5×20×5の世界

雨深 優

第1話

1人、座る青年。そこは学校。

1人、立ち尽くす少女。そこはがっこう。

「なぁー、凛華?何してんのさ、早く遊び行こ?」

青年は少女に声をかける。

「今日は…いいかな。」

そう言った少女はわらっている。少女は立ち去りながらに俯いた。

「んー、そっかー。」

そう言った青年は友達と時を共にする。

「あー、そうそう。凛華ちゃんだったっけ?あの子友達居なくてさ、虐められてるんだってよ?優くん大丈夫?彼女でしょ?」

誰かが呟く。

あまりにも急な情報が頭を駆け巡った。

「は?凛華が?虐められてる?」

咄嗟に出た言葉がこれだった。

「うん。なんか、結構酷いみたいで、優くんと居ない時はいっつも虐めてるって。虐めてる子から聞いた。だから、多分ホントの事だよ。優くん知らなかったの?」

そう言葉を受けると何も返せなかった。

「今日…帰るわ。」

そう言って青年は帰路につく。


俺はその日、夢を見た。

悲しい現実。悔しい世界。

何も知らない自分。何もしなかった自分。


2つのハコが見えた。

1つ、青年が真ん中にいて、明るいハコ。

1つ、その下で陰に埋もれた少女が真ん中のハコ。

5×20×5の2つの小さなハコはきっと僕らの世界。

朝、起きると無性に涙が止まらなかった。

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5×20×5の世界 雨深 優 @NeruAdveana

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