第1話 それゆけ!巣くうもの1

「これから海辺ちほーにある”犬鳴洞窟”に行こう、今度こそ絶対に心霊を見よう」


ニシツノメドリ(以下パフィン)はもう気が狂うほどに興奮していた。

心霊はどんな姿をしているのか?目は何個あるのか?ジャパリマンを食べるのか?

知りたいことは山盛りだ。


「落ち着きなよパフィン、洞窟は逃げないよ」


同人作家の”タイリクオオカミ”がニシツノメドリを鎮める。

彼女もまた、怪談好きのフレンズだった。

ホラー探偵ギロギロ、怪談獣玉袋などホラー作家としても活躍する一方で、

パフィン達と心霊スポット巡りをするのが日課になっている。


「これからヤバイ場所に行くのに落ち着いてなんかいられないのだよ、オオカミ氏」

「エトピリカ氏もそう思うでしょ?」


「まぁ、パフィンちゃんはホラー好きだしねぇ」


ニシツノメドリに便乗するのは”エトピリカ”のフレンズ。

彼女はいわゆる「みえるひと」で、心霊スポットはあまり得意じゃなかった。

「でもまぁ、パフィンちゃんの観察は楽しいし良いかな」そう思いつつ今日も怪しい場所に着いていくのであった。


「それより、洞窟に行く準備したの?ジャパリまんも”かいちゅうでんとう”も見当たらないんだけど....」

「まさかパフィン、何も持たずに行くつもりじゃないだろうねぇ?」


「しまった!完全に忘れてた.....」

「庭に埋まってるから今取ってくるね!待ってて」


そう言うとパフィンは家を飛び出していった。

これから行く場所は洞窟である。もちろん明かりはないし夜目が効くネコ科のフレンズでも洞窟内の様子は見ることができない。


そこで使うのが”かいちゅうでんとう”、

島の長の博士からもらった暗闇を照らす”道具”だ。

この道具によって夜でも洞窟でも安全に探検することができる。


なんでそんな暗い場所に心霊スポットがあるのって?

分かんないや。


「準備はできたよ!さぁ行こう!」


ヨシッ!心霊スポット巡りの始まりだ。

犬鳴洞窟はうみべちほーの海岸に空いている洞窟だ。

夜中になると中からたくさんの犬の鳴き声が聴こえてくることからこの名前がついている。噂によると洞窟の奥に祠があってそこに犬の霊が封印されてるとかなんとか...


「それでさぁ、空飛ぶサメが降ってくるホラー漫画とかどうよ?」


「タイリクオオカミさんそれいいね~、ついでに頭も3つくらいにしてみたら?」


「落ちてきたサメからたくさんの小ザメが出てきてフレンズを襲い始めるってのは?

 絶望感出るよ。」


「パフィンちゃん怖いよ」


そんな具合にオオカミ氏の漫画について談義していると、

3匹はいつの間にか洞窟の前に立っていた。

いざ心霊スポットを前にすると野生の勘がヒクヒクしてくる。武者震いかな?

しかし、ビビっていてもしょうがない。

ホラー好きの意地である。


「じゃあ、行こうか」









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