リアリティ・フォビア

二一人

誰かの手記


 ある日、地上に星々が降り注ぎました。

 その星々は地上の生命を枯らしつつ、その中から恐ろしい来訪者を生み出しました。その来訪者たちに、人々は駆逐されていきました。


 瞬く星々を見上げる人々の瞳には、空に佇む星々を降らした不思議な正十二面体が映りました。



______



 あの日から全てが変わった。星々が地上に降り注いだあの日からだ。あの美しくも恐ろしい日は、人間の歴史を終わらせるに足るフィナーレだった。いや、俺が生きてるからまだ途絶えちゃいないけど。


 というわけで、今日から日記をつけていくことにした。何がというわけなのか、と疑問に思う人もいるかもしれないが、理由はいくつかある。まあ、後述する。


 いつ終わるか分からない俺の冒険譚だ。俺以外にも生きてるやつがいるかもしれないし、いないかもしれない。しかし、この今の地球を描くのは、続くか分からない人間の歴史の一つになるかもしれないし、後世に残すべき文献になるかもしれない。


 ……なんて言い訳したが、結局のところ自己満足だ。崩壊した世界に蔓延る化け物ども、この中で生きていくのは簡単なことじゃない。日記をつけることにした理由について語るが、今のこの世界において最も重要なことの一つ、精神の安定化を図るためだ。


 とある精神論で聞いたことのある話で、人間は何かの目標がないと活動できないという。俺は、以下の目標を決めた。


 一つ、生き延びること。

 二つ、毎日日記を書くこと。


 以上だ。

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