阿佐ヶ谷ヴァンピールができるまで

阿佐ヶ谷ヴァンピールができるまで

 こむら川小説大賞、楽しかったね……。


 この文章は自作『阿佐ヶ谷ヴァンピール』ができるまでのアイデアの変遷とかを書くやつです。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054893764614

 基本的にプロットは特に決めず、ワンアイデアを膨らますタイプの創作スタイルなので特に参考にはならないやつです。


 去年のうちに一作目『塵迅パルス』の投稿を終え、自分の好きなジャンルを書いたので次は別のジャンルを書こうと決意。主催のこむらさきさんが吸血鬼好きであることを加味し、吸血鬼ネタを考えはじめました。


【最初の案】

『舞台は中世。とある教団の駐屯騎士であるルイードは、同僚とともに付近の村で悪名を轟かせている野盗の討伐に向かう。異教の墓所と屋敷を本拠地にしているという情報を得て現地に辿り着くものの、そこに居たのは墓守の少女と動く屍と化した野盗の姿だった。彼らに次々と襲い掛かる怪異を退けながら、ルイードは屋敷の探索を開始する』


 表と裏、変貌がテーマ。中盤で善悪の構成がぐるっと入れ替わるアイデアなどがあったんですが、あまりにも〈ニンジャスレイヤー〉の『クルセイド・ワラキア』(ルーマニア舞台の吸血鬼ニンジャが出てくる名エピソード)と被っていたので没に。無意識の影響力の強さを実感しました。


【次の案】

『舞台は現代。献血カーだけを襲う覆面強盗の〈吸血鬼〉を追う刑事は、増え続ける模倣犯の存在になんらかの関連性を感じはじめる。容疑者は全員過去に大手術で輸血の経験があった。事件の裏に大手製薬会社の薬害事件があることを掴んだ刑事は、気づかぬうちに陰謀に巻き込まれていく』


 1万字に収まらんよ。これは普通に中編書けるやつ。吸血鬼を刑事が追うのはちょっと面白いと思ったんですけど、〈踊る大捜査線〉で観た気がするのでこちらも没に。


 ここから『献血・吸血鬼』の要素をピックし、二作目は一旦保留に。この間にちょっと思いついたホラーを半分くらい書くものの、夜中に突如として思いついた3つ目の案が脳内を駆け巡りました。

 献血……ポスター……環境型セクハラ……ハラスメント……スメハラ……!!

 TLに氾濫していた悪いネタのムーブメントが繋がり、吸血鬼伝承の『ニンニク、香りの強い野菜を嫌う』部分をスメハラに接続。さらに悪いTLのネタが繋がり、非モテ吸血鬼がマッチングアプリでライトオタクを狙う話が天啓めいて降りてくる!


 ここから舞台設定とネタの構築が始まりました。マッチングアプリ使う吸血鬼は屋敷じゃなくて賃貸に住んでるし、長命種ゆえにおじさんLINE構文も使う(偏見)。

 賃貸物件のサイトを見ながら都内の家賃相場を検索し、〈聖⭐︎おにいさん〉とか〈北区赤羽〉みたいな雰囲気にしたくて阿佐ヶ谷を舞台に。マッチングアプリのプロフィール周りはオモコロの『Tinderでモテるのは俺だ選手権』を参考にしました。

https://omocoro.jp/kiji/132359/


 吸血鬼主人と人間の従者の関係性は普段の手癖で書くと重くなりすぎるのでカット。(血を提供しようとするシーンがあったけど展開にそぐわないかなー、と)

 あとはギャグやる上で不必要な描写を削って、テンポの良い掛け合いができるようにしました。ちょうど3000字ちょっと超えるくらいで!


 反省点は吸血鬼の伝承をなぞり過ぎたなって部分と阿佐ヶ谷知識をもっと入れとけばよかったって部分です!!

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