非なるものなのね。

 「婚約を破棄する」なんて、マイステリー様が言った時、本当にヒロインになった気分だったわ。

 あぁ。こんなに幸せでいいのかしら?


 私は家に帰ると、ミャに結んであるリボンをほどいて、裏に書いてある文字を読む。好きな人と添い遂げられますように。これ願掛けだったのかな?

 ――私も同じ気持ちです。

 とペンで書いて、またミャに着け直した。


 誰も見る事ないと思うけ、見られたらちょっと恥ずかしいかな。

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