大嫌いなこの世界に中指一つ立てまして、
ナリタ
プロローグ
世界が音を失ってしまったかのようにさえ思える、日が上る前の最も静かな時間。暗い部屋のなか膝を抱えて
彼はこの世界を救うべく異世界より転生し、多くの仲間と共に過酷な冒険を経てこの魔王城にたどり着き、そして先刻ついに魔王を討ち果たしたのだ。彼の働きにより世界は魔物の脅威より解放され、魔王によって囚われていた女神がこれより世界をあるべき姿へと導くだろう。
そう、彼はまごうことなき英雄である。そんな彼が一人暗い部屋に
これより語るは英雄譚と呼ぶにはあまりに悲しく、一人の人生と呼ぶにはあまりに過酷な、辛く苦しい物語。言うなればこれは呪詛なのだ。彼を最もそばで見てきた私からの、彼をこれ程まで苦しめた世界に対しての。
大嫌いなこの世界へ向けた、呪詛なのだ。
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