第27話
「どうなってるのよ! こうなったら! ユリーナ! 断りなさい!」
「………」
「何をしているの? 返事を返すのよ!」
ルミージュ嬢が私を睨んでいる。
おかしいわ。たぶん、今のは命令なのよね? きっと魔法をかけたのよのね? でも気持ちは変わらない。考えも変わらない。
私は、魔法に掛かっていないわ!
「マイステリー様。ありがとうございます。ミャも一緒にいいですか?」
「あぁ。もちろんだ!」
「何を言っているのよ! なぜ? どうして! 魔法が効かないのよ!」
「魔法? あの婚約者だという、暗示の魔法の事か?」
「え……」
ルミージュ嬢は、自分が魔法を使っていたと言ってしまった事に気づいた様で、一瞬躊躇するも私達を睨む。
「そうよ! あなたは私の婚約者! 彼女に惑わされてはだめよ! この女は、私を池に突き落とし私のお腹を蹴ったのよ! 動けない私をあなたは背負ってくれたのよ! リボンだって自分で切り刻んで、新しいの用意してきていたじゃない!」
「え!」
新しいの用意してきたのは、そっちでしょう!
「婚約者を貶めるのはやめてほしいな」
マイステリー様が、そう呟いた。そして、ルミージュ嬢を睨み付けた。
「池に落とした? 僕が見た時は、ユリーナが君を助け出そうとしている所だったけど? それなのに君はユリーナを池へ引きづり込んだ!」
見ていたの!? って、ルミージュ嬢も驚いている。見られていたのを知らなかったのだわ。
「君を背負って帰った記憶なんてないし、リボンは魔法で刻まれていた。魔法を使えない彼女がどうやって刻むって?」
「な、な、なんなのよ! どうして突然効かなくなったの!」
その台詞に、マイステリー様は溜息をついた。
「最初から掛かってなんていないよ。僕が君の婚約者だと名乗った事があるかい?」
「え……。じゃなぜ、違うと否定しないのよ!」
「君が何を企んでいるか知りたかったからかな? やっとわかったよ。僕だけが狙いではなかった。僕の家だよね? 姉さんまで陥れていたなんて、許せない!」
「まさか、何の事かしら?」
「とぼけるな! ユリーナがカーリア姉さんから僕が君の婚約者だと聞いたと言っている! 君が学園だけでそう言いふらしていたのならあり得ない! 君より能力が高いカーリア姉さんに、君が魔法をかける事も不可能だ!」
「そうね。不可能ね! だったらカーリア様は私が婚約者にふさわしいと思ったのではありません?」
「そんなわけあるか! 突然、継がないといいだした。そして姉さんは、ユリーナに接触して、君から僕を奪えと言ったんだ!」
ちょっと! 私、そんな話し方してませんよね? 確かにその様な感じでは言われましたけど、そうハッキリとは……。
でも、頷いてしまいました。少なくともカーリア様は、私を認めて下さっておりましたからね。
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