岩田紗路のある考察

五里栗栖

岩田紗路のある考察

 家達 和尊は時代錯誤のしがない私立探偵である。

 その日々はポスター貼り、町内会の資料作り、回覧板の作成、町内清掃等々の雑用に費やされ、刺激的な事件の調査など縁遠い存在であった。

 新しく立てられた古本屋のテナントを訪れるまでは――。


 昨今の蛇目市は、新しく就任した市長の計らいにより、街作りとイメージチェンジが盛んに推し進められている。

 その影響で数ヶ月前までは寂れ、過疎化していた商店街も忙しなくテナントが入れ替わり、色めき立っていた。

 和尊が事務所を構えるビルの真横に古本屋ができたという事で、雑用仕事も一つも来ていなかったので、彼は挨拶に行く事にしたのだった。


 やけに物々しい”御隠人屋本舗”と書かれている看板と、ショッキングな色合いの暖簾を潜ると、夥しい数の段ボールと、本棚を組み立てている着物姿の少女が居た。

 彼女が本屋を訪れた和尊の存在に気付く。

「ま、申し訳ありませんわ! 越してきたばかりで荷物が片付いていなくて――えっと、本日は休業日にしていたと思うのですけど」

「ああ、シャッター降りてませんよ。貼り紙も無かったですし」

「まあ! そうでしたわ! 本当に申し訳ありません、私――色々、不慣れなものでして……」

「いえ、構いませんよ。俺、今日は挨拶に来ただけなんで。古本屋? でしたっけ。随分、若そうですけれど店主さんですか?」

「はい、店主でございます! えーっと、明日より御隠人屋本舗というオカルト専門の古本屋を営ませていただきます。岩田 紗路と申します」

「ええ、こちらこそ。俺は隣のビルで探偵事務所を構えてる家達 和尊というものです。一応、お隣さんですからね。仲良くましょう――ええと、こちら名刺」

「あ、私も」

 紗路がカウンターの奥から名刺を取り出すと、互いにお辞儀して交換を行った。

 名刺を受け取った彼女が、まじまじと写真を眺めると、頬を染めながら言った。

「先ほどから思っていたのですが、家達様は随分と端正なお顔立ちをしていらっしゃいますのね」

「は?」

「一目惚れですわ!」

「え?」


 それから、流されるまま荷物の片付けと店内の整理を手伝わされた和尊であった。

 数時間後、恙なく作業が完了し、探偵業に興味津々な紗路が家達探偵事務所に押し入っていた。

 和尊をソファに座らせ、紅茶とお菓子の用意をしていたところ、珍しく事務所のチャイムが鳴った。

 手持ち無沙汰で暇をしていた探偵が扉を開けた。

 今回の依頼人はどうやら、挙動不審な様子で辺りを見回しており、切羽詰まっている様子だ。


 いかにも今時の浮ついた若者――といった風貌のフリーター、門脇 若菜は実入りの良い仕事をいくつも掛け持ちしているという。

 今回の仕事は顧客の身辺調査も兼ねるかもしれない、という話であった。曰く――彼女は命を狙われており、実際に数ヶ月前、同棲している彼氏が殺されたのだそうだ。

「……この案件は、引き受けられないかもしれません。おたく……あー、これは答えにくいかもしれませんが……。それでも、是非に答えていただきたいのですが、所謂――春を売るような仕事はやっていますかね? もしくは、お客様と恋愛する様な」

「……やってる。なら、引き受けられないって、何処に頼んでも断られた。でも、ウチ……マジで死ぬかもしれないから――だから、色々探して、ここに」

「反社に触れるリスクがある様な仕事は皆したくないですよ」

 仰々しい身振り手振りで、断る方向に話を流そうとする和尊。

 葬式の様な雰囲気が漂い始める事務所内であったが、そこにお茶と菓子の用意を済ませた紗路がやってくる。

「あら、お客様ですわよね? お仕事のお話で?」

「ああ、そうだ。ほらほら、自分の店に戻った戻った」

「あら、和尊様は素っ気ないのですわね? 私、今日は休業日ですのよ? お忘れになりました? ほら、紅茶とお茶請け。丁度、二人分ありますから。お客様もどうぞ。和尊様? 良いですか? ちゃんと接待もしなければ、次の仕事に繋がりませんわよ? そういう積み重ねの一つ一つが――」

