【神はその優しさを愛した】

てんてん

【神はその優しさを愛した】




・痛い。いたい。やめて。苦しいよ。助けて。誰か。だれか。ダレカ、


僕はうつ伏せで顔を隠し。身を守ろうし、必死に我慢する。


僕は今イジメられている最中だ。


ひたすら殴られ、蹴られ、顔も体も傷だらけ。


こんなにも痛いんだ暴力って。


抵抗する余地もなく。相手の機嫌が治るのを待つしかない。


薄っすらと遠くの方で友達が見える。


よかった助かったかも、、、












・このクラスになってから5ヶ月くらい。

6年4組のこのクラスには、、


イジメがある。


イジメっ子のリーダーはM君


よくヤンチャをして先生に怒られている。


そして今イジメの標的は僕で、その原因も分かっていて、それは昨日の下校中の事だ。



いつも通る公園を横切ろうとすると、同じクラスのT君の姿があった。


けど、その姿は、とても無残な姿だった。


靴は片足脱げ、その靴はT君の周りには見当たらず、公園を見渡すと少し離れたブランコの下に落ちてる。


今日投稿したときには綺麗だったジーンズはダメージジーンズのようになり、ビリビリだ。


白のシャツは砂まみれになって、

T君自身は横たわり、顔だけ上を向いて、少し怯えているような、泣いているような目をしている。


その目の先にある男こそがM君だ。


僕は喧嘩は弱いが、見捨てる事は出来ず、駆け寄る。


『 M君なんでそんな事するんだ!! 』


T君を背にして守るように立つ。


実際足はガタガタで、心臓のドキドキが止まらない。


『 神愛、なんだ?お前もイジメられたいのか??もとはTが悪いんだ、僕の機嫌を損ねたからね。まぁいいや、また明日学校で 』


そう言ってM君はすぐ去って行った。


2対1で分が悪いとでも思ったのだろう。


だがその後ろ姿ははとても怖く感じた。



そんな事より、T君が心配だ。顔にはアザがあり鼻血も出ている。


慌てていつも持ち歩いているバンドエイドをランドセルから出す。


それを渡しながら、



『 大丈夫??』


『 大丈夫だよ。神愛君助けてくれてありがとうね 』


『 M君と何があったの?こんな事は初めてなの?』


『 初めてだよ。僕は何もしていないんだ、急にいつも腹立つからと言って、この公園に連れて来られて。そしたら急に殴られて。』


『 そうか、T君これからは一緒に帰ろう。学校でもずっと一緒にいるから心配しないで!!僕たち友達だろ??』



T君とは正直そこまで親しい友ではない。


教室では普通に喋るし、1回遊んだ事もある


が、ただの友達というだけだ、


現に帰り道が同じなのに、一緒に帰っていないのが、それを象徴している。


だけど、良かったよ。帰り道が一緒だからこれからは一緒に帰ってあげれる。


守らなきゃ。



『 神愛くんありがとう(T . T) 』


『 泣くなよ?ほら帰るぞ!』


そう言って投げ捨てられていた靴を、肩を貸して、一緒に取りに行った。


その後T君の家まで一緒に帰り


その帰り道でたくさんの話した。


他愛もない話から、好きな人の話。嫌いな教科好きな教科、好きな食べ物嫌いな食べ物。


お互いの事ならなんでも知ってるんじゃないかというくらい、たくさん話し尽くした。


お陰にもT君が怪我していたので歩くペースが遅かったからそれほどの時間があったのだ!


次の休みの日に遊ぶ約束もした。


僕たちはなんだか仲良くなれそうだ。












・翌日の朝の事。


下駄箱でT君に会う、



『 おはよー 』


『 あっ、おはよう。昨日はありがとう神愛くん。』


『 そんなん気にするなよ!僕たち友達だろ?何かあればなんでも僕に相談してよ 』


そう言うと、少し涙ぐんだ笑顔で頷いた。


そのあと一緒に教室まで昨日のように喋りながら向かう。



だが、

教室に入ると、なんだか虚しいような目で、皆から注目されているのがわかる。


なんだろう??


恐る恐る自分の席に向かう。


そうか。


これはイジメというやつなのか。


机には下劣な文字の落書き、その上にはビリビリに破かれた教科書。


昨日のM君の言葉が過る。


イジメを止めたことに対しての腹いせなのか?


