俺と扇風機とココ★ナツ
@kokoko_natsu
第1話 Mi央に会った夏
令和はじめての夏も終わりを迎えようとしていた。
六畳一間、冷房機器なんてあらしな。扇風機は一昨年の夏に蹴飛ばして壊れたままだ。
今の部屋の隅で考え込んでいる。
破棄するにも金は掛かる。
この世の中はどうなっているんだ。
「俺はコイツを金出してかってんだぞ!」と、どこでもいいから電気屋に入ってカタカナのメーカーと金額しか言わない色白男の店員に言ってやりた。
僕のような万年独身男は、こうして誰も気に留められることなく、死んでいくんだ最後に好かれるのはウジなんだ..と汗で湿ったカビ畳に大の字になりながら生産性のない事を考えては溜息をついた。
仕事なんて知らない。自称ライターとでも言っておこう。
あるにはあるのだが、若僧のお手伝い程度だ。
手なんてペン以外のものを握ってばかりだ。これぞ独身貴族なんだと自分に言い聞かせて得した気持ちでいる。
締め切りも守らなければ、周りもおのずと離れていく。唯一相手をしてくれるのは、大学時代の藤村だけだ。奴は大手出版社の何かの役職なんだろう。詳しくは知らない、聞かないだけだ。これ以上情けない気持ちになるのは、ごめんだ。
今日は何をしよう。
秒針がゆっくり進むのを見ていた
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