変態紳士と引きこもり魔導師
高月夢叶
0話 プロローグ/ サンドイッチとカフェラテ
世界を災厄へと包む存在災厄の魔女。瘴気で大地は、荒れ果て、モンスターは凶暴化し今、そんな凶悪な存在に立ち向かうべく国から選抜された魔女討伐パーティーが魔女を討とうと、最終決戦に挑もうとしていた。そんなパーティーに現在、所属している
白魔道士のマシロは、選抜パーティーに選ばれてからは、世界を救って街の平和を取り戻そうと意気込んでいたものの、毎日の辛い、戦いの日々をリーダーである勇者のアウルや黒魔術師のグレイ、ヒーラーのリンに支えて貰いながらやっとここまで辿り着いたのだった。
だけどもうダメだ。世界を救って気楽にスローライフを過ごそうと思っていたけど限界がきていた。
後ろからはアウルが皆を激励して鼓舞する声が聞こえてくる。自宅へ戻るんだ。自分自身の保身の為だと周囲から後ろ指差されても構わない。誰もいなくなった事を確認すると岩陰に隠れて巨大な魔法陣を展開する。私も皆みたいになりたかったな。でももう、いいよね…と呟きマシロはその眩い魔法陣の中へと消えていく。そしてその場には石ころだけが転がるのだった。
** *
転移魔法で降り立ったそこは自分がが拠点として暮らすレスポランの街中ではなくて、どこだか知らない見知らぬ土地だった。
見たことのない建物や、ビュンビュン高速で移動する鉄の馬車にここで見るのは初めてのものばかりで驚きながら自分はどこへ転移してきてしまったのだろうと不安になる。確か冒険者の街、レスポランに向けて転移したはずがどうしてこんんなところに……
そこでもう一度転移魔法を使おうとするもなぜだか魔法が発動しないことに気づく。
しまった!魔力が尽きてしまった。
これじゃあ元いた世界へ帰れない!と困惑する。そんな途方に暮れて宛もなく歩いていったところ1軒の喫茶店に行き着くのだった。
夕方、今日の喫茶の仕事も終わりに近ずいてきた頃のこと進藤は喫茶の前の路上で座り込む1人の少女を見つける。喫茶の硝子扉から見える彼女の様子は見たところによるとこの辺りではあまり見かけない白銀のロングヘアーにヨーロッパ(ロシアあたりから)から観光に来たのか、ファンタジー風の魔道士コスプレの格好をした15か16の少女だろうかと仕事中にどうしたんだろうと気に掛けながらお客さんへの対応をしていく。
だが、どうしても外の彼女のことが気になり喫茶の中へと彼女を招き入れる。
「そんなところに蹲ってどうしたの?お腹でも空いたの?」
「いや、大丈夫だから。」謙虚に少女はそう言うがそこでお腹がくぅ~と可愛い音を立てる。
「どうやらお腹は正直みたいだね。サンドイッチでいい?」「いや、結構ですから。」「いいからいいから。ちょっと待っててね。」彼女の静止を振り払い喫茶の中へと招き、カウンター席に彼女を座らせ、俺は、カウンターの奥へと入り手際良くサンドイッチを作る。
「わたしは、別にいいのに。」
少女は結構だと言うがされるがままとどこか落ち着かない様子で店内を物珍しそうに見渡す。
シックなモダンな感じの店内でジャスミュージックが流れるお洒落な店入口に入ってすぐカウンターがあり備え付けてあるサイフォンが出迎えてくれる。木目のカウンターは椅子に座ってコーヒーを楽しむスタイルで奥に進むとテーブル席になっていた。
店内にはコーヒーの芳香な香りが鼻を強く刺激される。鼻をつく香りが漂っていて初めて来店したことから刺激が強いと感じてしまう。「はい、お待ち!」
「へー、これがカフェラテとサンドイッチですか。」目の前に出されたコッペパンみたいなパンを横にスライスした中に野菜やベーコン玉子を挟んだボリューム満点のてそれを少女の前に置く。
「せっかく作ってもらったのを無駄にしたくないから頂くね」
警戒心を抱きながら小さな口で1口かじる。そしてもう1回味わうように1口かじると美味しかったようであとは無言でパクパクパクッと旨味たっぷりサンドイッチを頬張る。
そしてカフェラテゴクゴクと喉を鳴らして飲み一息つく。「おいしい。こんな美味しいものは食べたことがないよ。」と感激する。
「これは、パンに野菜や細切れにした玉子とマヨネーズを混ぜ合わせたものとハムなどパンにを挟んで食べるものだよ。」気に入ってくれたみたいでサンドイッチについての説明を軽く済ませる。
「野菜がこんなに美味しいなんてレスポランではなかったよ。パンは固いものばかりだし玉子やハムなんか高級品でめったに食べることができないものなんです。だからこんな豪華な食べもなんてなかなか食べれなくて…」少女は噛み締めて言う。「いや、そおこまで豪華な食べものではないけど気に入ってくれたみたいで良かったよ。」
「でもこの茶色い飲み物はなんだか苦いですね。正直、あまり美味しくないです。」サンドイッチと打って変わってカフェラテの入ったカップを手前に押し出す。「コーヒーは初めて?これはカフェラテという飲みものなんだ。」「はい。飲むのは初めてです。なんだか飲みんいくですね。」
少女は、初めての味に顔をしかめる。
それならこの砂糖を入れて甘くして飲むのがおすすめだよ。」とスティックシュガーを差し出す。
「これですか。」少女はスティックシュガーを掴み先端を千切り全部入れてカフェラテをかき混ぜる。
そうしてまた1口の飲む。
「うん、今度は甘くておいしい」
マシロはなんとかコーヒーも気に入ってくれたようでサンドイッチを食べ終えた少女は焦燥しきってっていた青ざめていた顔を頬を薄紅色に染めて満足そうに微笑むのだった。
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