第10話 花魁閉幕
令和2年1月26日 日曜日 20時30分
花魁道中と伴に集合場所に戻った私達は、
名残を惜しむかのように参加者と過ごしました。
話をしたり、撮影をしたり。
ツナマヨさんと2ショットを取れるタイミングがココしか無かったため、
皆並んで撮影し、短い会話を楽しんだのを覚えています。
そして時間が経ち、最後にツナマヨさんを皆で撮影しよう、と言うことになり、
一番ライティングが良い位置、
最初に花魁道中が立っていた階段へ私達が登り、ツナマヨさんは階下に。
そして、
撮影が一段落した頃、最後の挨拶が始まったのです。
「あまりにあっという間すぎて、さっき始まったばかりなのに?って思っています・・・・だけど、終わります」
15時にスタートした、花魁道中の終幕が近づいています。
「誕生日に始めて、約一年くらいかけた計画が、今日ついに形になって・・・感無量です」
仲見世通りを、皆でツナマヨさんを囲みながら、ゆっくり歩を進めた事が思い出されました。
「でも、泣いたら化粧が崩れるから何回も我慢してます」
浅草寺本堂でのご祈祷、賽銭箱の音と足の痺れに悩まされました。
「泣かないで!」との参加者からの声が。
「泣かない!強い子強い子、泣かない子だから!」
外周を通って、浅草花やしきへ。
「女ツナマヨ30自立と、孔子の言葉を引用させて頂いた今回のイベントなんですけれども」
集合時間近くになっても誰も現れず、正直焦りました。
「本当に30歳にして、やりたい事をちゃんとみんなの力でだけど、ちゃんと今日を無事に迎えれて」
園内へ案内された後、段上に揃った花魁道中の姿に息を呑みました。
「無事に迎えれて、無事に終われそうで本当に良かったです」
目の前を通る花魁道中に、時代を超越した感覚を味わいました。
「本当に産まれてきて良かったと思ったし、ちゃんと良い大人になってるなって思いました」
2ショット撮影の時に、緊張してうまく喋れなかった事を後悔しています。
「凄く、みんなに対しても、自分に対しても誇らしい人生を歩んでいます・・・
ありがとうございました!」
盛大な拍手がツナマヨさんの頭上から降り注ぎ、彼女の誇らしげな顔が煌々とライトに照らされています。
花魁道中は、彼女の笑顔と共にその幕を下ろしました。
参加した方々の思い出に、その笑顔と絢爛豪華な花魁道中が永遠に残りますように。
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