君にサヨナラ

@YUKALI

第1話 はじまりの時

 僕は、恋愛はしたことないし、誰かの恋愛にも興味がない。今までも、これからも。でも、君に出会って考えが変わった____________


 僕は四条 翔。高校の1年生だ。さっき二学期の始業式が終わった。だがその式に問題があったんだ。



「えー、君たちは___」

 バンッッ!!

 皆が一斉に音の方へ顔を向けた。そこにいたのは、ひとりの女の子だった。校長先生が、

「おはようございます。遅刻ですか??早く席に座りなさい。叱るのは後です。」

 と言った。

 女の子はそのまま静かに後ろの席に座った。

 彼女は一体誰なのだろうか。まあ僕には関係ない。そう思っていた。



 僕は1年2組だ。大人しい子達の集まりで、僕もその1人だった。学活の途中で先生ともう1人の影が遅れて入ってきた。

「みんな、お待たせ。彼女は二学期からこのクラスで一緒に過ごします、朝川 桜優さんです。彼女は一時的にこの百合丘学園に転入してきました。2年生になる前にまた転校しています。___さあ、では朝川さん、みんなになにか挨拶を。」

「みなさん、こんにちは。朝川 桜優です。先程先生にもご紹介頂いたとおり、短い期間しかみなさんと過ごせませんがよろしくお願いします。」

 かわいい。すごくすごくかわいい。僕みたいなクラスの中でもザ・陰キャみたいな僕には見向きもしないんだろうな、彼女は。きっと彼女みたいな綺麗な子はイケメンで賢くて運動もできる石澤 優斗君みたいな子と付き合うんだろうな…。

「はい、ありがとう。じゃあ朝川さんは·····四条君の横、あの1番後ろの空いてる席に座ってくれる?」

 こんなこと人生に1回でもあるだろうか。だがそんな奇跡が本当に今起こった。彼女が来た。優雅に歩いていてまるでフランスの貴族のような。

「四条君·····よね?これからはよろしくね。」

「う、うん。あ、朝川さん。」


 学活の終わりに先生が僕の名前を呼んだ。

「四条君、もし君が良ければなんだけど、朝川さんにこの学校を案内してあげてくれないかな。一応今日中に終わらして欲しいんだ。」

 クラスの男子から、いいなー とか、羨ましい などの声が聞こえてくる。そりゃそうだろう。僕だって今猛烈に喜んでいる。喜んで返事をするのを忘れていると、朝川さんが心配そうに声をかけてきた。

「四条君·····だ、だめかな??」

「いや!!いやいやいや!!!!そんな訳ないよ。むしろ嬉しくて声が出なかったんだ。」

 ぼ、僕はなにを言っているんだろうか。正直に言い過ぎだぞ!朝川さんをチラリと見た。すごく顔が赤い。あー!僕のアホ!!そんなの誰でも、今日初めて会った人にこんなこと言われたら誰だって嫌だろう。

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