オレンジ


 形のないものを探せばキリがない。

 学習・青春・思想・恋愛・感情・時間etc……。闇雲に数えればもっともっと挙げられるぞ。部活だってそうだ…。くだらん。

 ふと窓の外の人たちを見下ろしてみる。

 これからプロにでもなれれば話は変わってくるが、頭角を現したなど、立派な者として接しらせるが。雑多、ほかの奴らはそうではない。青春というなのもとに踊らせられて、監督だかのパリオネット、結果、伸び代とか何とかで見切りつけられる。ふ。

 いかん。何も知らんことに偏見でものを決めてしまった。これじゃテレビやニュースの二の前だ…。

 確かに、この世には片tのないものが多すぎる、だからみんな惑わされる。間違える。……しっかりしないとな俺も……。

 桜がシンボルのうちの高校は、校門から通う際にこの時期、日本の式に感銘をうけながら、花びらが鬱陶しくてしょうがないパラドックスを抱えている。

 そして尾の両脇に体育館とグラウンドときている。いやでも体育や部活を意識させる学校だな…。

「風人かえろーっ!」

 この時間は、下校と部活へ行く。この二択で放課後が構築されている。桜の木漏れ日に火照られて帰宅する立派な生徒。かたや桜の花びらを横流しする部活へと向かうカスばえ共。

「風人かえろー!置いてくよー!」

かたや、おれっち、女の子に帰りの催促をされ、それを肴にまだ黄昏れるとチキンレースをすr。ゴっ

「っっっっっっっつぅー!!!」

「ほらー。風人が返事しないから、カバンさんおこちゃった」

 えなに、何が起きたの…?頭。血…?茶色…なにこれ皮膚?

「ほら帰るよー!」

「お、おぉん… 」



 二人で下校するのは今日で何日目だろうか。いや、明確には覚えてない。それほどまでに二人で帰るのは日常化している。ほとけばこのまま結婚したりして、なんて、こいつはそういう人間じゃない。

「よかったね!今日が命日じゃなくてっ」

 ゴリラがよ……。くそ、俺じゃなきゃ見逃してたぜ、脈拍を…。野良の医師かぶれのように利き手を左手首に添えて、違和感を感じる。

「…あれ、いつもより、帰るの早くねぇか?」

「へ、あそうぅ?気のせいだよ…」

身をよじらせて、目を合わさせようとしないあたり、何か隠してるな……。俺はそういうとこ目ざといんだ。俺のパーフェクトアイからは逃げらんないぜ。

「っそんなことより!…今日は私んちくるの?」

「あー…邪魔じゃないなら」

「そう!エッチだなぁ、風人は」

 今度は逆の方に体をよじらせる。きもいぞそれは、さっきの言動からもう俺にはボディービルダーの「サイドチェストーー!!」にしか見えないんだから。…ほんとだよ?

 立花美柑 17歳 部活動無所属。愛称;ミカン

 ショートのヘアスタイルとお気に入りの緑色のピン留めが相まって、本当にミカンになっちゃうよー、が口癖。容姿端麗、百人ミカンをみたら、百人ミカンを可愛いというだろう。まぁ見ただけならな…。

 本当に可愛いことに現状で、長月のうちから数えると二十数人の男子からの告白を記録している。

 座っていれば、たちまち蝶やら町やら、まがいなりにも動かしてしまいような身なり。そんなのがいきなり、カバンちゃんでサーバルしてきた世界線、あなたはどうおもいますか?わたしですか?なんていうか…その…下品なんですが…フフ…失神…しちゃいましてね……

「…あれ、ミカン。今お菓子とか持ってる?」

「え?持ってないよ…?…あ、それわたしの匂いじゃないの?あまーい、いいにおいでしょ?」

「いや、芋けんぴみたいな」

「死ね!」

「おわぁぁああ!」

 あぶね!全区域サバイバルエリアかよ!さっきの攻撃はもうきかねぇぜ!

ぎゅん「ぅぶっ!」

「ちゃんと足元も守らないと!」

 こいつ足だしやがった!ファールだよ審判!…って、そんなルールないか……。腰から階段に奇跡的に座る形で倒させれ、あまり体に衝撃は無かったにしても、やりすぎじゃないですかね…。

タンっ。

ここは階段。背中を階段に預けているとはいえ、うなじ、頭部が心細く、壁としての階段というものの用途は好ましくない…っ!まずい!卒倒まぎわの俺に、こいつに上をとられるのはまずい……!……。

…タンっタンっタン。

 誰かはいた。ミカンはそこへはいなかった…。長い髪。華奢な体に、押し付けた難しい文庫本。清楚を体現するのなら、そうこんな人。

 完全に覗きに行っちゃてるー!

タンタンタンタンタン………。

 

「…」

「最低なんだけど……」

「いや、お前のせいだから。とりあえず、俺今どんな顔?」

「うわっ」

 冷静になろう。俺は男だ。

 誰に向けたわけではなかったが、そこでは確かに「ありがとう」。そう呟いた男がいた。




 俺にとって、「生徒間の役を持つ活動」には3つ。生徒会・部活動・委員会に分かれていると思う。

 同好会、ボランティアとかいうものは。あくまで同好会。地域愛好会、意識のベクトルが違うと見ている。このカテゴリーは、「青春」を観点に、言い換えれば「カースト」にウェイトを置いて考えている。正せば、生徒会←部活動←委員会という順に強くなっている。いつもみんなが考えるのは、自分がどれに所属すれば「生徒間の役を持つステータス」になるのか。

 立派ではあるが、教育には聞こえがいいが、人が注目いない分水面下。文字通り浮かばれないのが奉仕活動というものだ。

 簡単に、わかりやすく。学生生活を、青春を謳歌しようとするならば、必然的に「部活動」に所属することが無難かつ有意義なんだろうな……。

 

 廊下に春の新しい風が強く入り込んでいる。見れば、誰かどこぞのバカが窓を開けてんだろう。勝手な都合で困る。構内の生徒は寒いだろうに、吹奏楽なんかまだ練習してんだろう…。

 この音は嫌いじゃない。外のグランドとかやかましい音より、気持ちがいい。みんなが思い思いに練習をし、この時間には顧問が寄ってきてちょうどパート練習から、合奏に入れ替わる。そんな時間が俺は好きだ。

「…これは、ふるーとか?」

 悪くない。この時間、校内に生徒がいないと、貸し切りの音楽ホールになる。

「小太鼓、もっと音上げても良くないか…」

 知らんが、バンドに例えるのならドラムっていうんだろ。詳しくないからわかんないけど。全体のリズムを取るだとか…。

 かさ!かさ!かさ!

「知らんけど…」

 全く、どれも俺には無縁の話だ。俺はただ聞いてるだけでいい。

かさ!かさ!かさ!かさ!……!

 …まぁ!取りあえずっ!早く職員室に鍵返しに行きますか。

ドンっ!

 !?何かにぶつかった、とても硬い…。おと……女?

「きゃっ!」

 その姿は今学校の女の人だった。スケバン?いや違う、けど、覇気があったな…。他の女性とは違う、何か……。…ぶつかれて光栄だった。ぺきっ。

「なんか踏んだ…」

 そこにあったのは、一枚の紙切れと、芋けんぴだった。





 

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