「あー、わかったわかった! それらはありがたく貰おうじゃないか! ほれ、行った行った!」

「わ、わっ! それじゃあ、私は別室で控えておりますわ」

 慌ただしく、リビングから紗路を追い出す和尊。

 その様子を静かに笑いながら、若菜が見ていた。

「彼女さん? 大事にしなよ」

「違うって――こほん。まあ、お隣さんですよ」

「へー……。ウチと健吾――あ、死んだ彼氏ね……。ウチらもお隣さんだったんだ。あいつ、バンドマンだったんだけどさ。売れないインディーズバンド。客入りも全然なくて、でもスルメっていうの? 何回もチラシとチケット渡されて、暇だからってライヴを見に行ってるうちに、なんか惹かれて行ってさ」

 それから、若菜は笑いながらその男のことを語り始めた。

 少しずつ客入りが良くなりはじめた事。口コミでファンが増えだした事。音源を出し、有名なブログで紹介され、MVの再生数も格段に増え、そして――レーベルとメジャーデビューの契約まで漕ぎ着けた事。

 だが、健吾が交通事故を起こし、90日の免停を課せられ、契約も見送りになった事。

 そして、その数日後、何の因果か車に轢かれ、死亡した事。

「でも、おかしいんだ。ウチ、滅茶苦茶問い質したんだけどさ、その運転手――身に覚えがないって言うんだよ」

「……そりゃあ、言い逃れじゃないですかね?」

「急に車の操作が効かなくたって言ってて。で、しかも健吾が赤信号の時に横断歩道に急に出てきたって――そんなわけないだろって、ドライブレコーダーも見せて貰ったんだけど。そしたら、健吾の奴……誰かに背中を押されたみたいに、出てきてたんだ」

 一瞬――事務所内が静まり返った。

「誰かに殺されたかもしれない、と」

「実際、警察もその線で追ってるって聞いた。でも、過失は運転手にあるし、当人が見付からないから、今のところは立証は難しいって弁護士が」

「……なるほど」

「……なあ、探偵さん。でも、ウチさ……運転手は悪くねえと思うんだよ。背中を押した奴がいるなら、そいつが一番悪いじゃないかって思うんだ」

「そうとも言えますな」

「……だよな。そんでさ、ウチも最近、信号とか渡ってる時に悪寒がしてさ。ずっと、誰かに見られてる気にもなってるんだ。おかしな話だよな? でも、ついこの間――確かに背中を押されて、横断歩道へ飛び出しそうになった事があるんだ。本当なんだよ」

「意図的に交通事故を起こそうとしてる人がいる、と。成る程、それなら、それはもしかしたら……若菜さんの顧客とは関係ないかもしれませんね」

「へ?」

「依頼の件、引き受けましょう。但し、俺が追うのはあなたの彼氏だった男の身辺調査と、彼が起こしたという交通事故についてだ。それで、良いですか?」

「……依頼料はどうすれば良い?」

「後払いでいいですよ。事が終わったら、一緒に考えましょうか。当事務所のモットーは、お客様には親切に……ですので」

「ありがとう……」


 蕪木 健吾率いるバンド――The Silent Telepathy'sは21世紀初頭00年代の邦楽におけるオルタナティヴロックの影響を諸に受けた、所謂ありがちなインディーズバンドだったと、彼らと契約の話を進めていたレコード会社の男は語る。

