ハイマニア

@amagami1219

第1話

「ねえ兄さん、何でこの世界は

 こんなにも血にうるさいのかな」

「しょうがないだろ

 そんな世界なんだから」

「血統で差が生まれるのって理不尽だな」

「ラックもう血の話はやめろ

 外では滅多に口にするなって

 母さんに言われたばっかだろ」

「わかってるけど兄さんはそのせいで

 …ノアと上手くいってないだろ」

「当たり前だ、Eの俺とIのノアが結婚したら

 俺はまだしもノアがGに下がるからな」

「でもさ…」

「もうこの話はよせ

 もし誰かに聞かれたら…」 

 バサッバサバサ

 突然、一羽の公宮鳥、別名監視鳥が

 公宮の方へと羽ばたいていった

 公の遣いが来るのは遅くはなかった

 少年達の母親であるミラと

 兄の方であるシュラは必死に

 ラックを連れて行かないよう懇願した

 しかし、しまいには公の遣いは

 武力行使をしてラックを連れて行った

 

 ちょうど2年後が経ち

 「シュラ、森でハーブを採ってきて

  くれないかい?」ミラは言った

 「あぁ、母さん」

 少し躊躇いがちになりながらも

 シュラはそれに応えた

 森に入る前に

 いつものように、ペンダントにはめてある

 弟との写真を見て森へ入った、

 夕飯の支度が始まる前に家に帰り着いた

 「ねえシュラ、悲しいのもわかるけど

  そんな顔ばかりしてたらラックは 

  救われないから…ね

  誕生日くらいはラックの分も

  笑って過ごしてあげて」

  ミラは笑顔の裏に深い悲しみを

  隠しながらそう言った

 「母さん、俺はさ今でも、

  もしかしたらって思う時があるんだ

  俺があの時…」泣きながら言った

 「シュラそれは私もそれは同じ」

 「ごめん母さん」シュラは涙を拭い笑った

  ミラはその笑顔が自分と同じもので

  あると分かっていても受け入れた

 そしてシュラは決意を固めミラに訴えた

 「俺さ、このおかしい世界の秩序

  変えるためにさ、サヴァンになるよ

  きっとラックも望んでることだから」

 ミラは深く頷いた

 「シュラならそう言うと思ってた、

  だから私もシュラに言わないと

  いけないことがあるの」

              (第1話完)


注…この世界は血統第一優先で

  血統はAが1番身分が低く 

  アルファベットが大きくなるにつれて

  身分・位が大きくなる

  ただし例外もあるそれは

  今後のストーリーで読み取って欲しい

  それと血統のアルファベットは

  苗字として使われている


サヴァン…サヴァンとはこの世界では

     「探求するもの」と意味する


公…公とは事実上この世界で

  二番目に権力の高い者たちの

  属する位のことである

  

  


 

 

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