生後61日目⑤

 仲間がいること。


 かつての俺には当たり前だった。


 それと同時にそれがいかに幸せで、暖かくて、希望をくれることだと気付きもしなかった。


 けれど今ならわかる。


 自分が幸福に、安全に生きていけるように、それなりに心配してくれはするけど縛りつけはしない。

 

 そんな感覚は決して”保護者”からは得られない。


 あくまで他人で、本当の意味では利害を共にはしちゃいない。


 けれど目の前にいるそいつが、そいつと過ごす時間が、とても好きなのだ。


 強い愛を胸に抱いている奴からすれば、それはひどくちっぽけなことなのかもしれない。


 けれど俺は思うのだ。


 たとえこの世にどんな幸福が存在したとしても、俺が今それを幸福に感じているのならば、それは決して、偽物なんかじゃない。


「もう~、クナイちゃんかわいい~」


 俺は今、レナの胸に強く抱きしめられていた。


 どうしてだろう、体が小さくても、チン●が勃たなくても、おっぱいというものはどうしてこうも心地よいのだろう。


『確かに、本当の意味でお前はまだ目覚めちゃいねぇ。けれどそれは、今お前が感じているその湧き上がる感情は、決して偽物なんかじゃねぇ。だから……』


 俺は小さく、心の中のチン●に語り掛ける。


「おいおいねーちゃんやめろよ~、クナイちゃん苦しそうだぜ?」


「あらら、ゴメンゴメン、あんましカワイ~からついつい……あはは」


 言いながらレナは俺を持ち上げまたテーブルの上に置く。

「テメェ……」


 俺はジョセフを思いきり睨みつける。


「え? 何? 俺なんか悪いことした?」


「……ふぅ、いや、なんでもねぇ」


 もしも神がいるのならば、たった一つ願うこと。


 このまましばらく赤ん坊のままで。


 チン●だけを大人にしてくれ。

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