「サイテレはねぇ。数ある弾の中でも、一番に期待してなかったんだ。彼らが何でバズったか分かる? フロントマンの顔と声質だよ。演奏も歌詞も作曲スキルも微妙。音楽性なんて誰も期待しちゃいないし、将来性も皆無。アイドル需要なんだよ」

「無理に売りに行く必要は無かったと」

「そうそう。アイドルバンドっていうのは好感度勝負だからね。蕪木君が交通事故を起こしたら、すぐさま契約見直しにしたよ。……だから、本当にさ。俺は別にあいつらに恨みなんて抱いてないのよ? 探偵さん」

「……そうですね。一応、納得は行きました。すみません、忙しい中、お時間頂きまして」

「いやいや、そっちも仕事でしょ? 大変だねえ。ま、お互い様、ね。じゃ、お先」

 営業マンの男は腕時計を見ると、慌てて上着を羽織って会計を済ませに行った。どうやら、時間がどうしても惜しいらしい。

 和尊の仕事ぶりを見守っていた紗路が口を開いた。

「……なんか、彼女さんから聞いたサクセスストーリーとは、随分と違う様子でしたわね」

「そんなもんさ。だから、探偵なんて仕事に需要があるんだ」

「ほう、随分と深い事をおっしゃりますのね」

 何やら、メモ帳に向かってペンを走らせている様子の紗路に、和尊が疑問の眼を向ける。

「何やってんだ?」

「未来の助手になる為、和尊様の仕事ぶりを忘れぬ様に記入してるのですわ!」

「……古本屋はどうするんだ?」

「勿論、併行して続けますわよ?」

「……あっそ」

 和尊が早足で立ち去ろうとする。

 それを、紗路が追い掛ける。

「あ、ちょっと待ってくださーい!」

 二人は、ある一人の元バンドマンの自宅に向かった。


 元バンド仲間や、過去の対バン相手などから聞いた情報により、健吾に楽屋泥棒の疑いがあった事が分かった。

 疑い――といっても状況証拠や他のメンバー等のアリバイから推察するに、ほぼ確実なものである。蕪木 健吾は、何度も楽屋泥棒を行って日銭を稼いでいた立派な犯罪者であったのだ。

 彼の被害者の中で、ドラムセットをまるごと売り払われたという人物のもとに、紗路と和尊は訪れていた。

「俺ぁ、もうあいつにやられた事は許してんだよ」

 缶ビールを開けながら、男はそう言った。

「それは何故?」

「これは、誰にも言ってないんだがな……実はさ。一回、あいつが俺の楽器を盗もうとしてるところに立ち会った事があるんだ」

「……通報しなかったんですか? 立派な犯罪ですが」

「それがよォ……。俺が怒鳴り散らしたら、あいつ――何て言ったと思う? 大の大人がよ、泣き喚いて鼻水垂らしながら”若菜のためなんだ。家賃を払わないと。頼む、許してくれ、何でもする”って。……あいつ、顔しか取り柄が無かったんだよ。声は良いけど歌は下手だし、演技も出来ねえ、無愛想だから接客もMCもてんで駄目。物覚えが悪いからバイトもすぐクビになっちまうって、いつもいつも酒の席で言ってた。俺はもう、情けなくて情けなくて、思わず見逃しちまったんだ」

「それは――」

「ああ、間違っても同情すんなよ? 探偵さん。あんなのはよ、いくらでもいる社会のゴミの一人なんだ。田舎から東京に出来てきて、それなりの歳月を経たが……健吾みたいなのはごまんと見てきた。……まあ、俺もほらこの通り。立派なアル中だしな」

「では、特に――」

「ああ、殺す理由はねえよ。俺にはな」

「……ありがとうございました」

「おうよ。……あいつも惜しい事をしたもんだ。もう少しだったのになあ」

 ビールを飲み干して、男は苦い表情をした。


 和尊達は、若菜から聞き出した、健吾が起こしたという交通事故の被害者の自宅へと向かった。

 そして、そこにあったのは、解体中の和風建築物であった。

 失礼して、作業員の一人に話し掛ける。

「すみません。こちらの家って何かありました?」

「ん? ああ、俺は詳しくないんだが、住んでた婆ちゃんがちょっと前に亡くなったって話でな。親族も重い腰をあげねえし、異臭騒ぎも起きたもんで、お上がそろそろ無理矢理にでも片付けろって動いたらしい」

