世界観 各国の紹介

中原ちゅうげん

 梁などの国家が存在する地域の呼称。大秦大陸と呼ばれる大陸の東に位置している。大小様々な国家が乱立しており、それらが合従連衡を繰り返している。

りょう

 国都は成梁せいりょう。今上王はまだ若い。先代の王は男色で、張章を寵幸していた。中原の中心に位置し、国力は中原第一である大国だが、戦争続きで疲弊している。国土は平地が多いが、西側には山岳地帯が広がり、そこが虢との国境になっていた。北方には夷狄として蔑まれている遊牧騎馬民がおり、彼らは秋になると略奪を行いに梁の北辺に侵入してくるため、梁国は長きに渡って彼らと戦ってきた。魏仁や張章といった武将が彼らとの戦いで戦功をあげ、その多くの部族を服従させた。国土に平地が多く、また騎馬民と度々戦っていることから、梁軍は騎兵戦術に長けており、平地での機動戦には滅法強い。

ちん

 梁の東に位置する国。国都は夷陽いよう。中原諸侯の一人が東方の夷狄を征服して建てた国。小国であり、梁と荊という二大大国に挟まれて何かと苦労している。それまでは梁と結んでいたが、きょという小国を梁と共同で攻め滅ぼした際、約定を破って新虞しんぐ城を占領したことから関係が悪化した。周安邑しゅうあんゆうという優れた老将が仕えているが、後進が育っているとは言い難い。

かく

 梁の西に位置する国。国都は新雍しんよう。国家の規模は陳や蔡よりは大きく梁や荊よりは小国である。国土は険しい山岳が多く、それ故に交通の便は悪いが、いざ攻められればそれが天然の要害として侵略者に立ち塞がる。山地の多さ故に、起伏のある地形における歩兵戦には滅法強いが、騎兵の数が少ないため機動戦は苦手。

さい

 正直この国についてはあまり詳細な設定を詰めていません(国都の名前も唯一出なかったし……)。陳の北、梁の東に位置しており、陳と同等レベルの小国だが、梁と手を組んでそれを恃みに陳へ攻め込み、一時は夷陽に迫る程に侵攻したポテンシャルの持ち主。梁と蔡が組み、それに対抗して陳と虢が組んだことで梁蔡同盟対陳虢同盟の図式が成り立った。

けい

 梁、陳、虢の南に位置する大国。国都はえい。中原から南に外れた国であり、顔や体に黥面文身いれずみを施すなど中原とは異なる文化を持っている。中原諸国から蛮夷として蔑まれてはいるが、梁に匹敵する大国であり、中原の国々から恐れられている。象の産出地でもあり、小規模ではあるが戦象が運用されている。

 荊の東には陳よりもさらに小さな国々が乱立しており、この国々に対して軍事介入を行っている。また、南には越安えつあんと呼ばれる部族がおり、盛んに荊の国内に侵入して略奪を働いているため、荊は度々討伐軍を派遣している。




 

 モデルにしたのは、春秋戦国時代の中国です。各君主が王号を自称していて(梁王、陳王など)、騎兵戦術が浸透しているので春秋時代よりは戦国時代寄りかな……と思います(戦国時代ならキン〇ダムとかの影響で三国志程ではないにせよそこそこ皆馴染みがありそうですし)。ただ、官制は前漢代や後漢代から名前だけ借りてきている感じになってるのでざっくり「古代の中国」をモデルにしているみたいな所はあります。架空なので。

 登場する各国家の名前も、春秋戦国時代に実在した国名から取っています。例えば、主人公の魏令や張章らが仕える梁の国は、戦国七雄の魏の別名から来ています(魏は首都を大梁に遷した後は梁と呼称されることもありました。「孟子」の梁恵王章句とかありますよね)。ただ、梁という国自体は春秋時代に秦に滅ぼされた小国や、それからずっと未来の南北朝時代の南朝にも同名の国がありますね(「文選」の編者である昭明太子で有名な国です)。陳と蔡は楚に征服された小国で、虢は春秋時代に晋によって滅ぼされた国から取っています。荊も、リアル中国史では楚の別名として荊という名前が使われることもありました(「戦国策」の遠水近火の故事に出てきますね)

 国の数は三国だとちょっと少ないし戦国七雄みたいに七か国あると外交関係が複雑になりすぎるので両者の中間の五つにしました。

 私は設定は逐次生やしていく派なのであんまり細かい設定などは作り込んでいないのですが、何となく頭の中にあった各国の設定についてまとめてみました

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