第87話 ジャスミンの願い

元シルバー王国第2王女で、現在はゴールド国王の妻であるジャスミンから相談を受けた。

ゴールド王との間に未だに子ができないそうだ。

我が家は妻全員が妊娠している状態なので、何か秘訣があるのであれば教えてほしいと。

女神の加護『子孫繁栄』が理由なんだけどね。

あと、内緒にしているがスキル『絶倫』もかな。

ということで、義理の家族になる予定のゴールド夫妻の願いを叶えてあげようかとメリーナに相談することにした。

祭壇に行き、お供えをしてからメリーナに語り掛けてみた。


「メリーナ様、今日は肉じゃがを作ってみました。どうぞ。」


「おお、スカイか。これはうまいじゃないか! ごはんがほしくなる味じゃな。」


「そうだろうと思って白ごはんも用意しておきました。」


「なかなか気が利くではないか!」


「それでお願いがあるのですが。」


「なんじゃ? 改まって。叶えられないこともあるのじゃぞ?」


「ゴールド王夫妻にも『子孫繁栄』の加護をお願いしたいのです。未だ子ができず、後継者がいないため王族が絶えることを心配しているのです。」


「なんじゃ、そんなことか。ここに連れてくると良い。加護を授けてやろう。ただし、うまいものをお供えするのじゃぞ!」


「かしこまりました。後日連れてくるのでよろしくお願いします。では、デザートのプリンもそうぞ。」


「!!! これはうまいじゃないか!!」


「元世界の調味料や材料を作ることができるようになってきたので、向こうの甘味も作れるようになってきました。」


「許可する! 向こうのお菓子をもっと作ってお供えするのじゃ!」


にこにこしながらメリーナが帰って行った。


ジャスミンを呼び加護が与えてもらえることを話した。

大喜びでゴールド王のもとに走って行った。

すると2人で戻ってきて、これから最高の料理を準備するので明日お願いしたいと。

何年も子が出来なかったため、2人とも相当悩んでいたらしい。

領地を分けてもらったし、親戚になるわけだからこのくらいは力になってあげたいと思う。


次の日、朝早くから2人が訪ねてきた。

祭壇に置ききれないほどの料理とともに。

そして、メリーナを召喚する。

いつもはパッと現れお供えにがっつくのだが、今日は神々しい光の中から現れた。


「そなたらが昨日スカイが話していたものたちか?」


「はい! ゴールド国王をしておりますジャンガリアン・ゴールドと申します。隣は妻のジャスミン・ゴールドです。」


ハムスターか!とツッコミたいところだが、グッと堪えた。

この世界にはハムスターはいないから、はぁ?って雰囲気になるだろうし。

そういえばゴールデンハムスターも居たな。


「まずは、目の前のご馳走を食べても良いじゃろうか?」


よだれを垂らしそうなメリーナが確認してきた。

神の威厳はどこに?!


「どうぞお召し上がりください。お気に召していただければ幸いです。」


うまうまと言いながらご馳走を平らげていくメリーナがちょっとかわいい。

見た目は幼女なので。

なんかメリーナににらまれた。

満足したメリーナは加護を与えるため、ジャンガリアンの頭の上に手を掲げた。

同じようにジャスミンにも行い、2人の身体が光に包まれた。

お礼を伝えた途端、ダッシュで外に出て行った。

頑張ってね。

一か月後に懐妊の知らせが届いた。



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