「……成る程。ありがとうございます」

「いや、どういたしまして」

 近くのベンチに座って、和尊が一息つく。

 紗路が缶コーヒーを渡して、隣に座った。

「ありがとう」

「……あそこの老婆、気になりませんか?」

「……どういう意味だ?」

「ホラー映画のセオリーなら、そのお婆様が元凶ですよ」

「馬鹿馬鹿しい。あのな、これはフィクションじゃない。リアルだ」

「そうとも言い切れないから、事実は小説よりも奇なり――とも云うじゃありませんか」

「ははあ……」

 工事現場を見遣っていると、何やら騒ぎが起きている様子だった。

 急に、高所から鉄骨が落ちてきたらしく、現場監督が怒鳴り散らしている。

「あそこの工事――あまり上手く行っていないみたいですね」

「みたいだな」

「……ちょっと調べたんですけど、これ」

 紗路がタブレットを操作して、一つの動画を和尊に見せてきた。

 そこには、顔を隠した若者に家を悪戯されて激怒している老婆が映っている。

「……おいおい、これ」

「先ほどの家と、その家主――ですね。どうやら、界隈では有名なお婆様だったらしく、交通事故の騒ぎが起きたとき、蕪木健吾さんも少し話題に上がっていた様で」

 エアガンで発砲される老婆。自宅に不法侵入され、屋敷の様子を撮影される老婆。――個人情報を晒しあげられる老婆。

 探せばいくらでも、その異様な動画群は見付かった。更に、身勝手なレスの続く匿名掲示板までも。

「この方、夫を亡くしてから心を病んでしまった様子で。親戚以外の遺族もいないらしく、ずっと孤独で……。近隣が迷惑を被るくらいには家に執着していたみたいです。不運にも交通事故が起きて、病院に運ばれた際も、すぐに抜け出して戻るぐらいには――。そして、禄にリハビリも受けず、足も骨折したままだった為、食事も排泄行為も上手く出来ず、死亡してしまったと――」

「……そりゃあ、気の毒な話だ」

 タブレットを紗路に返して、和尊が立ちながら言った。

「それで悪霊にでもなってたら恐ろしいもんだが。生憎、そんな話は信じられないなあ。それに、悪霊の正体がその老婆とは限らない。老婆の関係者かもしれないし、蕪木 健吾かもしれないし、もしくは何の関係もない傍迷惑な地縛霊かもしれない。……そこまで行ったら、もう俺達の手には負えないさ」

「……そうですか。まあ、知ったところでどうしようも無い――というのは同意ですわ。もしかしたら、真実は他にあるかもしれません。ですが――ねえ、和尊様、人を強く動かすのは何だと思いますか?」