なんにせよ、ターゲットが僕である事は間違いないようだ。


そしてそのターゲットはM君だけでなく、いつもM君と仲良し3人組も協力していることが分かる。


なぜなら、こっちを4人固まって見てるんだからねw



『 神愛くん大丈夫??』


そうT君が僕に声を掛けてくれる。


『 うん。席に座ろう。もう授業が始まる。』


僕は指して話すこともせず、ゆっくり席に座る。T君もそろそろっと席につく。


内心僕は1人でないからと安心しているのだ、少し冷静でいられる。


今の僕には友達がいるからだ


昨日硬い友情で結ばれた友が。


平気だ。










・その日の授業後チャイムが鳴るなり、M君と取り巻きが僕の方に勢いよく来る。


『 神愛!今日一緒に帰るぞ!帰らなかったらどうなるか分かるよな?下駄箱で待ってるからな』


僕の返事を待つ前に、そそくさと教室を出ていった。


察した、これは、、やばいと、


一緒に帰っても帰らなくてもやばいと。


気づいた


これは今時の言葉で言うとこの、ヤバイというやつということに。


『 神愛君。僕先生に言ってくる。』


『 大丈夫!チクったりしたら、余計酷くなりそうだから。言わないでほしい。あとT君聞いてほしい。』


『 うん。』


『 僕は強いし、弱くない。君みたいな弱者と正直一緒に居たくないんだ。だから今日で友達ごっこをやめよう、じゃあね。』


そんな事思ってない。強くないし、弱い。


なのに強がった。


これにT君が僕の近くにいたら、巻き添いを食らってしまうと思ったから。


本当に友達だからこそ、酷いことを言った。


こんなのアニメではお決まりのセリフだ。


T君のとても悲しげな表情を浮かべ立ち尽くしてる姿を尻目に下駄箱へ向かった。


これが正解だ。


例えるなら、猫好きのなのに猫アレルギーの子の誕生日プレゼントに猫のぬいぐるみをあげるくらい正解だ。


より良い物はあるが、最良の答えは嘘をついて、それを認めるという事だ。


下駄箱に行くとM君の取り巻き3人だけが待っている。


靴に履き替えて、大人しく付いていく。


いつもの僕の下校の帰り道と同じだ。


そうか、昨日の公園か。と察しがつく


案の定その公園につく。


そして待ち構えるようにM君が座ってこちらを見ている。


とても、番長という言葉似合うであろう雰囲気が醸し出ている


まったく。タイマンならまだしも、4対1だから勝ち目なんてないだろうな。


公園の入り口で立ち止まる僕を、取り巻きたちがM君のとこまで押して歩く。


抵抗しても無駄ということはわかっているので、されるがままにする。


殴られなければいいなと思いつつM君の前に立つ。


もう、そんな思考なんて関係ないらしい。


早速顔面に一発お見舞いされる。


うつ伏せで顔を隠し、身を守ろうとする。


だがひたすら殴られる


必死に我慢する。


蹴らる。


顔も体も傷だが付いた。


こんなにも痛いんだ暴力って。


抵抗する余地もなく。


相手の機嫌が治るのを待つしかない。


薄っすらと遠くの方でだれかこっちを見ている。


よかった助かった。T君だ。


やっぱり来てくれたんだ。


さっきあんな事を言ってしまったが。


やはり友達とは良い物だな。



『 ごめん。』



そう聞こえた気がする。


T君はまさに見て見ぬフリをして公園を後にした。


この日から地獄の日が始まる。










*終わり。













正義は報われない世界なのかもしれない



いくら自分が紳士になったところで、無慈悲な世界なのかもしれない



良い事をすれば返ってくる。



なんて下劣な言葉でだろう



それでも、最後に信用できるのって自分だけだから自分だけは嫌いにならないで



誰に何言われても、負けないで突き進むためには自分の芯が大切だ



そして



自分じゃない他の人の悲しみをいちいち当事者と同じように感じてしまって生きる



それはとても苦しいだろう、見捨てれないだろうな



悲しみで感情が磨り減り、なにもできなくなるだろう。



だけど、



行動し続ける事に意味があり、それは正しいと判断し続ける。



救えなくても、救おうとすること。



そう正しく選択をし続けることが大事だ。



それでも



本当の正義だと呼べる人間がいるならば



それはきっと、それを救えた人なんだろうな。



ただ



そこに見返りなんて求めていない



救おうしたした者は正義で善で間違いないだろう。




人は悲しみに弱い生き物だと思う。



悲しみに対する感情がある人は、それだけ優しいということだ。



人の優しさには、無条件で肯定され、評価される価値がある。



否定する事はそれを無下にする。



悲しいんでる人を救うという事を否定してはいけない。




優しさとは人のためにあるのだろうな。👼💛



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【神はその優しさを愛した】 てんてん @kamia_tenten

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