3
警報に驚きながらボクはオジサンの方を向く。
この音のことを聞こうとしたら、オジサンはそっぽ向いている。
「オジサン、この警報はどういうこと?」
「オレは知らん。お前が何とかしろ!」
半場、パニックになりながらボクは魔法の仕組みに気付いてすぐに解いた。
音だけはどうにもできなかったので、魔法を使って消すことに成功する。
溜め息をつきながらオジサンにどう言い訳をしようか迷っていると、後ろから肩を掴まれてベッドの方に放り込まれてしまう。
次の瞬間、エルフの見張りの人が来たことに気付いた。
音が消されたことにより彼らはこんなやり取りをしている。
「おい! 本当に誰かが牢に触ったんだよな? 警報が聞こえなくなったぞ!」
「誤作動じゃないのか? どうするんだよ! 俺は休憩中だったんだぞ!」
しばらくエルフたちの声が聞こえなくなるまで、ボクはオジサンに口をふさがれていた。
エルフたちの気配が消えると、オジサンが聞いてきた。
「坊主! お前、一体何をした? お前、もしかして、まほ……」
魔法という単語が出そうな気がしてきたので、ボクは唇に手を立てた。
我に返ったようにオジさんは小さな声で聞いてきた。
「お前さん、魔法使いなのか? もしかして、魔族じゃないよな?」
困ったな、あまり事を大きくしたくないんだよな。
だけど、どうやって誤魔化そう。
魔族という単語も出ていることので、魔法に知識を持っている人だろう。
悩んだ結果、ボクは素直に答えようとした。
だが、その時――。
誰かがここに来ていることが解ったので、ボクはもう一度唇に手を立てる。
ボクがいる牢屋の前に立つと、ボクを捕まえたリーダーが叫んだ。
「おい、そこの人間! 貴様は保釈だ。出ていいぞ」
「え!? ボク?」
「違う! 貴様ではない。隣にいる人間だ!」
ボクは嫌な予感がして、オジさんに駆け寄ろうとした。
だが、リーダーがボクの目の前に立ち、首根っこを掴みベッドに放り込んでしまう。
「痛っ!」
ボクが睨み付けると、エルフは無視してさっさと歩いた。
オジサンのことが心配でボクは魔力探知を使っていると、いきなり魔力が途絶えた。
と思ったら、フーゴさんらしき人に出会った場所に戻っていた。
「え!? どういうこと?」
驚愕しながらボクは状況を再確認した。
オジサンが死んだ、いや殺されたのかな?
いや、でも待てよ、お母さんが殺された場合もこうなるのかな?
フーゴさんらしき人に言われた言葉を思い出そうとした時、お母さんの声がボクの耳元で大きく聞こえた。
「アレオ!」
お母さんの声が横から聞こえてきたので、ボクは声の方向を見る。
案の定、お母さんがいる。
「え? お母さん? どうしてここにいるの?」
首を傾げながらお母さん。
ボクは聞きたいことが山ほどあるが、今はここの説明をしようと思った。
「とりあえず、お母さんもやり直したいと思ってくれる? そうすれば、ボクが言ったように時間が巻き戻るみたいだから」
お母さんが辺りを見渡す。
納得しているように何度も頷くと、疑問に思うことを聞いてきた。
「どうしてこんなことしないといけないの? ここでもいいんじゃない?」
「ここはボクたちの魔力が媒体になって存在している空間みたいなの。後はあっちに戻ってから説明する。じゃあ、ボクは戻っているね」
そうボクははっきり言って、お母さんを置いて先に戻った。
□■□
ボクは戻ってみると、痩せこけたような顔をしているお母さんがいた。
心配して駆け寄った。
「どうしたの、お母さん?」
「ゴメン、アレオ。私はここまでみたいだからあとはよろしく」
この様子でボクは察した。
ボクが戻った後もしばらくいたな。
魔力探知を使ってみると、魔力がほとんどない。
だけど、お母さんを助けたときは魔力が戻っていた記憶があまりないんだよな?
その前に、ここでお母さんが動いてくれないと困る。
なので、確信があまりないが言ってみた。
「お母さん、確証はないんだけどさ。休んでいても、魔力が戻らないと思うよ」
「え!? もしかして私の心を読めるようになったの?」
溜め息をつくと、ボクは辺りの魔力探知を使ってみた。
すると、エルフと魔族が戦っているような魔力を感じた。
身体強化魔法を使ってボクはお母さんを担いで走った。
すぐに戦っている二つの種族の周りに「フレイム・タワー」を立てた。
前見たとき、戦いの影響で木などはあまりなかったはず。
だから炎の柱を張って、今度は逃がさないようにしたのだ。
お母さんが変な声を出しているが、無視してその場に着いた。
ボクは混乱している戦況になっていた。
「ボクたちは旅をしている神族です。魔族と戦っているのでしたら、参戦させていただきます!」
炎の柱を一部消してボクは颯爽にエルフと魔族の間に現れる。
中に入ると、まだフォーカスたちは遭遇して間もないのか、ほとんど無傷であった。
突然、魔族が水魔法で柱を消そうとしたので、ボクは逃げようとしている奴らの近くに魔法で罠を張った。
見事に、魔族はハマってくれた。
それは、特定の場所で動いたものを縛る罠。
「なんだよ、これ?」
「こんなの聞いていないぞ?」
など魔族たちが喚いていたが、エルフの一人がボクに聞いてきた。
「どうしてここに?」
「ボクたちはエルフの村に用があってきたのです。近くに戦っているような魔力を感じたので、それで来ました」
すると、フォーカスが叫んで反論してきた。
「ソイツらの言うことを聞かないで! ソイツも魔族の一員よ!」
他のエルフたちは動揺が隠せないでいた。
だがそのとき、フォーカスの後ろから貫禄のある声が聞こえてきた。
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