「お金か?」

「いいえ、切実ですわ。ですからね、和尊様。あなたの言うとおり、誰もが容疑者になり得るんですのよ」

 そう言って、彼女は動画共有サイトを閉じた。

 暫くしてから、はっと気付いて紗路が言った。

「あの、靴紐――解けてますわよ」

「あ、いつのまに……」

 転ばないように紐を固く結び直す。


 次の策の為、資料整理を行っていたが、作業が難航し息詰まっていた。

 そのため、和尊は煙草を吸いに出掛ける事にしたのだった。

 ビルを出たすぐ側――古本屋の前で紗路が箒で埃を掃いていた。

「おや、ご苦労さん」

「こんにちは。相変わらず素敵なご容姿でいらっしゃいますわね」

「性格も褒めてくれないか?」

「まだ会ったばかりでよく分かっていないので……」

 掴み所のない彼女に、溜息を吐く。

 世間話をそうそうに打ち切って、彼はある質問をする事にした。

「なあ、除霊とかって出来るのか?」

「無理ですわ。ただの古本屋ですのよ? 私」

「あー……まあ、そうかあ……。なあ、お前の店ってオカルト専門? だったよな。やっぱり、そういうの詳しいのか?」

「まあ、それなりに――ですわね」

「結局さ、俺達はそいつらに対抗できるのかよ?」

「そうですわねー……。強いて言うなら、出来る事があるとするなら、祈るか逃げる……ですわね」

「無理って事じゃないか」

 髪を掻き上げて、また和尊は溜息を吐いた。

「そもそも、幽霊――怪異、あるいは妖怪……はたまたUMA。一概に括ってしまえば、オカルト。そんな彼らは何なのでございましょう?」

「定義って事か?」

「はい。例えば……所謂、事故物件を訪れた事はありますか?」

「あるわけないだろ……」

「私はあります。何件も何件も、見てきましたわ。そして分かったのが、共通して、”起こりそうな雰囲気”を纏っていること。また、不吉な要素を孕んでいること。例えば、風水だったり――ジンクスだったり、といった様な」

「それは、雰囲気ってのはそういう事が起こってるから――じゃないのか」

「そうとも考えられます。然し、私は……そういった怪奇現象は起きるべくして起こっているのではないかと考えています。条件が整えば、必然的に。それはまさに怪奇現象。彼らは条件やルールに則って動く、一種のシステムなのです」

「オカルトは現象だと?」

「はい。そうは思いませんか?」

「……どうだろうな」

 立ち話が終わり、気まずい空気が流れる。

 そういえば――と、和尊は外出の目的を思いだし、歩みを再開させた。

「現象、ね。そりゃあ、為す術がない。理不尽だ」


 犯人の正体を掴む為、和尊は数日間――依頼主の若菜を尾行していた。

 近隣の住民や家主に密かに接触して情報を集め、傾向等をプロファイリングし、仕事先の情報や通勤経路を掴み、約一ヶ月の期間を費やしての事である。

 そろそろ依頼結果を報告しなければいけない頃合いのある日、横断歩道の前で若菜が信号が変わるのを待っていた時、何者かに背中を押され、黄色い点字ブロックを越えて飛び出しそうになる。――それは、間もなくトラックが通ろうとしていた時の事だった。

「危ない!」

 近くで見張っていた和尊が腕を握り、間一髪のところで引き留めた。

 呆然とした表情で倒れ込んでいる若菜に手を差し出す。

 立ち上がった彼女と共に辺りを見回す和尊であったが、怪しい人物は見付からなかった。

 紗路曰く――その日は、例の老婆が交通事故にあった時と、丁度同じ曜日・日付であったらしい。


 結局、依頼は失敗にり、依頼人は残念そうな顔をしながら、報告内容を受け止めた。

 紗路にオカルトな内容にも触れる様に言い付けられていた和尊は、その通りに説明して勧めたが、怪訝な顔をされて終わった。

 格安の報酬金が振り込まれているのを確認しながら、探偵は溜息を付く。

 紅茶とお菓子の配膳を終えた紗路が、彼の目の前に座る。

「お前、古本屋は?」

「お客様がいらっしゃらないので、臨時休業ですわ」

「それは、結構な事で」

 お菓子を頬張りながら、和尊が漏らした。

「結局、俺達は何が出来たんだろうな」

「何も。偉そうな事を言っても、私は所詮――ただの古本屋。和尊様はただの探偵。無力な生きている人間が、死んでいるものに出来るのは祈りを捧げる事だけですわ」

「はっ。全部、徒労だってんなら救えないね」

 苛立ちを誤魔化す様に、テレビの電源を点ける。

 丁度、アナウンサーが神妙な顔でニュースを読み上げていた。どうやら、フリーターの女性が交通事故で死亡したらしい。

 何処かで誰かの笑い声がした。

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