第120話 旅の始まり

旅立ち前日の夜、送別会が盛大に行われた。

主役の3人娘は最初は謙遜していたが、見たこともない料理が次々と並んでいくので目が輝いていた。

こんなにおいしいもの初めて食べましたと涙を浮かべながら頬張っていた。

これからいっぱい食べさせてあげようと思った。

父親になった気分だ。

腹が膨れ落ち着いてきたので3人に装備を渡すことにする。

装備を受け取り燥いでいる。

ランドセルを買ってもらった新入生のようだ。

ほんとうに可愛く思う。

すぐに装備してくると会場から走って出ていった。

待っている間に家族と話すことにした。


「俺は女神の使徒であるため、長い間同じ場所に留まることができない。たくさんの国に訪れ救いを与えなければならない。申し訳ないがこの国、国民をよろしく頼む。何かあった時には念話で知らせてくれ。転移ですぐに戻る。国の運営はシャナを中心に頼むぞ。」


「了解しております。こちらの方はお任せください。私たち妻が本気になれば、どこの軍隊だろうと敵わないでしょう。元最強パーティメンバーですからね。心配なさらずお勤めを行ってください。」


シャナの言葉のあと、妻たちがお辞儀をし微笑んでくれた。


「他の国と同盟を組むことになるかもしれない。その時はまた忙しくなるだろうが頼むぞ。」


3人が走って戻ってきた。

剣士のアカネは短剣を、魔法使いのサンドラは杖を、回復師のセーラはロッドを握り構えた。

どお? どお?と見せつけてきた。

かっこいいぞ、強そうだぞと褒めると満足そうだった。

落ち着いたところで送別会はお開きにした。

庭にこれから住むことになる小屋を出し、中を案内した。

3人はすごいを連呼するだけでずっと口が開いたままだった。

明日からずっと住むことになるというのに今日からここで寝るというので許可した。

ちゃんと風呂に入るようにと言って、俺は自室で休むことにした。

まあ、明日もっと驚くことになるんだがね。


早朝、朝飯の誘いに小屋へ行くと眠そうなアカネが出てきた。

昨夜は、はしゃぎすぎて眠れなかったらしい。

しばらく食べられなくなるだろうサクラの朝飯を噛みしめる。

味噌汁が染みる。

3人娘も和食は問題ないようだ。

ごはんは無理と言い出したらどうしようかと思っていたので安心した。

3人を連れ庭へ出る。

家族たちも見送りについてきてくれた。

こうしてみると妻子多いな。


小屋をしまって、上空に手を翳し飛行艇を出現させた。


「な、な、なんですか、あれは???」


期待通りに驚いてくれてうれしいよ。


「これからあれに乗って旅をするんだよ。」


飛行艇へ転送する魔法陣を出現させて3人に乗るように指示した。


「それじゃあ行ってくるよ。あとのことは頼んだぞ。」


妻たちに手を振り、飛行艇内に転移した。


「ティア、スノーホワイト王都に向けて出発進行!」


スノーホワイトには転移でも行けるのだが、ここはあえて旅立ちの演出のために飛行艇を使った。

ゆっくり空の旅を楽しみながら王都を目指す。

窓から地上を眺め、はしゃいでいる娘たちを微笑ましく見つめていた。

スノーホワイトの上空に着くと町は大騒ぎとなった。

ドラゴンの襲来だと思ったようだ。ごめんなさい。

王城の上空で停止した。

攻撃してきたら城を粉砕してやろうかと思っていたが攻撃は無かった。

ルビーが事前に連絡を入れていたらしい。

これからスノーホワイトの王様に挨拶に行くと伝えると3人とも緊張し始めた。

おい、俺はお前たちの住んでいる国の王様なのに、この差はなんだよ。

王様につい最近会っているのでこれと言って話すこともなく挨拶だけして城を出た。

娘たちが王都を見物したいというので街に繰り出した。

出店で串焼きを買い食いし、市場などを見てまわった。

肉屋で良い情報が得られた。

3日ほど距離にある湿地帯にニワトリとカモを合わせたような鳥がいるそうだ。

卵も肉もうまいらしい。

それより先の山岳部にはウズラに似た小鳥もいるそうだ。

こちらも卵も肉もうまいそうだ。

これは捕獲し、家畜に加えなくては。

教えてくれなかったスノーホワイトの王には今度仕返しをしてやろうと思う。

飛行艇で行くと驚かれて逃げられてしまうので馬車で行くことにした。

そうと決まれば馬車を作ることにする。

昔使っていた馬車風自動車がインベントリに残っていたことを思い出し、改造して再利用することにした。

馬車を引いてくれるリッカがいないので、馬風ゴーレムを作り引いているように見せてティアの自動操縦してもらうことにした。

フィールド上の魔物との戦闘経験も体験してもらうため、戦闘は基本的に3人娘に任せることにした。

もしかすると盗賊も出るかも? 人を斬ることができるか心配である。


*ステータス

 名前: アカネ

 職業: 剣士Lv.10

 性別: 女

 年齢: 15歳

 レベル: 20


 スキル

  剣術、剣技、身体強化、加速、回避


 ユニークスキル

  マリーナの加護


*ステータス

 名前: サンドラ

 職業: 魔法使いLv.10

 性別: 女

 年齢: 15歳

 レベル: 20


 スキル

  火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、魔力上昇、魔力操作、魔力感知


 ユニークスキル

  マリーナの加護


*ステータス

 名前: セーラ

 職業: 回復師Lv.10

 性別: 女

 年齢: 15歳

 レベル: 20


 スキル

  光魔法、魔力上昇、魔力操作、魔力感知


 ユニークスキル

  マリーナの加護



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新作もよろしくお願いします。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054897542411

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